初回子宮外妊娠の方の次回の妊娠予後 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、初回子宮外妊娠(医学的には異所性妊娠)の方の次回の妊娠予後に関する大規模な検討です。

 

Fertil Steril 2019; 112: 112(カナダ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.03.019

要約:1989〜2013年カナダ、ケベック州で初回妊娠が子宮外妊娠だった方15,823名の次回の妊娠予後を、初回妊娠が子宮内だった方1,101,748名と比較検討しました。初回妊娠が子宮外妊娠だったのは1.42%でした。このうち1594名(10.1%)が2回目も子宮外妊娠でした。初回妊娠が子宮外妊娠だった方の2回目の妊娠では、37週未満の早産が1.27倍、2500g未満の低体重児が1.20倍、重症妊娠高血圧症候群が1.18倍、妊娠糖尿病が1.25倍、常位胎盤早期剥離が1.21倍、前置胎盤が1.45倍、帝王切開が1.17倍、ICU入院が1.48倍、出産前の出血が1,27倍、周産期の輸血が1.44倍と有意に高くなっていました。

 

解説:子宮外妊娠(異所性妊娠)は約1.5%の頻度で認められ、次回の妊娠でも子宮外妊娠を繰り返す確率が高くなることが知られていますが、次回が子宮内妊娠の場合の妊娠予後についての検討はほとんどされていません。本論文はこのような背景の元に行われた大規模な検討であり、初回子宮外妊娠の方の次回の妊娠予後が良くないことを示しています。大変貴重なデータだと思います。

 

子宮外妊娠については、下記の記事を参照してください。

2019.1.7「☆子宮外妊娠のリスク因子

2017.8.4「子宮外妊娠のリスク

2016.7.28「子宮外妊娠のリスク因子
2015.12.9「子宮外妊娠の新たなリスク因子とは?」
2015.9.5「子宮外妊娠のリスクを低下させるには」
2015.4.17「凍結融解胚移植で子宮外妊娠率低下」
2014.12.3「凍結融解胚移植で子宮外妊娠が減少」
2013.1.17「凍結融解胚移植では子宮外妊娠のリスクが低下」