アドラー心理学の本は、世の中にたくさん出ていますが、
やはりアドラー自身が書いた本は味わい深いです。
私は、 『人生の意味の心理学』(上巻・下巻)を読んで、
アドラー心理学の印象が変わりました。
最初に気づいたのは、
アドラー自身、物事や出来事への 「意味づけ」 を
とても大切にしていることです。
どういうことかというと、
アドラーは、
人は、現実をそれ自体として体験するのではなく、
何か解釈されたものとして体験する
と考えているということです。
たとえば、
ある人が石を見て、「冷たい」 と感じたとしても
別の人は同じ石を見て、「優しい」 と感じるかもしれません。
石に対する感じ方は、人によって違うからです。
このことを主観といいます。
人は、主観を通して物事を見ているのです。
ですから、
アドラーは客観的な事実を見出そうとすることは
無意味であるといいます。
私自身、いつも 「客観性」 を考えて行動したいと思っているので、
逆をつかれたような感じがして、
アドラーの考え方は興味深いと思いました。
これは、物事の 「捉え方」 なのだと思います。
何か自分にとって残念な出来事があったときに、
「もうダメだ…」
と捉えれば、気力がなくなりますし、
「これをバネにして、努力しよう」
と捉えれば、前向きに成長できます。
同じ出来事でも 「捉え方」 の違いで、
その後の行動や結果がまったく違ったものになります。
つまり、アドラーは物事を変えるときに、
その人の 「捉え方」 を変えることで
有意義な人生を送れるようにすることに主眼を置いているのです。
すなわち、
「捉え方」 が変わることで、意識が変わり、
より良い行動ができるようになるのです。
私は、アドラーの本を読みながら、
前向きでより良い人生を送るには、
目標や捉え方
が鍵になるのかなと思いました。
特に、捉え方は無意識なことが多いので、
普段からここを意識することが大事だと私は思います。
アドラーは人の
人生へのアプローチの姿勢、
考え方や価値観、行動のパターン、
などを総合して、ライフスタイルと呼んでいます。
アドラーは、
人は子どものときに、
自分のライフスタイルが確立している
といいます。
ライフスタイルは意識されていないことが多いため、
人は知らず知らずのうちに、
自分のライフスタイルに沿った人生を歩んでいます。
それが良いライフスタイルならいいのですが、
ネガティブなライフスタイルであることもあります。
ですから、
「自分はネガティブな生き方をしているのかな?」
と感じたら、
自分のライフスタイルを見つめなおすといいかもしれません。
とはいうものの、
知らず知らずのうちに身についた生き方なので、
自分では気づきにくいかもしれません。
まずは、「気づく」 ことが第一歩のように思います。
アドラーによると、人生の方向は、
共同体への貢献
つまり、
他者への貢献と方向性が一致していなければならない
といいます。
そのことを 「共同体感覚」 と呼びます。
アドラーは、自分だけが幸せになるのではなく、
みんなが幸せになることを願っていたのです。
共同体感覚というと、大きく身構えてしまうかもしれませんが、
そんな難しく考えなくてもいいのです。
何か行動をするとき、
「このことは、みんなにとって協力的かな?」
と、ほんの少し意識するだけで、
ずいぶん行動が変わってくると思います。
みんなが幸せになれる方向性に変わるのです。
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