算数エッセイ 算数を伝えるときに、いつも思っていること | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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昨年末、広島で行った親子算数セミナーでは、

小学校1年生から5年生まで


たくさんの子どもたちと一緒に算数を楽しむことができました。

 


子どもたちやお母さん方が、

算数を楽しんでくださっている様子に、
私自身も、元気をいただいたように感じました。


私が算数講座の教材を作るとき、
計算問題などのテクニック的な内容ではなく、


もっと、算数の本質を感じられるような内容を考えています。


確かに、

計算方法や問題の解法などを覚えれば、
目先の算数の点数はあがります。

成績や受験だけを考えれば、
解法の暗記的な算数は有効かもしれません。


ただ、

そんな機械的な算数では、寂しいと思うのです。

 

 




それに、子どもたちが興味のわかない問題を、
義務的に覚えたとしても、

算数の本当の力は身につかないと思うのです。


やっぱり、

”算数って楽しい” ”面白い”

と思うことが、

算数を学ぶうえでの源泉になると思うのです。


”算数を学びたい”

 


という気持ちが内からあふれてくれば、
子どもたちは自然に算数に取り組みます。

 





誰かに言われてやるのではなく、
自分の意志で算数を楽しむ。

そんな風になって欲しいという願いを込めて、
私は算数講座をしています。


ですから、

算数の楽しさや不思議さ、感動をお伝えしたい
という気持ちで、いつも教材を作っています。




広島親子算数セミナーでは、

紙を貼ったり切ったりして図形に親しむ

というテーマを扱いました。

具体的には、

メビウスの輪やドーナツの形の図形(数学ではトーラスといいます)
のお話をしました。


講座中、

「ドーナツとコーヒーカップは同じですか?」

という問いかけをしました。


子どもたちはみんな

「全然違う!」

と答えていました。


​ このくだりは、講座の構成上なくてもよいのですが、
今回、私はぜひ入れたいと思っていました。

それは、

「子どもたちに数学の本質を伝えたい」

という私の想いがあるからです。


このくだりの答えは、

「連続的に変形すれば同じになる」

ということです。


どういうことかというと、

コーヒーカップは固いという固定観念を捨てて、
コーヒーカップが柔らかいゴムで出来ていると考えます。

そして、

コーヒーカップを伸ばしたり縮めたりして、
(ちぎらずに)連続的に変形していくことで、
ドーナツに変形できる

という視点を伝えたかったのです。


 

 


あまり算数(数学)のように感じられないかもしれませんが、

実は、

これは数学のトポロジーという分野の本質の1つを表しているのです。
トポロジーは柔らかい幾何学と呼ばれています

大学の数学科で習う内容ですが、
このような数学の本質を、難しい言葉を使わずに、
興味深く伝えることはできる

と、私は考えています。


ですから、

何気ない問いかけや教材の背景に数学の本質を込め、
算数の楽しさや不思議さ、美しさを子どもたちに伝えたい、

と、私はいつも思っています。

 

 

 

 

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