Q&A1597 19週頸管無力症で双子を流産 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2016.4.23「Q&A1069 PCOS、精策静脈瘤、移植5回不成功」2016.6.15「Q&A1122 Q&A1069の続き」でご回答ありがとうございました。とても参考になりました。

Q 夫30才、妻31才。
夫、精索静脈瘤のため昨年夏手術済。妻、多嚢胞性卵巣症候群。
採卵4回、胚移植9回目。今まで着床、陽性反応なし。
移植9回目、NK51のためイントラリピットをした後凍結分割期胚3日目桑実胚(凍結時2b8)を4日目に、胚盤胞5日目5BB(凍結時4AA)を6日目に二段階胚移植を実施。陽性反応をもらい、双子が発覚。経過は順調でした。17wに入り、検診にて頸管無力症が発覚し入院しましたが、二人は助かりませんでした。19wでした。今は悲しみに暮れています。時間が経ち、次に進みたいと思ったときに、アドバイスいただきたいことがあります。

①流産後、何ヶ月ほど生理を見送れば妊活を開始できますか。多嚢胞性卵巣症候群と診断を受けているのですが、どれくらい生理が来なければ病院受診すべきでしょうか。
②3日目分割期胚が4個(2b8.2b7.2b6.3b8)、5日目胚盤胞3BBが1個残っています。双子で頸管無力症になっているので二段階胚移植は避けるべきでしょうか。
③二段階胚移植ではなければ、分割期胚を胚盤胞に育ててから移植すべきですか。それとも分割期胚のまま移植すべきでしょうか(今まで分割期胚移植は2回しましたが不成功でした。シート法は行っていないクリニックのためできません)。
④重症副鼻腔炎のため、1月に手術予定です。産科医には副鼻腔炎が早産を誘発することがあるため手術してから妊活すべきと言われたのですが、オペを待たず妊活を開始してもいいものでしょうか。
⑤9回目の移植が駄目だったとき、プロテインS活性が81ということもあり、リプロダクションにセカンドオピニオンに行くつもりでした。先生としてはヘパリン適応とお考えでしょうか。

A 

妊娠14週〜19週で流産の方は、4〜12ヶ月の間に次の妊娠をするのが良いと報告されています。2016.12.13「☆流死産後、次の妊娠までの理想的な期間は?」の記事を参照してください。また、多嚢胞性卵巣症候群の場合には、2〜3ヶ月生理が来なければ、いちど生理を起こすのが良いでしょう。

②③頸管無力症の方では双子は避けるべきですので、二段階胚移植は避けるのが通常です。ただし、初期胚2個で胚盤胞1個分になりますので、初期胚2個は許容範囲かと思います(しかし、そう思わない医師もおられるかもしれません)。着床の窓は1日遅くなっていると考えられますので、いずれにしても1日遅く移植をしてください。

④身体の何処かに炎症があると早産リスクが増加する可能性が指摘されていますので、理想的には、オペ後の移植が望ましいと思います。

⑤妊娠中にプロテインS活性は20〜30ポイント低下しますが、50〜60ポイント低下する方もおられます。どの程度低下するかは予測不可能ですので、私はヘパリンを使う方針でいますが、それは過剰診療だと捉える医師も少なくないと思います。妊娠中のプロテインS活性は30%以上が目標になります。