Q&A2246 もう治療する意味はないのでしょうか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在、地元の病院で体外受精をしております。
凍結胚盤胞、ホルモン補充での2度の移植が全く着床せずに終わり(hCG感知せずでした)、病院の勧めでERA、EMMA、ALICE検査を受け、ERAでは12時間の着床の窓のズレ、EMMAではラクトバチルスゼロ、ALICEは問題なし、との結果が出ました。さらに貴院で着床不全と不育検査を一通り行い、銅の値が高いことが判明し、亜鉛サプリ服用にて改善いたしました。これで着床不全対策は完璧だと思い、先月末安心して3度目の移植を行いましたが、今回もhCG感知せずという結果に終わりました。


対策はばっちりできていたはずなのに全く着床しないというのは、もうこの先の妊娠は無理だということでしょうか。主治医からは胚盤胞の問題だと言われましたが、化学流産だったとしても少しはhCGが出るはずなので、これは胚盤胞の質の問題ではなく、私自身が着床できない体質なのではと考えています。もう諦めるしかないのかと。次は2段階移植か胚盤胞を複数戻す方法を検討していますが、もう治療する意味はないのではないかと思ってしまいます。

 

A 理由はわかりませんが、人それぞれ適切な治療法があるようです。適切でない治療を行った場合には全く結果が出ません。したがって、これまで実施していない方法を行うことで、その方に合った治療が見つかる可能性があります。ホルモン補充周期でうまくいかないのであれば自然排卵周期の移植を、1個移植でうまくいかないのであれば2個移植(2段階か同時2個)を行うメリットは十分あります。SEET法、G-CSF、スクラッチ、エンブリオグルーなどの移植のオプションも合う合わないがありますので、これまでとは違った方法をトライしてみてください。3回で諦めるのは早すぎます。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。