Q&A170 ☆化学流産について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 今年の5月から本格的に子作りを意識し夫婦生活を送っており、6月、8月、9月、10月と立て続けに化学流産になりました。8月よりクリニックにかかり、一通りの検査を行いましたが異常はありません。
いずれも高温期11日目ぐらいから早期妊娠検査薬にて薄い反応があります。そして、高温期9日目くらいになると必ず立ちくらみが頻繁におこるようになり、この時点で妊娠に気付く程になりました。しかし、生理予定日、または予定日より数日経つと反応は消え、生理になります。胎嚢が見えたことは1度もありません。
化学流産は不育症の定義に当てはまらないのは、先生のブログをはじめ、その他ネットの情報等で理解しております。しかし、毎月繰り返される化学流産に対してとても不安になります。クリニックの先生には、化学流産は流産に含まれないことや、受精、着床が行われているから逆に健康体などと言われておりますが、健康体ならばすでに正常妊娠しているのではないかと思います。この先も受精、着床はするけど私は化学流産にしかならないのではないかという不安と、ひとまず子宮を休ませようと現在は子作りをお休みしています。私のように毎月妊娠しては、化学流産になるケースも不育症の疑いはあるのでしょうか。

A 化学流産は言葉の定義上は不育症ではありませんが、私は不育症と不妊症の狭間の疾患と考えています(2013.10.27「☆☆不妊症と不育症は親戚関係の疾患です」を参照してください)。不妊症と不育症の双方の知識と治療経験が必要な難易度の高い疾患です。

検査結果は、内科的基準値で判断するのではなく、妊娠継続できるかどうかで判断する必要がありますが、その基準値を持っているのは不育症専門医だけです。不妊外来で異常なしと判断されたのであれば、ぜひ一度不育症専門医の受診をお勧め致します。できれば、不妊症と不育症の双方の知識と治療経験を持つ医師の診察が望ましいです。