松原委員 おはようございます。
 首都直下地震の問題というのは、かねてから大きなテーマでありました。私も東京に住んでいる者として、大変にこの首都直下地震というものに対して危惧している者の一人であります。
 二〇二〇年に東京オリンピックが開催されるということになりました。私は、この東京オリンピックの開催というのは、東京がアジア最大のハブ都市を目指す上での大きなエポックメーキングになるだろうと思っております。
 ただ、その東京は、一方において、米国のサンフランシスコ等と並んで最も災害が多い都市であるということも世界の中で認識をされているわけでありまして、やはり、東京が世界の、特にアジアにおける最大のハブ都市を目指す上での必須の条件の一つが、こういった東京における被災対策、災害対策、減災、防災対策であるということは言をまたないわけであります。
 そういった大変重い、重要な意味を持つ法案でありまして、そういった観点から御質問させていただきます。
 まず最初に、緊急対策推進基本計画の記載事項に、緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項が掲げられておりますが、当該事項として挙げられる政策に、特に港湾管理者、港湾事業者に関する事項としてどのような事項があるか、お伺いいたします。

二階議員 委員御指摘のとおり、緊急対策推進基本計画には、その記載事項として、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持に関して、緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項を定めるものとしております。
 これは、首都直下地震が発生した場合における緊急輸送の確保のために港湾、空港の機能の維持が重要であることから、緊急対策推進基本計画に記載することを義務づけているものであります。
 緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項の中で、委員御指摘の港湾管理者、港湾事業者に関する事項が具体的にどのように定められるかについては、当該規定の趣旨も踏まえて、政府において、今後適切に判断されるべきものと考えております。

松原委員 今後その辺の取り決めが行われるということでありますが、それぞれの港湾事業者等が、こういったいわゆる緊急対策において有効に機能するように、さまざまな助言や支援を心よりお願い申し上げる次第であります。
 二問目に入ります。
 先ほど申し上げましたオリンピック誘致を含めて、東京を外国人により売り込んでいかなければいけない。このための外国人滞在者に対する災害時の対応をしっかりと進めることが大切であると考えますが、この法律に係る対策の中で、外国人滞在者に対する災害時の対応に、どういうものが具体的に資するものとしてあるのか、お伺いいたします。

二階議員 このような重大な問題について、松原先生と思いを共有しながら対策を今後考えていく、大変大事なことであると思いますので、私どもも努力をしますから、松原議員におかれましても、東京都御出身ですから、どうぞよろしくお願いしておきたいと思います。
 本法案では、首都中枢機能維持基盤整備等計画において滞在者等の安全の確保を図るために必要な事項を、地方緊急対策実施計画において地震災害時における滞在者等に対する支援に関する事項。この滞在者等には外国人も当然に含まれているものであります。
 特に、今後、外国人のことに関して大変力を注いでいかなきゃいけない、外国の滞在者が東京にとどまっておるとは限りません、地方にお出かけになる場合もある、そんなときに外人の人たちをどう安全なところに誘導するか、こうした問題について、国を挙げてやはり対策を考えていかなきゃいけない、私はこのように思っております。
 国及び地方公共団体においては、東京オリンピックをにらんで、これらの外国人滞在者に対する災害時の対応をきっちりやっていくことが、東京オリンピックに観光客や旅行客を含めて多くの皆さんを世界じゅうから呼び込むためにも大事なことでありますし、東京都が当然果たすべき役割でありますから、私どもも積極的に協力して、ただ文言に書いてあるとか書いてないとかという程度のものじゃなくて、本当に、外国から日本に来られた皆さんが安全に、この大会期間中、生活が送れるように、これはしっかりした協力をしていかなくてはならないと思っております。
 いい御指摘をいただきました。

松原委員 具体的な内容については今後詰めるということでありますが、これは超党派でやるべきテーマでありますので、我々もさまざま意見を申し上げていきたいと思います。
 さて、ちょっと一問、後でやるということにしまして、首都中枢機能維持基盤整備等協議会というものが中で想定されておりますが、この中身について、どういう中身なのか、そしてそのメンバーというのはどのように決まるのか、どのように運営されるのか、こういったことを御質問いたします。

