松原委員 民主党の松原仁であります。
 今回の大島における大きな災害によって亡くなられた皆様に本当にお悔やみを申し上げ、私の知っている方もいたわけでありまして、お悔やみを申し上げ、また、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。
 私も、災害が発生して日を置かずにまた入って、現地を見てまいりました。本当に、ある意味において、この災害は悲惨でありまして、大島の町の歴史が始まって以来ということを地域の人に聞いてまいりました。
 現地も、私が行った段階では、多くの機動隊や現場の消防団の方々が働いておられました。既にあの段階で、現場の消防団の方々においては疲労が出ておりました。あとは、実は上空をヘリコプターがずっと舞っている、これが、私もメールを大島町の方から随分いただきましたが、非常にストレスになるというのが率直な地域の方の思いであります。
 この部分は、例えば行政のヘリコプターもあれば、また報道のヘリコプターもあろうかと思います。それが報道されることによって全国に情報が発信されて、多くの、まさに今御質問にあったような、ボランティアが集まるとか、また義援金が集まるとか、そういったさまざまな効果がありますが、どちらにしても、例えば、直後であれば、生きている方の声が聞こえないという可能性もこれあり、また、その現場にいる人たちのストレスになる、消防団の方もそういったことを私に語っていたわけでありまして、この辺、何か知恵がないかということもまず申し上げておきたいと思います。
 これは通告しておりませんから、もし何かお考えがあれば後で聞かせていただきたいと思っております。
 この被災が町長不在の段階で起きた、町長不在でこうした被災が起きたということに関してどんなふうな所感をお持ちか、まずお伺いいたします。

古屋国務大臣 まず冒頭の、事前通告はなかったのですけれども、ヘリコプターが飛んでいてどうなんだと。
 確かにストレスの問題と、それからもう一点、私はこれは今回の関係省庁会議でも指摘申し上げたんですが、サイレントタイムですね。初期は、これはやはり徹底する必要があるので、今後、そういった運営について関係者の御協力をいただいて、サイレントタイムをしっかり確保する。これは、阪神・淡路大震災のときの教訓もありますね。もちろん東日本もありますので、そういう対応はしていくべきだという認識を持っております。
 それからもう一点、町長不在だったことについてどういう所感を持っているかということなんですけれども、これはちょっと、所感というよりはファクトベースでまず申し上げたいんです。先ほども、公明党の委員のときに申し上げましたけれども、ちょっと違う視点で。
 六時四十五分と九時五十分に、気象庁から大島町に対して、今度の台風二十六号についての情報がもたらされているんです。それは、十六日の未明から十七日にかけて甚大な被害を及ぼす可能性がある、こういうことで、ただ、大島町長は十時十分の大島空港発の飛行機で立っておりますので、出張を取りやめるという選択肢もあったのかなという気はいたします。
 それから、あと、先ほども申し上げましたが、十八時五分に土砂災害特別警報が出ています。ただ、これはやはりファクスで通知していますので、今後、先ほどどなたかの委員でありましたように、インタラクティブでやる必要があるんじゃないか。それは、やはり反省点というか今後の教訓ですね。そういったこと。
 それから、やはり土砂災害警報が出たときには避難をするという、地域の防災計画にもありましたけれども、結果的に対応ができていなかったということです。
 もちろん、私は犯人捜しをするということが目的ではありません。今回の不幸な災害の結果をどうやって今後に生かしていくか、これが重要だと思っております。全国に千七百十九市町村がありますので、そういった方々の対応についてもよく検証しながら、我々が内閣府として、専門知識をしっかりと戦略的なアドバイスをして、二度とこういうことが起こらないような対策を徹底していく、これが何よりも大切だと思っています。

松原委員 この質問に関して幾つか御質問しようと思った項目も、今大臣が御答弁をいただいたので、少しそのことで。
 一つは、この土砂災害の警報がファクスで届けられた。ここは、まさにインタラクティブにするべきだと思いますが、その中で、逆に言えば、十八時五分に届いたけれども、それを町の役人もしくは連絡員、役場の人が見たのはいつごろだったかということだけ、ちょっと事務的に教えていただけますか。

日原政府参考人 防災担当の職員がファクスの存在に気づいたのは、十六日の午前零時ごろ、総務課長が登庁した際に気づいたということでございます。

松原委員 そこに時間差がかなりあるというのは、大変に残念だったと思います。
 気象庁にお伺いします。
 八百ミリメートルが元町の上の方で降ったわけでありますが、この八百ミリメートルというのは事前に予測できたのか。一時四十五分の段階で四百ミリメートルの情報提供をしているわけでありますが、そのときにはこのことは予測できたのか、気象庁にお伺いします。

