☆子宮内膜を厚くする方法は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

子宮内膜を厚くする方法はありますかという質問がしばしばあります。

画期的な方法はありませんが、下記のものが有効である可能性があるとされています(効果なしの場合もあります)。

 

ビタミンE ユベラ 150〜660mg(225〜1000IU)/日 

バイアスピリン 100mg/日(バファリン 81mg/日)

Lアルギニン 6g/日

バイアグラ膣内挿入 シルデナフィル 50mgx2/日

ペントシキフィリン トレンタール 800mg/日

G-CSF

 

J Assist Repro Genet 2012; 29: 325(トルコ)doi: 10.1007/s10815-012-9714-1

要約:卵巣刺激を用いた人工授精において、クロミッド+ビタミンE(400 IU/日)とクロミッドのみを比較したところ、子宮内膜はビタミンE投与群で有意に厚くなりましたが、着床率と妊娠率には有意差を認めませんでした。

 

J Assist Reprod Genet 2000; 17: 174(台湾)

要約:子宮内膜が8mm未満で人工授精を行う方をアスピリン使用の有無に分けたところ、低用量アスピリン使用群で子宮内膜3層構造と妊娠率が有意に増加しましたが、子宮内膜の厚さと子宮動脈の血流に有意差を認めませんでした。

 

Fertil Steril 2010; 93: 1851(日本)
要約:Lアルギニン(6g/日)服用により、子宮内膜は有意に厚くなりました。

 

Facts Views Vis Obgyn 2017; 9: 21(エジプト)

要約:クロミッド周期による人工授精5回不成功の方を対象に、6回目はクロミッド100mgx5日使用、7日目はクロミッド100mgx5日に加え、CD8からトリガー日までシルデナフィル 50mgx2/日膣内投与を行いました。子宮内膜は有意に厚くなり(6.6mm→9.3mm)、子宮動脈の血流も有意に改善しました。

 

Hum Reprod 2002; 17: 1249(フランス)

要約:ドナー卵子の移植で薄い子宮内膜(<6.0mm)の方を対象に、抗繊維化作用のあるペントシキフィリン(800mg/日)とビタミンE(1000 IU/日)6ヶ月投与しました。72%で著名な改善が認められ、子宮内膜は有意に厚くなり(4.9mm→6.2mm)ました。

 

Arch Gynecol Obstet 2018; 298: 861(中国)doi: 10.1007/s00404-018-4892-4

要約:メタアナリシスによるG-CSF投与の有用性は妊娠率1.89倍と有意に増加しました。子宮内投与1.46倍、皮下注射投与2.23倍であり、どちらの投与法も有意に有効でした。

 

下記の記事を参照してください。

2015.10.20「Q&A860 Lアルギニンは?