Q&A654 27歳、両側チョコレート嚢腫術後、AMH<0.1 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 27歳、両側チョコレート嚢腫術後、AMH<0.1、FSH 8~9(時々20を超える)
23歳:チョコレート嚢腫による卵巣破裂で開腹手術をしました。左右卵巣を大部分切除し、左の卵巣は子宮に癒着しています。
26歳:結婚、すぐに体外受精を始め、もうすぐ治療を始めて1年になります。
採卵9回、自然周期が主です。一度低刺激をして4個卵が採れましたが1個しか受精卵にならず、新鮮胚を移植しましたが陰性でした。

9回の採卵のうち、4回空胞があり、先月の周期で3回連続空胞を経験しています。医師からは、普通こんなに空胞にはならないと言われました。また、卵胞も1つですが毎月育ってはいました。FSHも注射で正常に戻り、E2も低すぎるときは注射で上げて採卵の時はいい状態であったと言われます。医師の腕も絶対に問題がないということでした。空胞は誰でも起こるし、AMHが低い人はそうなる可能性はあるということも知っているつもりです。ですが、もう私には卵がないのではないかと考えてしまいます。空胞が続く人はもう見込みがないのでしょうか。

A まず、ビタミンD、DHEA、テストステロンを採血してみてください。これらが不足していると、卵胞(卵子)発育や卵子の状態に悪影響を及ぼすことが知られています。空砲が続く、沢山採れない、採れても変性卵、胚発育が不良などの場合に、上記の不足分を補うことで劇的に改善される方もおられます(改善されない方も少数ですがおられます)。また、刺激周期も一度試してみてもよいかもしれません。

DHEA、テストステロンについては、下記の記事を参照してください。
2012.11.4「男性ホルモンは女性にも必要? その1」
2014.11.5「男性ホルモンは女性にも必要? その2」
2013.5.4「☆女性の男性ホルモン低下は卵巣予備能低下と関連」
2015.3.26「卵胞発育における男性ホルモンの役割」

ビタミンDについては、下記の記事を参照してください。
2012.10.19「AMHとビタミンDの関係 その1」
2012.10.20「AMHとビタミンDの関係 その2」
2012.10.22「AMHとビタミンDの関係 その3」
2012.11.2「ビタミンDの必要量は?」
2012.12.6「ビタミンDの効用 男性編」
2012.12.8「ビタミンDの効用 女性編」
2012.12.10「ビタミンDの効用 妊娠—授乳編」
2013.2.5「白人ではビタミンD濃度が高いと体外受精の妊娠率がよい」
2013.3.25「冬に妊娠すると赤ちゃんの骨の成長が悪くなる」
2014.3.17「☆ビタミンD欠乏は不育症のリスク因子です」
2014.10.26「☆ビタミンD不足だと妊娠率が低下する」