西出政府参考人 気象庁は、十五日夕方の時点で、伊豆諸島で三百ミリ程度の降水を予測しておりましたけれども、大島町で局地的に八百ミリの雨が降ることは予測できませんでした。
 その後、一時四十五分に四百ミリを超えたというその時点でございますけれども、この時点でもその後の、十六日午前二時以降のあの百ミリを超えるような猛烈な雨についても、直前でも予測はできませんでした。

松原委員 私は、非常にここがこの問題の重要さだと思うんです。
 今、大臣は、インタラクティブなと。これは当然必要だと思うんです。それがあれば全然また状況が違った、大島のこの計画にもそれは書かれているわけですから。そういったことができなかったことも問題だけれども、それ以上に、町が危機感をもちろん持たなければいけないけれども、知見を町がどこまで持ち得るか、判断できるかということが実は大きな要素としてあります。
 つまり、雨量の今の予測、気象庁も、その部分に関してはある種の限界があるといいますか、そこまで予測できなかった。また、いわゆる地層の部分、地質の部分でもさまざまな議論がある。そういったときに、これらを総合的に判断して、国がもっと前面に立って、避難指示、勧告を首長に促すことが今回はできなかったのかということを、政府参考人で結構ですから、お答えください。

日原政府参考人 今回の事案を踏まえますと、危険であるという認識が十分に浸透しなかった、あるいは避難勧告についての判断が重要な機会になされなかったということを踏まえますと、勧告についてのガイドライン、我々はつくっておりますけれども、そういった点についてきっちり見直して、ちゅうちょなく避難勧告を出せるものに変えていかなきゃならないと思っています。今、ガイドラインの見直しを進めているところでございます。

松原委員 今回、実際にそこが、ホットラインもあるというふうなことも先般お伺いしたわけでありますが、機能していればというのは、本当に残念な思いとしてあるわけであります。
 当然、今、勧告もあるとか、また助言を求められれば助言するというふうな話は私も承っております。しかし、助言を求める環境かどうかも含めて、もちろんそれぞれの町は独立しているわけでありますから、当然そこは深い洞察力があるとは思いますが、しかし、他方において、やはりいろいろな知見や情報を集約し、総合的に危ないという判断をして行動するということになると、なかなかそこは、地方自治体の小さな首長では、荷が重過ぎるという表現は適切かどうかわかりませんが、判断に困る部分がある、やはり背中を押すところがなければいけないというふうに思っております。
 今後、確かに、求められれば助言はするとかということでありますが、もっと国が前に出て、求められなくてもきちっと言う、もっともっと国が前面に立って、こういった小さな地方自治体の首長に対し、また防災課に対してさまざまなアドバイスをするということは、今後は必要だと思うんですが、この枠組みについて、大臣、御所見を承りたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘の考えは、私も実は共有しています。全国に千七百十九市町村あるわけですよ。先ほどもちょっと答弁をさせていただいたんですが、本当にしっかりやっているところ、それから災害の多いところなんかは、かなり専門家も養成してやっていますよね。ただ、小さな市町村、町役場と言った方がいいかな、こういったところとか、災害が余りないところというのは、やはりどうしてもそういう認識が少ない。
 むしろ、そうなってくると、例えば避難勧告とか避難指示は首長が出すということになりますから、首長が出して何もなかったときに、逆に、首長がすごく町民から批判を受けるということになる。これはやはり、四年に一遍選挙をする人間ですからね。そうなると、どうしてもちゅうちょするという面があると思うんですよ。
 だから、これは首長や関係者だけの認識じゃなくて、やはり住民の皆さんも、しっかり、そういう避難勧告があったら、素直に、自分の命を守るために避難をする。そして、それが空振りに終わったら幸いだったと思う。特に、アメリカは五日前からそういう勧告を出しますよね。それで、結構、アメリカの場合は、それが空振りに終わると、みんな、ああ、よかったね、そういう認識を住民が持っているんですよ。だから、こういう認識を持ってもらうと、やはり首長さんもやりやすくなる。
 それから、一方では、今、松原委員が御指摘のように、地方公共団体の防災担当の皆さんが、しっかりそういうノウハウ、それから対応のあり方というものを身につけて、そのためにガイドラインの見直しもして、私も、それぞれの市町村に対してどうあるべきかということを検証するということを今進めていますよ。これは地方分権の大原則ですから、国が命令をするということはいかがなものかという意見もあることは事実ですので、適切に地方公共団体がしっかりそういう指示を出してくれるということが理想なわけでありまして、私たちもそういう対応をしていきたいというふうに思っております。

