「じゃあ、黙って走ったらどうなんだ?君は走る必要はない。でも、走ることを選んだ。」(ルー・タイス | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
気功師から見たバレエとヒーリングのコツを公開します。
「まといのば」では、バレエ・ヒーリング・美容の各種セミナーを行っております。

キプチョゲ・ケノイという名前は知らなくとも、長距離ランナーのオリンピック選手に向かって、走るのをやめたらどうだと言ったルー・タイスのことは知っているでしょう。

c.f.じゃあ、黙って走ったらどうなんだ?君は走る必要はない。でも走ることを選んだ。(ルー・タイス) 2017年12月28日

c.f.「解決策はあるよ。でも、君はそれを嫌がるかもしれない」 「教えてください。どんな方法ですか?」 2019年02月08日

 

 

僕はこの話を幸いにもルー・タイス本人の口から聞いたことがあります。

それもセミナーとかではなく、数名だけしかないカジュアルな場で。

 

僕が驚いたのは、「僕が走るのは、モントリオール・オリンピックで勝てたら、牛がもらえるからです。僕の国では、それでずいぶ ん金持ちになれるんです。」のくだりです。

 

耳は「Cow」とヒアリングしていたのですが、脳が「CowではなくCarでしょ」と勝手に認識し直していました(「ルーの英語、訛りすぎでしょ」って)。

「さすがに牛ってことはないでしょ」、と。フェラーリとかのような車を思い浮かべていました。今でしたらさしずめテスラのような。

 

 

でも、しばらくして、それが本当に「Cow」であることに気付き、本当に驚きました。

 

というか、ルーは繰り返しCowと言いましたし、周りにいたネイティブが「え?Cowで」とか聞いて、ルーが「そうそうCowだよ」みたいな話しもしていたからでしょう。ひとしきりCowが飛び交って、、、、ようやく僕の灰色の脳細胞もCowと認識して、そして驚いたようです(遅すぎ)。

 

文化は多用ですし、自分勝手な解釈を入れてはいけないなと思いました。

 

耳は聞こえていたのに、脳なり心が自分を裏切るケースです。

 

僕らはそうやって大きな壁を作ってしまっています。

どれほど意外なことであっても、素直な自分の目と耳を信じて、信じられないようなことでもまずは受け入れていかないといけません。もちろん受け入れたあとに取捨選択するのは自由です。

 

c.f.毎日三十分はお稽古しましたよ。そう、朝ごはん前に、ありえないことを六つも信じたことだってあります 2018年04月20日

 

僕も、Cowのために苦しみを押しても走るという人がいるという現実を、受け入れました。

(Have toがWant toにかわったくらいで激痛が消えるはずもなく)

 

何の話かと言えば、こんな話です。

 

以前、キプチョゲ・ケイノというケニア出身の長距離ランナーのコーチを務めたことがありました。彼はモントリオール・オリンピック出場を目指していたところで、レースの最終ラップ、最後の四〇〇メートルになるといつも経験する激痛に打ち勝つために、何か心理学的な訓練方法はないか知りたがっていました。

私は彼にたずねました。

「レースのそのポイントに差しかかったとき、何を考える?」

「あと四〇〇メートルも走らなければならないと、思います」

「しなければ」を基準に考えることで、自らの痛みの原因をつくり出していました。

そこで、私は言いました。

「解決策はあるよ。でも、君はそれを嫌がるかもしれない」

「教えてください。どんな方法ですか?」

最終ラップに入って、最後の四〇〇メートルを走らなければならないとわかったら、そこで止まるんだ。走るのをやめるんだよ。そこで止まって、トラックの内側に座り込むんだ」

キップは言います。

「そんなの、ばかげています。座り込んだら、レースで負けてしまうじゃないですか」

「そうだ。でも、少なくとも君の肺は苦しくなくなる」

「僕が何のために走っていると思っているんですか?」

「まったくわからないな。 いいかい? 私が走らないことは知っているだろう? 私だって、あの痛みは我慢できないさ」

「僕が走るのは、モントリオール・オリンピックで勝てたら、牛がもらえるからです。僕の国では、それでずいぶん金持ちになれるんです。家族は、僕をアメリカの大学に送るために自分たちの生活を犠牲にしてきました。だから僕は、家族のためにも国のためにも、金メダルをとりたいんです」

私は言いました。

「じゃあ、黙って走ったらどうなんだ? 君は走る必要はない。でも、走ることを選んだ。私になぜ走りたいかを話した。それは君自身の考えだ。本当は無理して走る必要などないんだよ。レースを終える必要なんてないんだ。いつだって止まることができるんだ」

「僕は走って勝ちたいんです」

「じゃあ、それに気持ちを集中しろ。『したい』『選ぶ』『好む』を忘れずに練習しなさい」

(pp.85-86 ルー・タイス『アファメーション』)

 

ちなみに、ここでの問題は、

 

Q.1 ここでのTopic sentenceは何か?

