松原委員 自由化を進め、電力に関する国民の選択肢を拡大していくということは、極めて重要であります。一方、しっかりと効果を上げるためには克服しなければならない課題があり、根本にかかわる課題を考える部分につき、重点的に質問してまいりたいと思います。
 欧米の先行事例を見ても、電力の小売自由化が効果を上げるためには、電力の需給に余裕があることが必要であります。しかしながら、現在は、原子力発電所の全てがとまっている中で、需給は逼迫していると認識をしております。需給逼迫の状況において小売自由化を実施しても効果が上がらないことも考えられるわけでありますが、このことについての御認識をお伺いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、需給が非常に逼迫しているこの状況下におきましては、仮に自由化というものを実施しても十分な効果が上がらないのではないかという懸念がございます。
 しかしながら、今回の法律案の施行というものは今から二年後の二〇一六年を目途に実施するということを想定しておりまして、この間に、例えば、電力の全面自由化を想定いたしまして多くの新規参入者あるいは電力会社が新規の発電所の建設や能力増強、こういう動きというものは既に具体化しているという状況にございます。
 それから、原子力発電所につきましては、御案内のとおり、今十原発十七基の安全性に関する適合申請が行われているところでございまして、原子力規制委員会によりまして新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重しつつ、原子力発電所の再稼働を進めるということでございますので、原子力発電所の再稼働というものも期待されることがあるというふうに考えております。
 さらに加えまして、今回の法律案で全面自由化が行われますと、いわゆるディマンドレスポンスということを可能とするような多種多様な料金メニューが提供されることになりますから、需給逼迫の改善にも資するということだと考えています。
 等々の事情を勘案いたしますと、需給状況というものは相当程度改善していくことになるのではないかと考えているところでございます。
 また、小売参入の自由化の効果というものは、料金の最大限の抑制あるいは経営効率化、さまざまな形で期待されているところでございまして、電力システム改革はこうした電力会社の努力を加速するということでございまして、スケジュールどおりきちんと進めていくことが重要であると考えております。

松原委員 今のお話でありますが、現在は厳しい、しかし未来は明るい、こういう話でありますが、未来というのは不確定であって、極めてそこは厳しく考えていく必要があろうかと思っております。
 需給の逼迫の解消については、今お話がありました原子力発電所の再稼働も一つの選択肢であるという議論がかねてからあります。しかし、仮にそういう議論が現実化する場合にも、国民の理解を得ることが極めて重要であります。
 再稼働について、国民の理解を得ることができるスキームを前向きに考えているのか、そしてそれをどのように構築するおつもりか。これは国民的な大議論であろうと思っておりまして、大
臣にその御見解をお伺いいたします。

茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、現在、十原発十七基の適合申請が行われております。今後、原子力規制委員会によりまして安全性が確認された段階で、立地自治体等関係者の理解を得るために、事業者が丁寧な説明を行うのはもちろんでありますが、国としてもしっかり説明していくことが重要だと考えておりまして、国の中でも役割分担が必要だと思っております。
 規制基準への適合はすぐれて規制委員会において説明を行っていただく、またエネルギー政策全体における原子力の位置づけ等々におきましては我が省、経済産業省において責任を持つ、さらには防災計画をやったり避難の問題につきましては内閣府の防災担当、こういった役割分担のもとに適時適切な説明を行っていきたいと考えております。
 今回決定を見ましたエネルギー基本計画におきましても、御指摘の国民の理解に関しまして、「エネルギーをめぐる状況の全体像について理解を深めてもらうための最大限の努力を行う一方で、エネルギー政策の立案プロセスの透明性を高め、政策に対する信頼を得ていくため、国民各層との対話を進めていくためのコミュニケーションを強化していく。」としているところでありまして、原発を立地してもらう関係の自治体はもちろんでありますが、消費地も含め、国民各層に対するしっかりした説明を丁寧に今後進めていきたいと思っております。

