こんばんは。
ますだ裕二です。
今日は議案質疑が行われ、
私からも伝統工芸産業振興事業費について質問させていただきました。

質問と答弁は以下の通りです。
ますだ(質問)
歳出 第 5 款経済労働費 第 2 項商工業費の中から伝統工芸産業振興事業費について質問してまいります。
私は、昨年の 9 月議会本会議に於いて、伝統的工芸品を後世に引き継ぐための取り組みとして、伝統的技術を使った新たな商品開発と海外への販路拡大の必要性、更には、伝統工芸士の素晴らしい技術を県が登録し、次代に継承する愛知県登録無形文化財制度の新設を要望させていただきました。
そして、来年度予算案には、伝統工芸産業振興事業費として、今年度に引き続き伝統的工芸品ブラッシュアップ事業の継続と、新規事業として海外バイヤー商談会事業を上程いただいております。
前回の一般質問でも触れさせていただきましたが、伝統的工芸品を後世に残していくためには、その技術を継承していくこと、また、安定した収益が得られる体制を構築していくことが必要だと思います。
簡単に数字でお示ししますと、本県の伝統的工芸品の生産額は、2010 年度の約 59 億円から2020 年度では約 46 億円となり、10 年間で約 2 割強減少しています。また、全国の従業員数につきましても、1998 年度の 11.5 万人が 2017 年度に約 5.7 万人と半減し、伝統工芸士についても 2007 年度から減少傾向が続いています。
こうした中、新たな需要の掘り起こしとして、海外に販路拡大の可能性を見出し、取り組まれている自治体もあります。石川県では、海外アンテナショップモデル事業として、シンガポールと香港での販路開拓のため、現地の大手百貨店やオンラインショップにおいて、伝統的工芸品等のテストマーケッティングを実施しています。
具体的には、日本の伝統的工芸品の海外輸出や海外直営店舗で販売実績のある日本法人が運営事業者となり、シンガポールでは、シンガポール最大級の百貨店高島屋で実物販売を行うほか、東南アジア最大級であるオンラインショップ「LAZADA」によるネット販売をサポートします。
また、香港でも同様に、香港随一の繁華街に位置し、多くの富裕層が来店するそごうで実物販売を行い、香港最大級のオンラインショップ「HKTVmall」でのネット販売も行います。このテストマーケッティングで販売実績の良かった伝統的工芸品等については、委託事業者を通じて現地での継続した販売が行えるようになります。
また、手法や対象となる国は異なるものの、石川県同様、伝統的工芸品等の海外での販売を支援している自治体は京都府はじめ滋賀県など幾つか存在します。このように、海外向けの販路拡大は大きな可能性を秘めていますが、一方で本格的に海外への販路開拓を進めていくには、現地の市場調査をはじめ、現地特有の取引方法の調査、その国に合わせた商品の改良、さらには言語の問題、対応すべき課題が多く存在します。そこで、質問してまいります。
まずは、昨年11月にアイチスカイエキスポで開催された「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」において、国内バイヤーに加え、海外バイヤーとの商談会を実施していただき、産地企業が海外への新たな販路開拓に目を向けていただけるいい機会になったと聞き及んでいます。そこで、全国大会で開催された海外バイヤーとの商談会の経験を踏まえ、どのような形で海外バイヤー商談会事業を進めていかれるつもりかお聞きします。
また、伝統的工芸品ブラッシュアップ事業と海外バイヤー商談会事業との連携についてもお聞きしていきます。愛知県は、昨年11月に開催された全国大会のレガシーとして、作り手が工芸の可能性に気づき、工芸の技とポテンシャルを未来につなぐを継承し、伝統的工芸品産業が将来に向けて活力ある産業となるよう更なる振興を図ることを目的として、具体的な事業展開として伝統的工芸品ブラッシュアップ事業と海外バイヤー商談会事業を二つの柱に位置付けられています。
伝統的工芸品ブラッシュアップ事業は、伝統的工芸品産業の産地企業による意欲的な販路開拓の取り組みを、マーケッティングの専門家が支援することにより、産地企業による成功事例の創出を後押しするとともに、他の産地企業に成功事例を横展開することで、県内の伝統的工芸品産地の活性化につなげる取り組みであります。
