石はいくつかな(登校日の授業)
毎年,お盆明けには夏休みですが「登校日」があります。通常通り登校して,11時前には下校するので,2時間程度の時間しかありませんが,そんな日でも私は毎年算数の授業をしています。今年は「石はいくつかな?」を行いました。 夏休みに,どこかの「お城」に行かなかったか,などの話をして,石垣の話をします。石垣に見立てた「正方形」の画用紙を何枚か貼り,何枚あるかをたずねながら,この日はこの「石」(正方形)がいくつあるのかを考えていくことにします。 最初に3段のピラミッド状に並べ,石の数をたずねると当然「9個」という答えが返ってきます。しかしここで,「これが9個あることは1年生でもわかるよね。3年生なんだから,この9を出してきた式を考えてみてください。」と投げかけました。 子どもたちはたくさん考えつきました。下の段から足していく「5+3+1」は多くの児童が考えついていました。逆に左から順に足す「1+2+3+2+1」は,一人もいなかったので,これは子どもの発想でしょうか。あるいは「ビラミット」という設定がそうさせているのでしょうか。 他にもいくつかの式が出てきましたが,その中で「3+3+3」に関しては,いろんなとらえ方が出てきました。「3」を様々なところでとる児童がいるのです。中には無理矢理っぽいとり方もありましたが,この段階ではこれでいいでしょう。この「3+3+3」が出たために,「3×3」という式が,出てこなかったのですが,意味が同じなので特に声をあげなかったようです。(実際にはたくさんいた) 次に,ピラミットを4段にします。今度も先の式以上にたくさんの式が出てきました。上からや下から順に足すなど,3段の時の見方を使っているのは素晴らしいことです。 そんな中,「4×4」の式に対する見方が,3段の時同様たくさん出てきました。ただ,今回は見方の一つに「凸型に4を見る」というアイデアが出てきました。このアイデアを確かめているときに,一人の児童から,「同じ形になっている。」という呟きが起こりました。「凸型3つ」と「逆凸型1つ」となり,全部が凸型になっているのです。周りの児童からも歓声が起こりました。このような,「美しさ」は,芸術だけでなく,算数そのものの「美しさ」ともいえるのでしっかり称賛しておきます。4年生の「式を読む」の学習で,正方形状に並べなれた石の数を式で表し・読む学習がありますが,その時に生きてくるでしょう。 さらに5段に進めます。ここまで来ると子どもたちは勝手に図をかいて,式に表して求めていきます。ここでもたくさんの式が出てきましたが,時間の都合もあり,は一つ一つ検討することはできず,結果が「25個」になることを確認するだけにしました。 最後の『ノートにしゃべろう』のお題を出します。お題は,次の6~9段をすっ飛ばし,いきなり「10段の時の石の数」を求め,その理由も書かせることにしました。 正解の「100個」を見つけたのは3人でした。いずれも「3×3」「4×4」「5×5」の式から「帰納・類推」しての予想でした。一方「50個」という答えも何人かいました。「理由は,5段が25個だから,段が2倍になったから個数も2倍になるだろう。」というものでした。結果的にはまちがっていますが,「類推」としては立派に成り立つ考えです。「数学的な見方・考え方」として,正解に比べて劣る点はありません。 授業はこれで終わりました。「等積変形」で,正方形状に並べて演繹的に説明することは,初めからねらっていませんでした。もちろん出てくれば扱いますがい,3年生では無理でしょう。もし強引に出させたいのであれば,序盤の問題意味理解のところで,正方形状の石の数を考えさせておくなどすれば出るかもしれませんが,そこまでする必要はないでしょう。 一方,発展的な扱い方として,ピラミッドの大きさが「長さ(段数)が2倍」になったので,石の数である「面積は4倍」になるから,「25×4=100」という取り扱い方が,6年生の「拡大」などの発展として,使えるかもしれません。 夏休みの貴重な1日で,久しぶりの授業を楽しみました。 にほんブログ村