浮浪人間への道 = Road to Groningen!

6月2日、日曜日のこと。

 

大宮公園小動物園、キラさんとの面会中での出来事。

 

週末はキラホシに会うのが日課となっている。

仕事に忙しくて休みが日曜だけという週末も多い。

それでもキラホシ第一で行動スケジュルールを組んでいる。

毎週、安否確認を兼ねてブチハイエナたちに会いにゆくことは至福でもある。

 

最愛のキラホシにも人間の魔の手が及ぶことがある。

いや、もうすでに及んでいる。

たまたま、氷山の一角を押さえただけの話。

 

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挙動不審な一人の老人がキラさんの所へやってきた。

年齢は70過ぎと思われる男、以降は「G」と表記する。

ビニールの手提げ袋を持っていた。

 

キラさんの気を引くためにGはガラスを幾度もノックしていた。

ガラスを叩く動作は子供と老人がよくやる。

特に、見ていると男女問わず一部の老人が叩くのは程度がひどい。

子供のそれとは比較にならないほどに。

 

Gはその際は一度居なくなった、だが時間を置いて再来した。

 

日曜の午前は自分が唯一安定して訪問できる時間。

キラさんのもとを離れずに見守っていることが多い。

そういう状況で、事件は起きそうになった。

 

Gはカピバラ舎にに近い側、つまりガラスの仕切りがない側へやってきた。

キラホシに鉄格子を介して接することができる側である。

 

キラさんが目の前にいる状況、老人が袋の中から何かを取り出そうとしていた。

自分はもう「こりゃ、やばい」と思う前に行動を起こしていた。

Gの前に制止するように、割り込んだ。

 

Gは自分が制止をかけてきたことを理解した様子だった。

素直に手を引っ込めて、去っていった。

その際にキラさんを見つめたが、直後でまだ目がキラキラしていた。

エサやりでキラさんを惹きつけたせいだ。

 

キラさんの気を引きたいがためにGはエサやりをしようとしていたのは明らかだった。

だが、何かを出す前に制止してしまったために、事件は未遂のままここで終わった。

 

現行犯を注意すればよかったのかも知れない。

少しタイミングが早過ぎたかも知れない。

何が出てくるのか、少なくとも見届けたかったという興味は残った。

 

このようなことが、たまたま自分がいたわずかな時間で起きた。

許すことができない、エサやり行為の瞬間だった。

 

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今年ももう6月になったが、年始初詣の雑踏の頃を思い出す。

例年初詣客のために動物園は元日から頑張って無休で開園する。

それが本当に動物たちにとってリスクであることをわかっていない。

 

無料の動物園に正月気分の不特定多数がなだれ込む状況が動物たちにとってどれほど危険なことか。

 

酔いどれも来る、酔った勢いで何をするかも知れない。

事実として、ホシくんは年始に明らかに深刻な体調不良に陥った。

推測の域を出ないが、原因は来客によるエサやりだと思っている。

このことは過去記事も書いてある。

 

エサやりをする人間の心境を時々考える。

 

・動物たちが純粋にお腹を空かせているだろうから(かわいそうだと勝手な解釈することに由来)

 

・人間の食べ物はいつも彼らが食べているものより、きっと美味しいから食べさせてあげようと思ったから(人間が優位であるという奢りに由来)

 

・人間に相手にされないから、せめて動物に振り向いてもらい相手になってほしいから(動物たちに自らの心の隙間を埋めさせたいことに由来)

 

・酩酊状態で来園して、その時の気分でエサやりをしたくなったから(初詣・花見の出来る大宮公園では特に)

 

・自分がかつて飼っていたペットと比較して、なんとかしてあげたいと思ってしまう(自分のペット感覚で、勝手な憐れみ感情が入ることに由来)

 

まだあるかも知れないが、思いつくところを箇条書きにしてみた。

これらが複合的に絡んでいるように思う。

 