そこで、産地企業者に各支援を行う専門家の募集をプロポーザル形式で行い、その指定事業者により伝統的工芸品の産地企業に対して、新商品開発支援や販路開拓支援が行われていますが、これまでの伝統的工芸品ブラッシュアップ事業では、主に国内販売を支援しており、海外市場向けの商品開発や販路開拓支援は行われてこなかったと聞いています。一方で、海外バイヤー商談会事業は、海外に通用する伝統的技術を使った商品の新たな販路開拓を目的として、セミナーと海外バイヤー商談会を開催する事業であると伺っています。
しかし、先ほどもお示しさせていただきました通り、海外での販路開拓は容易ではなく、海外バイヤーとの商談会の場だけ提供されても、商談会で紹介する商品が海外で通用する商品でなければ、実のある商談会にはならないと推察されます。全国大会では、多くの県内産地企業が海外バイヤーとの取引を希望されたと聞き及んでいます。
そんな産地企業が、海外バイヤー商談会事業で新たな可能性を見出すためにも、伝統的工芸品ブラッシュアップ事業においても、海外への販路拡大を視野に入れた商品の開発や、改良など海外取引実施に向けた支援を行っていただくことが、必要だと思います。
また、単に海外といっても、世界の国々には独自の文化や歴史があり、習慣や風習の違いがあることなどを考慮すると、他県のようにあらかじめ事業を実施する国を選定するとともに、事業を受託する事業者を選定する際には、その対象となる国との取引実績や精通した人材がいることを考慮するなど、選定基準を定めておくことも重要であると思います。
そこで、伝統的工芸品ブラッシュアップ事業と連携し、新規事業である海外バイヤー商談会事業をより充実したものにする必要があるかと思いますが、どのようにお考えかお聞きいたします。
経済産業局長(答弁)
はじめに、海外バイヤー商談会事業の進め方についてお答えします。
昨年11月に開催された「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」では、ジェトロにご協力いただきながら、伝統的工芸品産地企業と海外バイヤーとの商談会を開催しました。
商談会には、中国のバイヤー4社に対し、県内産地企業13社を含む36社が参加しましたが、海外取引の経験がなく、海外バイヤーのニーズに合った商品の提案ができなかったことなどにより、一部の企業については十分な成果を上げることができませんでした。
そこで、来年度は、まず、海外ビジネスのノウハウを学んでいただく販路開拓セミナーを開催し、併せて商談会への参加を呼びかけます。
さらに、商談会に参加する企業に対して、事前説明会や個別相談などきめ細かな伴走支援を行うことで、価格帯を含めた商談相手国のニーズに応じた商品の選択など、成果を高めるためのポイント・課題に的確に対応していきます。
これらの取組を通じ、産地企業の海外販路開拓の実現に向け、しっかりと支援してまいります。
次に、伝統的工芸品ブラッシュアップ事業との連携についてお答えします。
議員ご指摘のとおり、伝統的工芸品の国内需要が減少傾向にある中、海外への販路開拓は大きな可能性を秘めていますが、その実現には対応すべき様々な課題がございます。
とりわけ、伝統的工芸品は日本人の生活に根差した極めて日本的な日用品であるため、工芸品によってはそのまま海外に売れる商品もありますが、海外市場のニーズに合わせ、改良や新規の開発が必要な商品も少なくありません。
海外バイヤー商談会での商談効果を高めるためには、そうした取引相手国のニーズを踏まえた商品改良・商品開発を戦略的に行っていくことが大変重要であると考えます。
そこで、来年度の伝統的工芸品ブラッシュアップ事業では、国内だけでなく海外への販路も視野に入れ、海外市場のニーズに合わせた商品の開発や改良、海外で取引を行うためのノウハウや海外ECサイト等の活用など、マーケティングの専門家による効果的な販路開拓のアドバイスを行ってまいります。
そのため、受託事業者については、公募条件に、海外ビジネスにノウハウや実績を持つことを加えて、選定してまいります。
伝統的工芸品ブラッシュアップ事業で支援した事業者が、海外バイヤー商談会における商談成立、更にはその後の継続的取引につながるよう両事業の連携をしっかりと図ることで、伝統的工芸品産業の持続的な発展に向け、全力で取り組んでまいります。