松原委員 これは、技術論でさまざまな切り口というのはあろうかと思いますが、最終的には国民の大多数の合意形成をどうするかというすぐれて政治的な課題でありまして、このことに関しては、通常のやり方でそこまで持っていけるのかということもあって、この場では、きょう時間にゆとりがあれば後でまたさらに質問したいと思いますが。この部分に関しては、その山を議論していかなければいけないと思っているところであります。
 次に、電力自由化の果実が国民に行き渡るには、適切な新規参入を促し、国民が電力会社を選べる環境をつくることが不可欠であります。諸外国の電力自由化の事例では適切な新規参入の成果が出ているものと評価しているかどうか、お伺いいたします。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、国民が電力自由化の果実を享受するということのためには、新規事業者の参入による事業者間の競争促進を図ることが重要でございます。
 諸外国でございますが、例えば、アメリカのテキサス州におきましては需要家の事業者変更率が非常に高いということで競争が一定程度進展していると考えられるわけでございますが、フランスにおきましては規制料金の体系に残る需要家が多いなど、十分に新規参入が進展しているとは言いがたい状況にあると考えております。家庭の年間事業者変更率という数字がございますが、フランスの場合、現在約四%ということでございます。
 こういったように、小売参入の全面自由化ということを実施すればおのずと新規参入が自動的にふえるというわけではないと考えておりまして、新規参入をふやしていくためのさまざまな環境整備ということが重要であると思います。卸電力市場の活性化あるいはインバランス制度の適切な設計等々の環境整備をしっかり進めていくことによって、新規参入を増大させる必要があると考えております。
 なお、フランスの教訓につきましては、今回の法案では、既存の電力会社に経過措置として規制料金は残すわけでございますが、一旦供給者を切りかえたり料金メニューを切りかえた需要家が再び規制料金を選択するということを認める制度としているところでございます。

松原委員 何か先に御答弁が若干あったかもしれませんが、日本のように電力卸売市場が未成熟な中で適切な新規参入が進むと考えているのかということに関してお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、新規参入の促進のためには卸電力市場の活性化が大変重要な課題だと考えてございます。
 卸電力市場の活性化につきましては、電力システム改革の一環といたしまして、既に昨年三月より、現行の法律の枠組みにおいてその活性化を図る措置を講じております。
 一点目といたしまして、電力会社が余剰電力を卸電力市場に売電する取り組みを進めております。また、卸電気事業者と一般電気事業者の間で既存契約がありますけれども、これを見直しまして、売電先の多様化を図るという取り組みを行っております。国としても、こういった事業者の取り組み状況をきちっとモニタリングするということも行っております。
 ただ、足元、原子力発電所がとまっておりまして余剰電力自体が少ないということがございますので、再稼働等によりさらに余剰電力がふえれば活性化するということが考えられます。
 また、今回の法案では、卸電力取引所を法定化いたしまして、経済産業大臣が卸電力取引所に対して報告徴収等の監督をすることができるようにしておりまして、こういったことを通じまして卸電力市場のさらなる活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

松原委員 適切な新規参入の促進に向けて、インバランス制度も含め、諸外国の教訓も見ながら、どのような対策を講じようとしているのか、これは電力自由化の果実をどうつくるかということでありますが、大臣の御決意をお伺いいたします。

茂木国務大臣 極めて重要な御指摘だと思っておりまして、今回、小売事業者にも空売り規制等々をしっかりかけてまいりますが、最終的には送配電事業者がエリア全体の安定供給の義務を負う形になるわけでありまして、その際の新規参入を促進し、また事業者間の適正な競争を図るという観点から見ますと、御指摘のインバランス料金が適正な水準に設定されること、そしてインバランス料金が事業者にとって公平に設定されることは極めて重要だと考えております。
 例えば、インバランス料金が余りに高く設定をされますと、小規模な事業者ほど需要の変動には対応が難しいわけでありますから、これが参入の障壁になることも考えられるわけであります。
 例えば、諸外国の例を見てみますと、インバランス料金の設定において、需給が逼迫をしていないときには安くして、需給の逼迫時には取引所の市場価格が高くなるのに連動してインバランス料金も高く設定するなど、取引所価格に連動する方法を取り入れる、こういった工夫もなされておりまして、これらの方法なども踏まえて、事業者間の公平に配慮しつつ、かつ新規参入の障壁とならないよう、しっかりと制度設計に取り組んでまいりたい、このように考えております。

