私は数学の心や心理学を広く伝えたいと考えていますが、
活動をする際、大切に思っていることがあります。
それは、、
居場所
ここではそのことについて、
セラピストのパールズやアーティストのセカオワを通して、
書いていきたいと思います。
私は心理セラピストのフレデリック・パールズの著書 『記憶のゴミ箱』 を愛読しています。
フレデリック・パールズは、ゲシュタルトセラピーを提唱したセラピストです。
最初は、ゲシュタルトセラピーに興味があり、読み始めたのですが、
読み進めるにつれて共感するところが多く、何度も読み返しています。
ここでは、私の琴線に触れた部分を書かせていただきます。
< パールズの著書 『記憶のゴミ箱』 >
パールズはニューヨーク・ゲシュタルト研究所で活動をしており、
アメリカで一定の評価を得ていました。
ところが、
研究所の運営方法の違いなどで、
他のメンバーとの溝が深まっていきます。
ある日、
自由で気ままな性格のパールズは、
研究所から離れて、放浪の旅にでます。
彼はワークショップやトレーニングをしながら
アメリカの西海岸や日本、イスラエルなどを旅しました。
そして、
カリフォルニアのエサレン研究所にたどり着きます。
エサレン研究所は、自然豊かで、温泉施設もあり、
断崖から海が見渡せる場所に建てられていました。
そこで、心理セラピーやヨガ、マッサージ、瞑想など、
全米からセラピストが集まり、自由にワークショップが行われていました。
パールズは、エサレン研究所の自由で
神秘的な雰囲気が好きになりました。
< パールズの住んでいた場所 >
彼はエサレン研究所に住み、
セミナーやワークショップを行うようになりました。
エサレンでは、みんなよく泣きました。
『男は泣いてはいけないよ』 は
『よく泣きなさい』 に取って変わられました。
ワークショップの参加者は、感情を解き放ち、共感し、
男性も女性も涙を流し、心の触れ合いが行われていました。
パールズ自身、参加者と一緒に、
悲しみ、泣き、喜び、踊った
といいます。
パールズはエサレンの生活で、
夜遅くまで起きていたり、
昼頃まで寝ていたり、
パジャマで過ごしたり、
自由気ままに過ごしていました。
自由が好きなパールズには、
エサレンでのこのような生活が合っていました。
パールズにとって、エサレン研究所は、
心落ち着く 『居場所』 だったのかなと思います。
一方、私は SEKAI NO OWARI (以下、セカオワ) の音楽が好きです。
彼らの音楽や世界観、活動の姿勢に強く惹かれるのです。
なぜ私はセカオワに惹かれるのだろう?
セカオワの原点はなんなのだろう?
そんな風に考えていたら、
ある小さなライブハウスのことが思い浮かびました。
セカオワがまだデビュー前の頃、
印刷工場の地下室を借りて、
手作りで内装を整えて、
小さなライブハウスを作り上げます。
全部で500~600万円かかったそうですが、
当時、メンバーは6万円しか持っておらず、
それぞれが200万円近く借金をしたそうです。
バイト代はすべて借金返済にあてて、
節約生活をしていたそうです。
完成したライブハウスは、club EARTH と名づけられました。
夜はライブを行い、その他の時間は、
メンバー4人が共同生活をしていました。
< さおりさんによる小説 『ふたご』 >
そういえば、
セカオワのメンバー、さおりさんによる小説 『ふたご』 の中でも、
似たような場面が登場します。
小説(実話?)の中で、男の子3人がバンドを始めようとして、
主人公の女の子と一緒に地下室を借ります。
男の子3人は、まだ楽器もない地下室で、
キャンプ用の長イスにもたれて楽しそうにはしゃいでいました。
女の子は、彼らの様子を見て、
これから音楽活動をしていくうえで、
「彼らがやっていることは、通常の道筋と比べると、
とても遠回りをしている」
と感じました。
その通りです。
楽器も何もない地下室で、ただしゃべっているだけですから、
とても音楽活動とはいえません。
でも、一見、遠回りに見えるのですが、
そんな時間が本当は大切なのかなと、
私は小説を読みながら感じました。
小説の中で、女の子があきれて、
「バンドって、こんなことしなきゃできないの?」
と聞くと、
男の子は、
「バンドは、こんなことしなきゃできないんだよ」
と答えます。
その男の子は続けます。
「今まで何度かバンドをやってきたけど、
1週間に数時間スタジオに入ったくらいでは、
うまくいかなかった。
だから、
いつでもみんなが集まれる空間を作りたい」
< club EARTH、セカオワにとっての出発点です >
私は小説を読みながら、
この男の子(深瀬くん?)の言う通りだと思いました。
用がなくても、
ふらっと集まれるような場所
時間を共有できる空間
安心できる雰囲気
つまり、メンバーにとっての
『居場所』
を深瀬くんは創りたかったのです。
それは、
音楽活動をしていくうえで、一番大切なのは
『居場所』 だと深瀬くんが考えていたからです。
セカオワはメジャーデビューをして、手作りのライブハウスから離れましたが、
人気バンドになってからも、一緒に共同生活をしています。
club EARTH とは別の場所、
セカオワハウスで一緒に生活をするようになります。
同じ家で普通に起きて、
一緒に仕事に行って、
ご飯を食べて帰ってくる。
そんな日々を送っています。
なんだかほのぼのしているというか、
普段、私たちが忘れかけている何か大切なものを、
思い起こさせてくれるように感じます。
バンドとしてブレイクしてからも、
メンバー感の 『つながり』 や 『絆』 を大切にしている
セカオワの姿勢は、とても素敵だと私は思います。
私は、フレデリック・パールズやセカオワのこれらの姿勢に惹かれます。
何か大切なことを、伝えてくれているような気がするのです。
近年、私は算数・数学や心理学のセミナー活動に力を入れています。
それは私が、数学や心理学を社会に広く伝えていくという
ミッションを感じているからです。
そんなとき、手段や方法という 「やり方」 ではなく、
自分自身の 「あり方」 を大切にしたいと思っています。
私は、数学や心理学の活動を展開する際に、
『居場所』 を創ることから始めたいと思っています。
去年から私は、京都の四条烏丸にある
シェア・サロンでセミナーを始めました。
サロンではホワイトセージの香りがほのかにして、
空気が浄化されているように思います。
そばには静かな御射山公園があり、
訪れる人々の憩いの場所となっています。
私は、パールズにとってのエサレン研究所、
セカオワにとってのセカオワハウスを
京都の四条烏丸に創りたいと思うようになりました。
エサレン研究所のような、
自由な雰囲気、澄んだ空気、スピリチュアル、
セカオワハウスのような
つながり、絆、安心感
を大切にして、
シェア・サロンをセミナーやワークショップなどを通して、
みんなが時間や空間を共有できる
『居場所』 にしたいと思っています。
< 関連 >
フレデリック・パールズとエサレン研究所 ~ パールズにとっての『居場所』 ~
セカオワと「居場所」について ~ 小説『ふたご』を読んだ感想 ~