 

です。

 

Topic sentenceという言い方が適切かは分からないので、この引用箇所を一文で表しているものを抜き書きしなさい、という感じが良いかもしれません。

 

制限時間は3分ほどで(^o^)。

 

 

話は変わりますが、真に成長する良い方法は、、、、、学校と反対のことをやることだと最近つくづく痛感します。

 

たとえば、学校では試験は一人で解きます。

 

大学などでは、試験において持ち込みは自由な場合が多いです。

僕の尊敬する村上陽一郎先生(東大名誉教授、科学史科学哲学)は「何を参照しても構いません。他人の解答用紙以外は」とおっしゃっていました。オシャレな言い方ですね(そして論理的)。

 

「他人の解答用紙を覗き込んではいけないけど、それ以外は何を観ても良いよ」とおっしゃっていたわけです。余談ながら、その授業はたしか論理学概論でした。問題がほぼすべて論理計算で、完全に数学の授業でした。ひたすらに長い長い論理式を解いていくという問題で、ただのパズルだったので、僕は超簡単でしたが、面食らった人も多いと思いました。

 

(これは書くのを迷ったのですが、、、、数字と数学の違いが分からない哲学者が月の裏にいるそうです。論理計算に数字は出てきませんが、これは数学です。時計で時刻を知るのは、数字を読むことですが数学ではありません)

 

 

(引用開始)

数学は、ほぼどの分野にも日常生活にも明らかに必要です。あなたが会計士か、ほかのどんな仕事をしていてもほぼ毎日、数学を使います。私たち全員がそうです。時計を見るにしても数字が必要です。ですから数学は非常に一般的で非常に重要な学問です。疑いの余地はありません。(引用終了)

この引用の前後に哲学について書いています。哲学が数学をマウントすることで、「哲学が最高レベルの学問」であることを示そうとします。

でも、味噌と糞の区別がつかない調理人の味噌汁を飲みたいとは思いません(いや、下品ですね。馬と鹿の区別がつかない王様は、、、)。

会計士がやっているのが数学だと思う知性が「最高レベルの学問」を牽引しているとは、、、彼らがやっているのは算術であり、計算です。

「まといのば」に長い人は「数学に数字は不要」という議論を思い出すかもしれません。

同様に時計を見ることは数学ではありません。

(いや、重箱の隅をつついているのではなく、一事が万事なのです。たとえば、数学の公理系の話しをするべきところで、彼はN進法の話をします。いやいや、それは表記法の違いであって、公理系は同じでしょ。たとえばチューリングとゲーデルの業績の紹介も噴飯ものでした)

 

 

 

それはさておき、この「他人の解答用紙以外は」というところが、ここでの肝です。

そして僕らは他人の解答用紙も参照しましょう。

(というか、さんざんそれをやってきた人生で、唐突に方針転換するのも、、、あ、これまでが無意識だったからか)

 

学校で試験をするときは、制限時間の中で自分で考えて、自分で解かなくてはいけません。

 

だから、、、、、ろくに成長できないのです(笑)。

 

この逆をやれば良いのです。

 

制限時間はなしで、片っ端からみんなの解答用紙を覗き込みましょう。

 

解答解説も読んでしまいましょう。

 

 

だ・か・ら(So)、ブログに回答を次々と載せています。

 

 

いや、ガチの解答解説にアクセスできる人もたくさんいます。

 

シン・メンター養成スクールの受講生はモロに解答解説を受けていますし、パンデミック講座でも思いっきり丁寧な解答解説をしています。それを記憶しておけということでもなく、思い出せということでもなく、ビデオ教材でも何度も繰り返し観ることもできます。

 

それなのに自分の頭で解こうとするから、永遠に(文字通り「永遠に」)解けないのです。

 