松原委員 これも時間があればと思っておりますが、こういった公平さというのは非常に難しい概念だと思っております、何を公平とするか。一方において、電力の供給がきちっと長期的、安定的に行われるというのは、それを超えて重要なテーマであります。そういった極めて重要なさじかげんというものに関して、さらに一層の検討をしてもらいたいと思います。
 諸外国の先行事例を見ても、自由化を行って市場に委ねると、今のに絡んできますが、変動性の高い再生可能エネルギーのバックアップ電源設備の保有や、中長期の電源投資が難しくなり、安定供給に支障が出るケースが出ているとも聞いております。そうした事例についての分析は行っているのかどうか、お伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、海外におきまして、自由化を進める中で、十分な新規の発電投資が行われず、供給力の確保に懸念が生じている例というものがございます。
 私ども、そういうことにつきまして分析をしておりまして、こういったケースにおきましては、小売電気事業者に十分な供給力の確保の義務づけがなされておらず、発電所建設にインセンティブが付与されていなかったり、あるいは将来の発電所の不足が見込まれた場合のセーフティーネットの仕組みが導入されていないというような点が問題であろうかと思っております。
 そういった点につきましても私どもも十分分析しながら、今回の電力システム改革の制度設計をしているところでございます。

松原委員 今申し上げたように、一番重要なことは、エネルギー安全保障という観点から、中長期的な安定供給の確保をするということであります。もちろん、自由経済でありますから、その中で自由競争をし、消費者が選択できるというのも当然必要であります。今回はそういった趣旨のものであろうと思います。私は、日本はそういった経験がほとんどないわけでありますが、中長期的な安定供給というのは、政治がまさにそこは担保していかなければいけない大きな課題だと思っております。
 日本とそうした国々の環境の違いを踏まえた上で、我が国の制度設計において、中長期的な安定供給の確保についてどのように解決しようとお考えか、大臣にお伺いいたしたいと思います。

茂木国務大臣 先週の前半、国会のお許しもいただきまして、ローマで開催をされましたG7のエネルギー大臣会合に出席をしてまいりました。ウクライナ情勢を踏まえまして、今まで以上に、エネルギー安全保障、こういったことが中心になった議論であったかと思います。
 エネルギーの安全保障そして御指摘の安定供給、なかなか一朝一夕にはでき上がらない。発電そして送配電、相当な設備投資も必要になってくるということでありまして、中長期的な視点からの取り組みが極めて重要だ、このように考えております。
 今回の法案では、海外の教訓も踏まえた制度設計とする、こういう観点から、具体的には、小売事業者に供給力確保義務、いわゆる空売り規制を課すことによりまして、小売事業者の要請に応じて発電所が順次建設される仕組みとするほか、将来的に発電所が不足すると見込まれる事態においても、広域的運営推進機関にセーフティーネットとしての発電所の建設者の募集を行わせることで、最終的には必ず発電所が適切に建設される仕組みとしております。
 自由化を行った結果として、電力の安定供給、最も大切な部分が損なわれてはならないわけでありまして、安定供給の確保に今後とも万全の措置をとってまいりたいと考えております。

松原委員 今後の円滑な廃炉や、事故を起こした教訓として、安全対策の着実な実施など、原子力をめぐる第一線の人材や技術の継承が図られることは極めて重要であります。特に、東京電力については現在も人材流出がとまらないと聞いております。この原因が何であるか、お伺いいたします。

赤羽副大臣 今後の円滑な廃炉や電力の安定供給において、人材や技術の継承、確保が大変重要であるという松原委員の御指摘は、そのとおりだというふうに思っております。
 残念ながら、今回の福島第一原発の事故をきっかけに、東電の状況を見ておりますと、平成二十三年度に四百八十八名、平成二十四年度に七百十二名、平成二十五年度に四百六十五名といったペースで人材が流出しているというのが実態でございます。
 この要因は、個人的な要因、さまざま理由はあるかと思いますが、一般的には、急激な処遇条件の変更、また将来の先行きに対する不安等々、そういった理由で離職されている方が多いというふうに承知をしているところでございます。

松原委員 今お話を聞きまして、この三年間で千六百人ということでありまして、第一線で恐らく未来のエネルギーの供給を担う優秀な人材がどんどんとそこから去っていくということは、私は大変なリスクになる可能性があると。
 人材流出が長期的に続くとどのような弊害が出るか、このことについてお伺いいたします。