箇条書きから推測できることだが、エサやりの犯人は「老人」に多いはずだ。

 

今回のGの動機は明らかに「キラさんに振り向いてほしい、構ってほしい」だ。

Gに何があったのかは知らないが、心の隙間を埋めてほしいと思って動物園に立ち寄ったのかも知れない。

孤独な老人にありがちなのかも知れない。

Gもそういう一人なのかも知れない。

 

動物はこういう孤独な老人をも癒す。

だが、このGのように一線を超えてしまうのも老人。

 

こういう人間は動物たちや動物園に対して、

 

・哀れみの目で見ている(動物たちの置かれた環境がかわいそう)

・動物園の飼育姿勢に不満を持っている(ケアが足りない、ご飯が足りないと)

・妙な正義感、を持っている(飼育員がダメだから、代わりに自分がなんとかしてあげないと)

 

自分も方向を間違うとGと同じ行為にたどり着いたかも知れない。

だが、正しい理解に努め、心から動物たちの健康と長生きを望むわけであり、間違ったエサやりには反対でしかない。

 

人間は歳を重ねるほどに世の中の嘘や洗脳に塗れる傾向があると改めて思うに至った。

生き永らえて凝り固めてきた「習慣」「意識」「こだわり」「流儀」といったものが歳を重ねるほど強固であったりする。

 

それらは決して「悪いこと」ではない。

だが、時にはそれが「悪いこと」として判断されることはある。

【「良かれ」と思ってやったことが「悪かった」】がそれだ。

 

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数年前、同大宮公園内にある、通称「ボート池」にハクチョウが越冬しにきたことがあった。

一部でかなり話題になった。

暇な老若男女こぞって冬のボート池に集ったのを覚えいてる。

 

ハクチョウはもちろん野生だ。

お互いのために「野生動物とは棲み分けをしなければいけない」。

ところが、野生動物に対して一部の人間は配慮することなく、餌付けする。

それをするのは先ほど述べたように、老人に多い。

 

対岸でハクチョウにエサやりしていた人間、姿形から老人だったのを思い出した。

その現行犯は2022年2月のブログにて顔はわからないため人物を特定などできないが、一応姿を晒してある。

 

野生下で彼らがどのようなものを食べているのかを知っているのか?

無知の人間が良かれと人間の食べ物を与えることが、ゆくゆくは野生動物を殺すことにつながることを知らない。

野生動物を殺したいのだろうか、ならば理解するのだが。

 

そうではなく、単なる興味関心や振り向かせたいというわがまま、といった安易な感情で野生動物へ接近してはいけない。

 

動物と仲良くなることは結構だと思う。

だが、動物にエサやりという手段で振り向かせて仲良くしようなど、安直愚鈍でしかない。

そういう人間は動物のことなどどうとも思っていないのだ。

ただ、その人間が接触したいっときだけ、振り向いてもらえればいいのだ。

実に都合がいい、それが人間だ。

 

野生動物を含む動物たちを利用する人間、結局は自分の都合のために利用しているだけなのだ。

それを禁足で持って実現する行為が「エサやり」だ。

 

そんなことをしなくても、自分はキラホシと仲良くできている。

本当に動物たちを愛するならば、禁足など犯さず足繁く会いに行けばいい。

それだけで、そのうち動物たちによってはちゃんと反応をしてくれるようになる。

覚えてもらえる。

 

正攻法で動物たちと仲良くしてほしいものだ。

 

ところが、人間はろくでもない生き物でもある。

邪道で禁足を犯しても目的のためならば構わないと思う者は当然いる。

だから、いくらエサやりが動物たちを殺すことに繋がることを理解しても、禁足であるエサやり行為が絶えることはないだろう。

 

実は動物園の運営側は、人間という動物のことを一番わかっている、かも知れない。

動物を見つめるプロ集団の飼育員は当然、人間という動物も見つめて観察しているはずだから。

 

