ビタミンDの必要量は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

今まで何回AMHとビタミンD関係について述べてきましたが、ビタミンDの必要量について数値を出していませんでした。血中ビタミンD濃度の正常値が2011年に変更になったという論文を見つけましたので、ご紹介いたします。本論文では、血中ヒドロキシビタミンD濃度が20~50 ng/mLを至適濃度としています。

J Clin Endocrinol Metab 2011; 96: 53
要約:Institute of Medicine (IOM)の2011年レポートによると、同年から血中ビタミンD濃度の正常値が変更になりました。それに伴い、1日あたりの必要摂取量も変更になりました。血中ビタミンD(ヒドロキシビタミンD)濃度が、10 ng/mL未満を欠乏、10~19を不足、20~50を至適、50以上を過剰としました。至適濃度を維持するための1日推奨摂取量は、600~800 IU(15~20 μg)です。

解説:平成21年の日本の国民健康・栄養調査では男性で平均8.0 μg、女性で平均7.0 μgのビタミンDを摂取しています。ビタミンD摂取の目安量(不足にならない量)は5.5 μgですから、欠乏レベルになることはほとんどないと思われます。一方、1日推奨摂取量(至適濃度を充たす量)は15~20 μgですので、平均の倍程度の摂取が必要です。ビタミンDを多く含む食品は、魚、肉、卵、きのこ類です。