☆不妊原因と子供の健康について その2:夫婦の体重 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

「不妊原因と子供の健康について」の第2弾は「夫婦の体重と子供の健康」についてです。

 

Fertil Steril 2019; 111: 1054(スペイン)doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.02.128

要約:夫婦の体重とお子さんの健康との関係について、現在までに発表された論文をまとめてみました。

 

  夫婦の肥満       夫婦の痩せ

肥満          肥満

2型糖尿病       2型糖尿病

心血管疾患       心血管疾患

脳血管疾患

メタボリック症候群   メタボリック症候群

骨粗鬆症        骨粗鬆症

喘息          喘息

神経疾患        神経疾患

 脳性麻痺       

 認知障害        認知障害

 ADHD

 ASD

 統合失調症       統合失調症

 てんかん

 不安抑うつ

 摂食障害        摂食障害

 

ADHD=注意欠陥多動性障害

ASD=自閉症スペクトラム・アスペルガー

 

解説:夫婦の肥満や痩せによりお子様の様々な疾患リスクが増加することが知られています。本論文はこれまでのデータをまとめたものです。不思議なことに、肥満の場合も痩せの場合も同じ疾患のリスクが増加します。肥満の場合は、胎児の細胞をプログラムする際のエピジェネティックな要因により生じているものと推察されます。痩せの場合は、子宮内での低栄養状態により、効率よく栄養を摂取する身体が形成されることで、出生後の急速な成長が生じるためと推察されます(Barker仮説)。

 

下記の記事を参照してください。

2015.9.7「両親の肥満が胚へ及ぼす影響

2015.2.13「母体低栄養の影響

2015.1.25「太った方の卵子は代謝異常で小さい
2012.11.8「☆妊娠中の栄養と出生児の健康:Barker仮説、DOHaD」