Q 先日胚移植(胚盤胞)をしたのですが、移植後から38度越えの発熱があり、その後最高39.9度の発熱を認め、インフルエンザと診断されました。BT0~3まで38度~39度の熱がずっと続いたという状況です。胚移植後の高熱は、妊娠結果に影響をおよぼしますか。
A 高熱は男女ともに妊娠の妨げになることが知られています。
1963年春にオーストラリアのシドニーで、42~43℃の気温が数日続き、その際にギニアピッグの流産率が高くなり、四肢の拘縮がみられました。その後も高温による動物の妊娠への影響が報告され、理由の如何にかかわらず体温が2℃以上上昇すると流産、胎児死亡、神経管欠損をきたすことが知られています。一方ヒトでは、1970~1990年代の論文では、体温上昇と胎児奇形の関連が多数報告されていますが、多くは感染に伴う体温上昇です。ヒトでの検討では、妊娠初期に入浴をしていた方はしていない方に比べ流産の頻度が高く、腹壁破裂、無脳症、食道閉鎖、臍ヘルニア、二分脊椎のリスクが増大しますが、心血管系の奇形リスクは増加しませんでした。胚移植後の高熱は、妊娠結果に影響をおよぼ酢可能性が否定できませんので、発熱した場合には、速やかに解熱するのが得策だと思います。
なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。
妊娠中の発熱については、下記の記事を参照してください。
2013.11.23「Q&A150 お腹温めたら、、」
2013.8.22「☆妊娠中の気温と赤ちゃんの心疾患の関係」
2013.8.4「☆温泉に入ってもいいですか?」
2013.7.22「☆季節により妊娠率•流産率は違うか?」
解熱鎮痛剤については、下記の記事を参照してください。
2017.6.21「Q&A1494 着床期に発熱した場合」
2017.1.12「☆妊娠前の鎮痛剤使用と妊娠成立の関係」
2013.11.10「☆鎮痛剤を飲んでよい時期と種類は?」
インフルエンザについては、下記の記事を参照してください。
2018.3.3「Q&A1753 妊娠中にインフルエンザになったら?」
2017.5.2「Q&A1444 妊娠中にインフルエンザにかかった場合」
2015.11.2「☆インフルエンザワクチン」