洗脳にまみれた生き物であるとか。

息をするように嘘を吐く生き物であるとか。

自分がこれまで気付けた人間という動物は他の動物を見つめてきた副産物としてわかったことなのだから…

 

ここで、大阪の天王寺動物園のことが急に腑に落ちた。

なぜ同園では動物たちとの距離が他園以上に隔たりがある動物園なのかということを。

何年か前の年始での訪問では頻繁に放送で「絶対に!エサやりをしないでください」と館内放送をしていたことを思い出した。

 

大阪は「エサやり老人が多い地域」なのだということが腑に落ちた。

 

ブチハイエナのレイくんをみづらくて自分はストレスフルな同園だが、来客から動物を守るための措置としてはやむを得ないと理解をした。

 

残念だが、エサやりが多発して動物たちが死に追いやられることが続くならば、動物園のあり方は天王寺動物園のようになってゆくだろう。

 

氷山の一角のエサやりを止めたこと何の解決にもならない。

根本的な解決は、人間が来客である以上「ない」。

動物園側が動物を守るために来客と動物を近づけないという手しかない。

 

皮肉なことだ。

 

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去ってゆくG

もう6月、梅雨入りは近い。

 

この時期は車関係で「やること」が多い。

その一つが撥水。

撥水のためにボディを研磨するところから始まる。

 

記録によれば、昨秋にワックスをやっている。

ワックスのために多少なりともボディを磨くことをしているが、今後は続けれられるか未定。

そのために時間が捻出できない。

 

前回は1日がかりでワックスを塗布する羽目になったことを反省して工程を省いた。

 

:洗車→研磨(3M「磨き1L」)→洗車(脱脂目的)→ワックス研磨→ガラス撥水2層目

 

ここまでの作業を日中の6時間程度で終えた。

 

今回時短をしたのは研磨工程でのサンダーがけ。

コンパウンド研磨とワックス研磨でサンダーを使用したが、つけすぎず「少量」で。

量が多いと飛び散るし、やけ残ったり面倒なことになる。

2者ともに意外と面倒だ。

 

おしまいに、先日塗布したガラス撥水加工の液剤をもう一度塗布した。

前回の失敗はその薬剤が、ヘッドライトコーティング剤を溶かした。

ヘッドライトが白化した。

 

仕方ないから、白化した部分を落とすために研磨紙で磨く作業から始めた。

番手を#2000からスタートしたが、ダメだった。

完全なるクリアに戻らない。

 

番手をさらに下げてからの磨き直しとなる。

時間がかかりそうだ。

後日修正することにした、課題を残して終えた。

 

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5月、念願のドラレコを買った。

買ったはいいが、取り付けに悩んでひと月ほど放置していた。

 

実はドラレコは購入時から車に装着されていた。

それが最初は機能していたが、すぐにしなくなった。

理由は記憶媒体SDカードのフォーマットができなくなったせい。

どう頑張ってもドラレコが要求するフォーマットができず、「ピーピー」と警告音を発するようになって10年。

 

エンジンをかけると警告音がするため、黙らせるという儀式をして10年。

いい加減に卒業したいと思っていた。

 

これまで日本製の良さそうなものがあればと探してきた。

だが価格と性能の点で、自分の中で折り合いがついてこなかった。

それを打破したのが中華製のミラー型ドラレコ。

Amazonで売られているが9000円しないものだが機能は良さそうだった。

 

中華製だから誇張や嘘もあるかもしれない。

だが、値段に惹かれた。

ダメもとでもいい、試してみようと思った。

 

悩んでいたのは配線を含む以下のこと。

 

・電源の取り方

 

専用「シガーソケットプラグ」での電源を取るのをやめて、自前の「USB-TypeC」を「シガーソケット」に差すようにした。

専用のものを指定する理由は、ハイパワーである必要があるからだろう。

自前のものがハイパワー仕様であるからそれでいいだろうという判断。

 