そもそも自分の頭で考えて解けるような、そんな頭だったら、数分で解き終わっています(そして、幸か不幸か、そういうメンバーもいます。秒で回答に至るメンバーもいます。ですが、彼らと「席を同じゅうせず」が良いでしょう。自分の愚かさに自死を選びたくなります。能力別クラスが良いのです)。

 

 

だから他人の頭を使いましょう。

 

どんどんカンニング(チーティング)もしていきましょう。

 

たしかにニュートンはずっと一人で考えていましたが、彼には友達がいませんでした(あ、そういえば3人いましたね。ひとりはプラトン、ひとりはアリストテレス。でも本当の親友は真理でした。

この話しの読解は、、、、真理を友だちにしたことによって、前の親友を弾き飛ばしたということです)。

 

c.f.プラトンは私の友、アリストテレスも私の友、しかし最大の友は真理である 〜最高の開運法とは?〜 2018年06月16日

 

 

そもそも人生がミメーシスというカンニングで彩られているのに、成長しようとした途端に、自分の頭で考えようとするから、ますますドツボにはまるのです。

 

そもそも「しかし」一つが正確に読めなくて、何が読めるのでしょうか?

 

自分の頭に期待するのはやめて、カンニングしまくりましょう。

 

「カンニングしたら、自分の頭で考える力が無くなる」という学校の先生みたいな反論が頭をよぎったら(それもミメーシスでしかないのに)、そもそも「しかし」が読めないほどに読解力において、愚かな自分が、カンニングをしたところで、それが読解できるのだろうか?という質問をしましょう。

 

そうなんです。

 

読解できません。

 

シン・メンター養成スクールを受講したあとに回答を寄せて下さった方がいますが(たくさん)、驚くほどに読解ができていなくて、僕自身が講師として絶望しました。

僕の読解の説明能力がゼロというよりかマイナスなのではないかと疑心暗鬼になっています。

 

パンデミック講座の後も同様です。

あれほど明解にルー・タイスの「しかし」の逆接を説明したつもりで(受講生も理解を示してくれたと思ったのですが)、それは僕の脳内お花畑が見せた妄想だったようです。

 

 

 

ということで(強制終了の合図)、がんばって問題を解いてください。

 

学校の方針と真逆に解いてみてください。

 

 

あ、ちなみに「English Nativeにルー・タイスの原文を見せようかな」という誘惑について書いてくれた方がいましたが、、、、、もちろん、どんどんやれば良いと思います。

 

ただ、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

皆さんの多くも日本語ネイティブですよね。

日本語ネイティブが日本語を読めないという事例を少なくとも1例知っているのに、そのご友人のEnglishNativeが英文を読解できると考えていることが、まさに非論理的です。

それから、「頭の良い人に見せようかな」という誘惑について書かれる人がいますが、、、、「まといのば」のメンバーは(そうは見えないでしょうが)、かなり高学歴ですし(それに伴って比較的に高所得です)、社会的に見れば、かなり知的水準は高いのです。

 

ポジティブに言えば、その人達ですら読めない世界にルー・タイスは秘密を隠しているのです。そのお宝にアクセスできる人はわずかなのです。

 

 

では、問題です!

 

課題文はこちら。

ルー・タイスの『アファメーション』の有名な一節です。

 

私の人生はかつて思い描いたものとは、まったく異なるものになっています。
 
あなたの成功も思ったとおりの形では訪れないかもしれません。しかし、将来振り返ったときは、私のように「わからないものだね。今、コーチをしているんだ」と言っているかもしれません。つまり、大きな理想を描くときには、細かい計画をしないほうがいいのです。方法や手段を固定するのも良策とはいえません。結果を思い描き、方法や手段には柔軟性を持たせましょう。
(p.295-296  ルー・タイス『アファメーション』)

 

 

 


Q.1 上記の文章を読み、ルー・タイスはなぜここで「しかし」を使っているのか、その前後で何が逆接なのかを読み解いて、説明しなさい。

 
で、翻訳だとニュアンスが変わるから、原書で読みたいという方は、原書の方も引用を載せておきます。
 
My life is very different from the way I thought it would be.
 
Your success may not come the way you thought it would either. But if you stop and reflect back, you may say with me, “Well, what do you know, I am a coach.” So, be careful that you don’t map the way to some of your big ideals. Don’t lock on to some method or means. Keep the end in mind, but be flexible about ways and means.

 

 

 


Q. 2文目の「Your success may not come the way you thought it would either. 」の文法的構造を解きほぐしつつ、なぜこの次に続くのが「But」なのかを説明しなさい。