赤羽副大臣 今回の廃炉・汚染水対策をとっても、東電そのものが炉の設置者でもありますし、現場を一番知悉もしておりますし、これまでもそれなりの人材が供給されていた。そういった人たちが継続的に流出をされるということ、目の前の話としての福島第一原発の廃炉・汚染水対策、この流出が続くということが大変危機的な、心配な状況になってしまうということも、危機感を持って今対処しておるところでございます。

松原委員 いわゆる人材がどんどん出ていくという環境の中で、東電については国が第一株主であります、大きな責任を持っている。この人材流出についても、ある意味で国も責任を担っている、こう考えるわけであります。
 こうした人材、技術のレベルについて、そもそもどのような評価をしているのか、もう一回お伺いいたします。

赤羽副大臣 今申し上げたとおりで、ちょっと重ねての答弁になりますが、東電は炉の設置者として現場に精通をしておりまして、これまでもさまざまな作業に取り組んできていただいておりますし、相応の人材や技術のレベルを有しているものと認識をしております。
 ただ、私も現場に通っていて、今の廃炉カンパニーの責任者であります増田さんと話をしていると、当時、増田さんは第二発電、二Fの責任者でありましたが、改めて反省を込めて言われたのは、やはりある意味では下請任せになっている、東電自体が何でもかんでも全ての作業ができるという体制になかったということを本当に改めて反省したという御発言が私は大変記憶に残っております。
 また、地下水の挙動、これは大変重要なテーマでありますが、こうした土木関係についてもやはり得手不得手が企業の中にあって、今回、そういったことを東電任せにするのではなくて、国も挙げて、また土木関係、地下水の挙動に詳しい専門家、業界の皆さんのお力もかりながら、しっかりと国の責任を果たしていこう、こう考えているところでございます。

松原委員 時間があれば、ここもまたさらに後で深掘りをした議論をしたいと思っております。
 大臣にお伺いいたしますが、第一株主は国である。国は、人材、技術の継承、確保に対していかなる対策を講ずるのか、お伺いいたします。

茂木国務大臣 東電においては、福島の再生に正面から向き合うと同時に、廃炉・汚染水対策のためにも十分な体制を確保することが最優先であります。御案内のとおり、東電は、四月から社内分社化によりまして福島第一廃炉推進カンパニーを発足させまして、グループ全体から必要な人的、資金的リソースを投入して、体制の整備に当たっております。
 東電の新・総合特別事業計画、一月に大臣認定しました計画におきましても、東電が人材を確保し技術、技能を継承するため、二〇一五年度より採用を本格再開するとともに、人材と技術力の継続的な育成を図る、このように記載をされているわけでありますから、政府としても、東電において必要な人材や技術が確保されるか、しっかりと注視をしていきたいと考えております。

松原委員 ここも、人間ですからマインドの問題というのがありまして、今大臣がおっしゃったさまざまな施策もありますが、結果として今残っている東電の方々も、やっていけるぞ、これから日本のためにさらに汗を流すぞというふうに手に力が入るような、第一株主として矜持を示していただきたいというふうに思います。
 次に、米国スリーマイル島の事故や、ロシアはチェルノブイリの事故というのを過去に経験しているわけでありますが、事前にこういったものは予測できたかどうかお伺いいたします。

平野政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の事故の発生が事前に予測されていたという情報は承知しておりません。また、当時、それらを予測することは困難であったものと考えております。
 原子力規制委員会といたしましては、あらゆる事態が常に起こり得るという姿勢で安全性の向上を追求していくことが重要と考えております。
 新規制基準におきましても、シビアアクシデントを起こさないための対策に加え、万一シビアアクシデントが発生した場合への対策も求めているところでございます。

松原委員 日本の近隣である中国や韓国の原子力発電所の設置状況、新設計画、これからどんどんとつくられるというふうに聞いておりますが、その把握、認識をお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 世界、なかんずくアジアにおきましては、将来的には原子力の伸びが予想されております。
 御指摘のありました韓国でございますけれども、現在、二十三基二千七十二万キロワットの原発が設置をされております。本年一月に国家エネルギー基本計画を閣議決定しておりまして、設備容量で二〇一二年末で二六%の原子力比率を、二〇三五年までに二九%、規模でいいますと四千三百万キロワットまで引き上げることを決めております。約二千百万キロワットを新設するということでございます。
 また、中国でございますけれども、現在、二十基千八百七十五万キロワットの原発が設置されてございます。本年四月に行われました国家エネルギー委員会におきましては、経済成長を維持しつつ、クリーンエネルギーによる電力の確保に向けまして、新規の原発建設を加速し、二〇二〇年までに八千八百万キロワット規模にする方針が表明されたと承知しております。