松原委員 時間も大分乏しくなってきましたので、急いで質問をしていきたいと思います。
 今回、砂防ダムは大いに役立ったという議論もあります。現地へ行って、砂防ダムのところでとまっている事例、長沢ですか、私も見てまいりました。
 この砂防ダムについては、必要だということで、もう本当に時間がないので、端的に、参考人から一言。

大野政府参考人 現地調査の結果、大金沢、長沢では、砂防堰堤が大量の土砂や流木を捕捉しております。下流の被害軽減に一定の効果を発揮したものと認識いたしております。
 特に、大金沢でございますけれども、砂防堰堤より上流地点で大量の泥流が尾根を乗り越えまして、大金沢の流域から外れた下流域で泥流被害が生じました。しかし、大金沢の沢沿いに流下した土砂及び流木は砂防堰堤が捕捉し、効果を発揮しております。

松原委員 こういった砂防ダムというのは、ぜひ、命を守るために、さらに沢のあるところで検討していただきたいと思います。
 現地では、この被災を受けて、居住できない土地が発生した場合、防災集団移転促進事業の活用や祈念公園の整備を行うべきだ、行ってほしい、こういった要望が強く出されています。私、現地を歩いてそういう声を、後で電話でも聞きました。
 こういった、いわゆる防災集団移転促進事業の活用や公園の整備というのはどういう段取りで可能なのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

望月政府参考人 今回の台風災害のような場合、一般的には、土砂災害を初め、災害による危険性を低減させる措置を講ずることが重要でございますが、居住ができない土地が発生した場合には、防災集団移転促進事業の活用や祈念公園の整備を行うことは可能でございます。
 防災集団移転促進事業につきましては、住民の居住に適切でないと認められた区域で活用いたしますが、市町村が移転元の土地を買い上げたり、あるいは移転先の団地の造成等を行う場合に国が支援するものであります。
 また、祈念公園につきましては、都市公園整備として整備する場合に社会資本整備総合交付金などにより支援をすることが可能でございます。

松原委員 居住できるか否かの判断はどこが行うんですか。そのことがこの議論のスタートになると思うんですが。

望月政府参考人 これにつきましては、市町村が建築基準法の三十九条に基づいて災害危険区域を指定します。条例に基づいてやります。そこの中で、居住が適さないというふうに指定をすれば、この事業は活用することができます。

松原委員 今回の場合は、大島町の町長というか町が、これは居住できないと、できない理由というのはいろいろとあると思うんですけれども、何をもってするか、これがきちっとそういうふうになったときは、それに対して防災集団移転促進事業の道は開かれる、こういう認識でよろしいということで私は今了解しました。そういうことですよね。首を振っておりますから、そういうことだと思います。
 最後に、古屋大臣に、今言ったことも含め、大島の復興というか、今後の大島の対策について全力で取り組んでいただきたいということと、先ほど公明党の方からもありましたが、こういうタイミングで、いわゆる飛行機というものに関して、これを廃止するような議論が出てくると、本当に町は勇気と未来への夢をなくしてしまうので、その点、御答弁いただきたい。

古屋国務大臣 先生は選挙区ですから、本当に心配であることはよくわかります。
 飛行機のことは、ちょっと私は所管じゃないので、しっかり国交省の航空局に伝えさせていただきたいというふうに思います。
 その上で、大島町はまだ行方不明者がいらっしゃいますので、この捜索の徹底、全員の行方不明者をまず見つけ出す。これは、自衛隊、警察、消防、国土交通省の関係者がもう全力でやっています。その上で、激甚災害に一応達するということになりまして、農業と中小企業、局激ですね。公共がどうなのか、これもできるだけ早く算定をしたい。
 それから、やはり被災者の支援のあり方ですね。応急仮設にするのか、あるいは借り上げにするのか、あるいはそのほかの方法があるのか。被災者の立場に立った対応というものをしっかり、大島町や都とも相談しながら対応を考えていくということがまずやるべきことだというふうに考えております。

松原委員 ありがとうございました。



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