Q&A2243 顕微授精で生まれた子は長生きできるでしょうか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 第一子、なんの知識も持たず、採卵した卵が全て受精するようにと、全て顕微授精でお願いしました。培養士さんからは、体外受精でも充分可能であると言われていましたが、こちらから、顕微授精にとお願いしました。
しかし、最近になって、この子は長生きできるのだろうかと、とても心配しています。本当に本当に心配で、顕微授精にしたことを、後悔しそうになります。顕微授精で生まれた子は、長生きできるでしょうか。

 

A 体外受精が登場して41年、顕微授精が登場して27年。現在までのところ、どちらの治療にもお子さんに大きなデメリットはないことが報告されています。しかし、それ以上の長期予後は現段階では不明です。新しい治療には不透明な部分があることは否定できませんが、新しい治療を享受できる現代に生きたこと、お子さんを授かったことをプラスに捉えていくしかないのではないかと思います。自動車、航空機、電車、テレビ、電子レンジ、携帯電話、電気、ガス、原子力、、、様々な文明の利器が登場していますが、メリットばかりではありません。公害、騒音、汚染、電磁波、放射能など様々なデメリットがあります。これらがどの程度私たちの身体に悪影響を及ぼすか、ほとんど不明ですが、私たちは今を生きることしかできません。これと同じことだと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2016.7.15「Q&A1152 顕微授精は危険なのでしょうか

2016.7.14「ガラス化法による凍結融解胚妊娠のお子さんの予後

2013.11.20「体外受精のお子さんの神経学的長期予後

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。