土屋(正)議員 御答弁申し上げます。
 この首都中枢機能維持基盤整備等協議会のメンバーは、まず第一に、行政でございます。
 二点目は、これは第八条の二項の一のロに掲げているわけでございますが、まず、ガス、水道、電気の、いわゆる命綱にかかわる事業者でございます。それから情報通信にかかわる事業者、さらにまた、緊急避難の問題がありますので、公園とか広場にかかわる、これは主として行政が担うことになると思います。
 それ以外のものが考えられるわけでありますが、鉄道事業者等を想定しながら、その第八条二項の一のロのところで、その他のものも含める、こういうことになっております。
 したがって、行政とこれらの事業者が中心になって協議会をつくるもの、このように想定をいたしております。

松原委員 その他のものというところに、やはり幅広にさまざまな民間事業者なりが入ってくるということになろうかと思いますが、その選定というものは基本的にどういうふうに行われるか、もし今この場で御答弁いただけるなら、御答弁をお願いいたします。

土屋(正)議員 その他という読み方をして、さまざまな事情に対処できるような法律構成になっておりますが、主要なメンバーは、先ほど申し上げた、法律上明示してある、あるいはそれに準じている鉄道事業者等になろうかと思います。
 これらにつきましては、具体の計画に従って執行していく段階で、さまざまなケースを想定し、その他ということを規定いたしているところでございます。

松原委員 その他というところがやはり非常に重要な味つけになってくると思うので、こういったところは、一方において公正に、一方において現実的に、そして、地域の声を聞いていただきながらぜひ進めていただきたい。きょうはここまでで質問はとめておきます。
 次に、地方緊急対策実施計画の第二十一条三項第五号に防災訓練というのが書かれております。今も各地域における防災訓練というのは、私の地元の品川においても、各町会ごとに四十人ぐらい集まって、七百人ぐらいのものとか既にやっているわけでありますが、この防災訓練はそれと同じものなのか、違うのか。どう違うのか。
 さらに、私は、東京に住んでいる人たちに対して義務づけをするのはかなり困難性が高いと思いますが、一年間に最低一回は防災訓練に出ましょうとか、何らかの義務づけをしないと、一方において、どれほど地域の自治会が中心になってやっても、参加しない人はずっと永続的に参加しない。こういったことに対しての危機感というのは非常にあるわけでして、この大規模な防災訓練の中身についてお伺いいたしたい思います。

林(幹)議員 首都直下地震に備えるためには、先生御指摘のように、関係機関が住民とともにさまざまな防災訓練を行うことが極めて重要なことであります。したがって、本法案においては、地方緊急対策実施計画の記載事項としているところでもございます。
 訓練の規模や内容については、防災訓練の重要性を踏まえて、関係機関において、効果的、実践的なものを適切に実施していただきたいというふうに考えております。
 また、本法案においては住民参加を義務づけてはいませんけれども、災害対策基本法に定めている住民の防災訓練への参加の責務も踏まえて、訓練の実施主体において、住民参加が適切になされる工夫を行うことを期待しているところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

松原委員 恐らく新しいものが生まれるんだろうと思うんですが、やはり従来の防災訓練と、こういう規模において違う、こういった質において違う、こういった連携性において違う、義務づけと言うと言葉が強烈ですが、違うというところを、従来から防災訓練を東京はそれなりにやっております、あえてこの中でそういうふうに防災訓練と特出ししたところを、実は少し意図をお伺いしたかったわけでありますが、もしつけ加えることがあれば、お伺いいたします。

林(幹)議員 つけ加えるところは特段ございませんけれども、やはり、住民参加が適切に行われるよう、そういった訓練がされるような工夫をいろいろなところでしてもらいたい。そしてまた、これからまだ時間も若干ありますので、そういったものを積極的に進めていきたい。やはり、官民一体となって進めていくということが大事だろうというふうに考えております。

松原委員 要するに、今までは、例えば地域であれば品川区が主体でやっていたりしますが、これに対して、国がある程度前面に出る、こういう認識でよろしゅうございますか。

林(幹)議員 もちろん今先生御指摘のとおりでありますけれども、国も、あるいは東京都も、あるいは市町村に関しても、一体となって取り組むということが大事だろうと思っておりますし、国がやはりリーダーシップをとるということが必要だろうと思っています。

松原委員 この防災訓練と同時に、住民防災組織を認定する、こう書いてあります。これも、私、極めて興味深いし、必要だと思っておりますが、従来から消防団もあるわけであります。私の地域でも消防団はありますし、個人的なことを言えば、私の長男も消防団で活動しているわけでありますが、こういった消防団活動や地域の市民消火隊とか、こういうふうな地域防災リーダーが今ある中で、屋上屋を架することになるのか、どういうイメージで住民防災組織が生まれるのか、このイメージ。この法律だけ見ると、防災訓練もそうだし、この住民防災組織も、どういうことか、もうちょっとお伺いしたい。

