不思議の国のアリスとチェシャ猫からの論理問題 ~算数ファンタジー~ | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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アドラー心理学的な世界観のコラムやエッセイを書いています

不思議の国のアリスでは、チェシャ猫という
不思議な猫が登場します。

チェシャ猫は、にやにや笑みをうかべて、人の言葉を話し、
自由に消えたり表われたりできる不思議な猫です。


物語では、木の上からチェシャ猫が、
アリスになぞなぞのような問いかけをする場面があります。


再現すると、

チェシャ猫はアリスに、


「犬は狂っていない」

 

という前提を確認して、次のように言いました。


「犬は怒ったときにうなり、うれしいときにしっぽをふ振る。
 私はうれしいときにうなり、怒ったときにしっぽを振る。
 だから、私は狂っている」

 

 

 


これは算数の論理問題ですが、とても分かりやすく書かれています。


このことを論理的に、算数的に考えてみます。

「犬は狂っていない」 という前提を考えると、

チェシャ猫は、

「狂っていないものは、怒ったときにうなり、うれしいときにしっぽを振る」

と主張していることになります。

これをもとに、「私が狂っている」 ことを示したいのですが、

これは、

論理的には、

「怒ったときにうなり、うれしいときにしっぽを振る」

を否定すればよいことになります。

これは両方否定する必要はなく、
どちらか片方だけでも否定すればよいのです。

 


つまり、

「私は、怒ったときにうならない」

と言うだけで、私は狂っているということになります。

なぜなら、狂っていない人は、怒ったときにうなるからです。

ですから、

「私はうれしいときにうなり、怒ったときにしっぽを振る」

という文章は、「うれしいとき」 と 「怒ったとき」 の両方を否定しているので、
とてもまわりくどいというか、強調しているように感じます。


もし、最初の文章が、

犬は怒ったときにうなるか、または、うれしいときにしっぽを振る。

だとしたら、

これを否定するには、

「怒ったときにうならず、かつ、うれしいときにしっぽを振らない」

というように両方否定する必要があります。


理解していただけましたか?


ここまでをまとめると、

「AかつB」 を否定すると、「AでないまたはBでない」

「AまたはB」 を否定すると、「AでないかつBでない」

ということなのです。


チェシャ猫の最初の主張は、「AかつB」 のタイプなので、
否定するときは 「Aでない」 または 「Bでない」 だけでよいのですが、
チェシャ猫は 「AでないかつBでない」 の形で強烈に否定しています。


論理問題に慣れている人からすれば、
あれっ、ちょっとやりすぎでは?と感じるかもしれませんが、

小説ですから、著者のルイス・キャロルは、

論理的な正しさを保ちながらも、
読者により分かりやすい強い形でまとめたのでしょうね。

 

 

 

 

 

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【コラムの執筆者】

 

 

松岡 学

 

高知工科大学 准教授、博士 (学術)

数学者、数学教育学者

 

大学で研究や教育に携わる傍ら、

一般向けの講座を行っている。

 

アドラー心理学の造詣も深く、

数学の教育や一般向け講座に取り入れている。

 

音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。

ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。

 

出版物:『数の世界』ブルーバックスシリーズ、講談社。 

『5歳からはじめる いつのまにか子どもが算数を好きになる本』スタンダーズ社。

 

 

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