結果、電源は問題なく機能した。

 

・配線(特にリアカメラの導線)

 

インパネ外しで後ろから配線を隠して回した。

素人にできる限界の配線隠し。

 

バックギア配線に繋げる配線は思案中だが、配線しないつもり。

バックの時に後ろが映るものだが、無くてよい。

そのようなものに頼ってバックするということに慣れていないし、慣れたくもない。

 

・リアカメラの位置

 

これは試行錯誤中。

「室内か室外」では「室内」一択で決定。

カメラは外に設置するつもりはない。

 

カメラをリアパネルにつけるかどうか。

同パネルは開閉の際に跳ね上げられる。

その際に配線の伸び代が必要になる。

だから、リアパネルにカメラを固定しないことにした。

 

リアパネルに固定するメリットはリアガラスに至近で装着できるため画質が良いだけのこと。

それだけのメリットのために、配線で手こずるのが嫌だった。

 

まだ仮固定。

実際にはリアカメラは性能がどの程度かも知らない。

使えない代物かもわからないわけで、状況を踏まえて決めたい。

 

・ドラレコ本体のミラーへの固定

 

元々のミラーに「おんぶ」するように装着する。

だが、元のミラーのボールジョイントが緩んでいた。

重たくなり、下を向いてお辞儀するようになってしまった。

 

ボールジョイントを直すより新品に買い替えた。

ボールジョイントがしっかり固くなければならない。

ミラー型ドラレコはそれなりの質量があるから。

走行中の振動でブレも生じるが、なんとか使用はできそう。

 

 

実際の装着よりも苦労したのが、旧ドラレコの取り外しだった。

粘着剤で狭い部分に収まっていた。

それを剥がし、配線を抜くのだが、配線が伸びないために余計に苦労した。

長年、警告音で不快な思いをしてきたが「おさらば」となった。

 

運用して1週間経過した。

フロントは良好。

特に4Kモードという一番良い画質にしているため、綺麗。

 

バックは問題あり、画質が悪い。

カメラの位置が室内灯のあたりに奥まっているせいもある。

それと、自分の車には濃いフィルムを貼ってあるため。

夜間ではカラーのはずが、白黒風に映りがち。

 

値段が安かったため期待せずに買ったものだが、案外よかった。

ドラレコ映像が後ろの車にわかるらしく、煽られることが少なくなった。

 

煽られにくくなったことも、意図していなかった効果だった。

人間って本当に「ろくでもない」生き物だと、さらに確信した。

 

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旧ドラレコカメラ

 

旧ドラレコ本体。

 

 

新ドラレコ工事。

 

リアカメラ、仮固定。

 

モニタ

 

GPSが残念なところ。

車速はグーグルマップや車のスピードメータより常に「+5km上乗せ」で表示される。

ある意味では正確なのかもしれない。

 

雨の日は全く使いものにならない。

自分は雨でもワイパーを使用しない。

ワイパーに頼らずに済むように撥水加工をしている。

撥水加工後は特に、撥水効果を味わうために全くと言っていいほどワイパーを使用しない。

 

リアのワイパーに関しては、数年前に撤去した。

 

元々、ガラスに水滴があることを許容している性格。

水滴が飛ぶまで待つ。

カメラには水滴ばかり映る。

撥水加工が弱まった場合には仕方なくワイパーを不定期で都度動かす。

 

降雨時に狂ったようにワイピングしながら走行する車をよく見る。

 

撥水加工を終えておくと、雨天時の走行が楽しみになる。

ワイパーで忙しい車の人にはきっと理解してもらえないだろう。

5月に綺麗な赤い大輪の花を咲かせるのが恒例の我が家のアマリリス。

 

先日アクシデントがあった。

 

強風のせいで、最初の花蕾が折れた。

正確には、風に煽られたブルーシートに当たって折れた。

 