福井議員 ありがとうございます。
 この条項は、本当に、昨年の野党時代からこだわったところでございます。
 ちょっと迂遠になりますけれども、昭和二十二年にGHQが日本をして廃止せしめたものが三つございまして、財閥と内務省、そして町内会。町内会をわざわざ日本政府をして廃止せしめたというぐらい、まさに隣保協同の精神に基づくコミュニティーというのが日本の紐帯、ガバナンスの本質だったということに鑑みて、霞が関が今まで数十年間やってきた中で一番不得意だった国民運動すらできる組織というものをイメージして、東京都で防災隣組がございますけれども、消防団とは違って、そして自主的な、住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織として自主防災組織のことを想定し、そしてさまざまな活動をしていただこうという思いがこもっているわけでございます。

松原委員 援助ということも書かれておりますが、もう時間がないので簡潔にお伺いします。

福井議員 具体的には、この法案の趣旨を踏まえて、政府及び特定地方公共団体におきまして適切に判断されるものと考えておりますし、この法律の上では金銭的な資金援助が除外されるわけではありませんので、その辺を含めて、また全党で御指示、御鞭撻賜りたいと存じます。

松原委員 金銭的援助がある、こういうふうな話でありました。やはり、そういったものも含め、きちっと担保する必要があると思っております。
 一問飛ばしまして、第三十四条の補助金等交付財産の処分の制限に係る承認の手続の特例、具体的にはどのような措置か。譲渡し、交換し、貸し付け、または担保に供するということで、使用目的を変えるということもありますが、場合によっては、その補助金でつくられた財産を売却して、そのお金を活動費に回すというようなこともケースとして想定されるかどうか、お伺いします。

福井議員 結論から言いますと、想定はしておりませんで、その目的外使用を許す条文でございますので、御理解賜れればと思います。

松原委員 次に、第三十二条の建築基準法の用途制限の緩和。これは私は非常に重要なものであると思っておりますが、この具体的なイメージを少し語ってほしいと思うんですが、いかがですか。

小林(鷹)議員 先生御指摘のとおり、本法案の三十二条そして三十三条には、建築基準法における用途制限の緩和の特例措置が設けられております。
 具体的な措置といたしましては、例えば第三十二条について申し上げれば、建築基準法上の第一種、第二種の低層住居専用地域などでは、非常時に必要な灯油や軽油、こうした燃料を備蓄しておくことが現在できません。こうした場合に、内閣総理大臣の認定を受けた計画に定められました基本方針に適合するものとして自治体が許可した場合には、特例を設けて当該事業の推進を図れるようにしております。

松原委員 要するに、今言ったそういった部分だけなのか、もしくは、例えば、ある場所が大変に密集していて、木造住宅が多い、そういったところを建て直すときに何らかの緩和をするとか、そういったことはこのイメージに入っているのかどうか、お伺いいたします。

小林(鷹)議員 そうしたイメージは現在入っておりませんが、いずれにいたしましても、地方公共団体がこの法案の趣旨にのっとりまして、今後定めていくものとされております。

松原委員 三十一条第二項第二号にある地震防災対策推進協議会、この中身について、どういうものか、簡潔にお答えいただきたい。

林(幹)議員 御指摘の協議会は、特定地方公共団体によって組織されるものでございまして、実施すると見込まれる者とは、近い将来において特定緊急対策事業を実施することが決定する者であって、協議会に参加する時点で事業を実施することが決定している者とはちょっと異なるわけであります。
 なお、特定地方公共団体は、協議会の構成員として必要と認める者を加えることができることとしておりまして、その設置当初の構成員で固定されるわけではありませんで、柔軟に構成員を追加することも想定しているところでございます。

松原委員 時間が参りましたが、今お話をいろいろと承っておりまして、一つの箱はできた、どういうメニューにするか、具体的にどういうふうにするかというのは今後の課題だろうと思っております。
 地域特性というのは、同じ東京でも、いろいろな地域で全く違う。私の品川、大田においても地域によって全く異なるわけでありまして、地域の特性にそれぞれ合った形で、本当の意味での防災、減災、ハード、ソフトの多重防御という言葉もありますが、やはり人間のハードパワーというのは極めて重要であります。そういったことを考慮しながら、我々も防災というのは超党派だと思いますので、提言をさせてもらいながら、ぜひともいい形で東京の首都直下型対策ができるよう、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。


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