松原委員 原発が何基新設かというところは把握しておられませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な基数がございませんので、足元が千八百七十五万、これを二〇二〇年までに八千八百万ということは、約八千万キロワット近くということですので、一基当たり百万から百五十万ぐらいでございますので、その規模によって基数が変わりますけれども、大体、百万でいうと七十基とか、百五十万でいうとそれ以下ということでございます。

松原委員 実際はどうなのかわかりませんが、今のを概略で計算すると七十基とか、すさまじい数の原発が中国で発電所としてつくられる可能性がある、こういうことであります。
 冒頭、スリーマイル、チェルノブイリ、事前に予測できなかったという話がありましたが、事故は予測不可能な中で起こっており、原子力発電所の数の増加は、当然リスクの増加と捉えることができるわけであります。その場合、その影響というのがさまざま発生をするわけであります。PM二・五も日本まで届いているということも言われております。
 近隣諸国の原子力発電所の増加が結果的にリスクの上昇につながる可能性があるとすれば、これが日本に与える影響についてどのような分析をしているのか、どのような対策を練ろうとしているのか、お伺いいたします。

黒木政府参考人 お答えいたします。
 近隣諸国の原子力発電所において事故が発生した場合の我が国への影響についての御質問であろうと思いますが、このような場合の影響を具体的、網羅的に事前に評価、把握することは困難でありますが、国外で発生する原子力関係事象に関しましては、関係機関が緊密に連携して適切な対処を行うために、内閣官房副長官を議長とする放射能対策連絡会議が設置されているところでございます。
 以上でございます。

松原委員 私はこれは極めて重要なことだと思っております。特に中国において、わかりません、しかし、五十基、六十基、七十基という数の増加が仮にあるとするならば、そして、今言ったようにスリーマイル等も含めて事前にそれを予測されていなかったとするならば、我々は、さまざまな議論をする中で、もちろん、先ほどの再稼働については大臣が国民的な合意をつくるための努力をされると思いますが、そういったことも含めて、このリスクをどういうふうに評価して、どう備えるか、それに対して無関係であっていいのか、大きな議論があるかと思っております。
 このことについて、大臣、質問通告していませんが、何かお答えできますか。

茂木国務大臣 当然、さまざまなリスクに対して、国として万全の体制で臨んでいかなければならない。そして、例えば近隣諸国の問題、それから世界的な原子力の安全の問題につきましても、我が国として、福島第一原発の過酷な事故を経験したわけでありまして、その経験であったりとか教訓を世界と共有していくことは我が国の責務でもある、そのように考えております。

松原委員 電力のみならずガスのシステム改革が進み、エネルギー総合産業として競争力のある産業となり、同時に国民にとって利益を享受できる世の中にしていくことが必要であります。
 電力システム改革が先行する形で、現在まだガスのシステム改革についての全体像が示されていませんが、これを同時並行的に進めていく、その考えについて、大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 極めて重要な御指摘だと思っておりまして、電力は電力、ガスはガスという形ではなくて、今後は、エネルギーの需給体制全体として、幅広い視野からのさまざまな改革が必要だと思っております。電力システム改革と相まって、ガスが低廉、安全、そして安定的に供給され、消費者に新たなサービスなど多様な選択肢が提示されるガスシステム、こういったものを構築するために、昨年の十一月に総合資源エネルギー調査会にガスシステム改革の小委員会を設置して、検討を開始したところであります。
 ガスシステム改革を進めることによりましてエネルギー間の相互参入が可能となりまして、既存のエネルギー企業がさまざまなエネルギー供給サービスを行う総合エネルギー企業へと発展できる環境が整備される、このように考えているところでありまして、このような観点から、ガスシステム改革もできるだけ早期に検討を取りまとめ、速やかに実行に移してまいりたいと考えております。

松原委員 時間が終わりまして、最後の質問はいたしませんが、一昨日、近藤洋介議員の質疑の中でスト規制法についての議論があったわけであります。厚労省においては、しっかり意見を聞く、対応するという約束をしたわけでありますが、少なくともその検討の際には、結論ありきではなくて、ゼロベースで見直すということを強く要請しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。


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