Q&A1122 Q&A1069の続き | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2016.4.23「Q&A1069 PCOS、精策静脈瘤、移植5回不成功」で回答いただき、色々参考になりました。

①実際に使用した薬剤は下記の通りです。
アンタゴニスト法:D3 ゴナールF、D4-9 HMGフェリング、D8-9 セトロタイド
ロング法:D3-7 ゴナールF、D8-9 HMGフェリング、D10 テイゾーHMG
いずれもD8で診察に行くと卵胞がひとつだけ大きくなり、小さいものが沢山、という状況になります。薬剤はあっているのでしょうか。
②その後、自然周期で2段階胚移植をしましたが、陰性でした。
③また、精策静脈瘤の件ですが、顕微授精のため精子をふるいにかけているから手術は要らないと思うと病院で言われたのですが、見た目にわからない質もあるということでしょうか。

A 
①AMH 14の方には、正直なところこの薬剤の選択はいただけません。一番弱いゴナールFから一番強いHMGフェリング(テイゾーも同じ)への途中での変更、卵巣がビックリします。ひとつだけ大きくなり、小さいものが沢山なのは、この薬剤の選択のためではないかと思います。私なら、アンタゴニスト法でフェマーラ+HMG富士150単位を使用します。
②着床に関係するオプション検査として、慢性子宮内膜炎検査、子宮収縮検査、亜鉛検査を行いたいと思います。
③これは、男性不妊専門医の泌尿器科医の判断でしょうか。精策静脈瘤があると、精巣の温度が上昇することで、精子のDNA損傷が生じます。これは見た目ではわからない変化です。したがって、精策静脈瘤の手術をお勧めいたします。