凍結胚 vs. 新鮮胚:日本産科婦人科学会からの報告 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、体外受精における出生児体重とダウン症について、凍結胚と新鮮胚の違いを検討した日本産科婦人科学会からの報告です。

 

Reprod Med Biol 2017; 16: 228(日本)doi: 10.1002/rmb2.12033

要約:2007〜2012年に日本産科婦人科学会に登録された満期産の単胎妊娠124,946件(凍結胚80,660件、新鮮胚44,286件)のデータを後方視的に分析しました。新鮮胚移植と比べ凍結胚移植で有意に出生児体重が重く(90g)ダウン症が有意に少なく(0.17% vs. 0.13%)なっていました。

 

解説:新鮮胚より凍結胚で出生児体重が重くなることはよく知られていますが、ダウン症のリスクが低下することを示したのは初めての報告だと思います。しかし、そのメカニズムは不明です。その他にも東アジア人には凍結胚移植のメリットがありますので、日本人は凍結融解胚移植を第一選択にするのが良いでしょう。

 

下記の記事を参照してください。

2018.12.12「☆妊娠中の赤ちゃんの発育は妊娠方法で異なる!?

2016.12.23「英国における新鮮胚移植と凍結胚移植の比較

2016.6.20「アジア人には凍結融解胚移植がお勧め!

2014.5.13「凍結胚移植の赤ちゃんは大きく生まれる

2013.7.15「分割胚でも凍結融解胚移植

2013.1.24「凍結融解胚移植では周産期のリスクが低下

2013.1.19「☆☆凍結融解胚移植のすすめ