今までは、女性のBMI増加が卵子や妊娠率に悪影響であることを紹介しました。本論文は、男性のBMI増加が顕微授精での生産率を低下させることを示したものです。
Fertil Steril 2012; 98: 1193
要約:114組のべ172周期の体外受精•顕微授精において、男性のBMIがどのように影響するか調査しました。体外受精では、BMIが高い男性の受精率が有意に高くなっていましたが、受精卵のグレードや妊娠率、生産率に有意差を認めませんでした。顕微授精では、受精率、妊娠率に有意差を認めませんでしたが、BMI 18.5-24群と比較して生産率がBMI 25-29群で0.40倍、BMI >30群で0.16倍と有意に低下していました。
解説:肥満と卵の関係は多くの論文があります。男性の肥満は男性ホルモンを減少させ、女性ホルモンを増加させます。また、男性の肥満が精液所見の低下や精子のDNAダメージ増加に関係するという論文もあります。体外受精や顕微授精での男性の肥満に関する検討は本論文が初めてのものです。顕微授精では男性の精子の真の能力が問われる訳ですので、BMI>30で0.16倍の生産率にまで低下してしまうのは納得できますが、これほど低下してしまうとは驚きです。男性も体重管理に気をつけて欲しいと思います。「私のダイエット作戦12345」も参考にされてみてはいかがでしょうか。