交流分析を提唱したエリック・バーンは、
毎週1回心理学のセミナーを開いていたようです。
広く一般に公開され、バーンの家で夜に開催されました。
内容は交流分析が中心でした。
この交流分析セミナーの初期の仲間の1人、ワレン・チェニーによると、
セミナーが始まる前、バーンは自宅の階段に座っていて、
訪れる仲間一人ひとりに「ハーイ」と暖かい声をかけたそうです。
よく笑顔を見せ、親しくジョークを言い、
その深くよく通る声は暖かく響いたといいます。
また、彼は発表者に感謝の意を表すことを忘れませんでした。
私は、バーンはセミナーをとても大切にしていたんだなと感じます。
そして、「ストローク」 という言葉が思い浮かびます。
ストロークとは、承認や感謝、触れ合うなどの意味を表し、
エリック・バーンが用いている言葉です。
セミナー開始前に、参加者を自ら迎えいれてストロークを注ぐ、
私も見習いたい姿勢です。
<バーンは晩年、カーメルの海岸で散歩をしていました>
セミナーの後、バーンはお楽しみの時間を作ることも忘れませんでした。
討議が終わると、彼は
「さあ、これからが楽しむ時間だよ」
と言って、歓談の時間に入りました。
気分が乗ってくると、家を出て近くの酒場に皆を招いて、
皆で楽しんだそうです。
バーンは、時にはセミナーを 『厳格にコントロールする親』 であり、
時には歓談などで 『いたずら小僧』 だったといいます。
エリック・バーンは、交流分析の創始者であり、
カリスマ的な権威者とみられるかもしれませんが、
茶目っ気があり、ユーモアに富み、いたずらっぽい、
自由な子ども(フリーチャイルド)の面も強かったのかなと感じました。
ただ仕事では伝統的な作法を心得ていて、
とても安全だと思える場合にだけ
自身の 「子ども」 を披露したようです。
セミナーへの姿勢やその後の歓談、
ストロークや子ども心など、
エリック・バーンの人間性が印象的です。
< カーメルの海岸 >
エリックバーンは心理学者。
堅い学問の世界で生きていました。
とはいえ、
自宅で開催していたセミナーやその後の打ち上げが、
エリックバーンにとっての「居場所」だったのかなと思います。
安心して、
自由な自分をさらけ出せる場所。
私は、アドラー心理学で居場所の大切さを学んでから、
そんな視点から考えるようになりました。
■ 心理学の記事
◆ フレデリック・パールズとエサレン研究所 ~ パールズにとっての『居場所』 ~
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