そもそも、今年は気温が低かったのだろうか蕾の成長が例年より遅かった。

 

2番目の花蕾が無事に花を咲かせたのを確認したのが5月24日だった。

半月以上遅い。

 

今年は植物を積極的に育てていない。

レモングラスはやらない。

ウコンはそろそろ発芽しそうだが、そのまま枯れても構わない。

 

このアマリリスは、今も続けているオランダ語教室が所縁となっている。

感染症騒動前に最後に京橋で授業を受けていた頃に貰い受けた球根。

大事に育てている、毎年花を咲かせてくれている。

 

 

キラホシファミリーについて。

後編は子供達4頭のこと。

 

【ツキ】2004年5月20日生(祝20歳!):日本平動物園

 

 

日本で最初にキラさんを母として出産に成功し、生育した記念すべき個体であるツキくん。

良くも悪くもかなり個性的だと思う。

一筋縄では行かない点はどの個体もそうだろうが、ツキくんはそれが強め。

 

 

ツキくんは寒いのが苦手。

スロースターター、冬の午前はまず寝ている。

隣にいるセレンくんのように「朝から活動的」ではない。

性格はおとなしく、動作もおっとりがち。

 

 

彼は日本平動物園で生育して、おそらくこの先もそこで一生を過ごす個体。

両親であるキラホシとの日々は短く、2006年7月末に大宮へ出園した両親キラホシと別れて単独となった。

一頭で残され、さぞかし寂しい思いをしてストレスになったことだろう。

さらに当時同園では、猛獣施設の新築に伴う引越や騒音など、動物たちの環境が悪かった。

 

そんな不安定な状況の幼少期を過ごしたのがツキくん。

 

初めてツキくんに会いに行った際、他の個体がやらない彼独自の行動に驚いた。

1、【後脚で前脚を掻く】

2、【掻き終えた後脚を自らの口で噛む】

3、【噛んでいた脚を鉄扉へ打ち付ける】

 

これらは1から順に、3までの過程を段階的に進む。

多くの客は1の動作を見て「痒いのかな」以上のことを思わない。

最初に目撃した際に、当時の担当女性飼育員氏が「自傷行為」と言っていたため自分もそう呼んでいる。

 

この行為は残念ながら、今現在でも続いているツキくんならではの行為。

その行為をツキくんがなぜ行うのか、ツキくんを観察しつつ思いを馳せた。

 

日本平動物園は動物ごとに担当飼育員がいる。

大きな動物園ではそうだろう。

大宮公園小動物園はその意味では例外、ほぼ全飼育員が担当している様子。

飼育員は年単位で担当を異動するそう、それまではハイエナは1年ごとに年度末で交代していたようだ。

 

ツキくんの「自傷行為」に歴代の飼育員氏は悩まされただろう。

 

その行為が完全になくなったわけではないが、現担当氏のおかげで軽減した。

現担当氏は日本平動物園にいる2頭のブチハイエナ、ツキ・セレンのために色々動いてくれた。

その功績は当然認められるわけで、例外的にブチハイエナを担当してこの春で3年目を更新した。

 

彼にとっての担当初年度(2022年4月〜)の奮闘ぶりは自分の中で特に印象深い。

あれほどひどかったツキくんの自傷行為がこの年は全く見られなくなった。

実は去年、今年と少しずつまた自傷行為が増えてきてしまっているのだが…

 

出来ることならツキくんのこの行為を見たくない。

それは来客にとっても、飼育員にとっても同じはず。

ツキくんが何を想い、何を訴えたいのか、わからないなりに考えるようになった。

飼育員の方針次第で、動物たちの対応が変わるのだということも発見だった。

 

ツキくんは他の個体と比べて生きるのが不器用なのかもしれない、と思う。

それが故に、ストレスの回避が下手だったりする。

週末や大型連休で来客が増えることがストレスだったりする。

ストレス発散のためではなく、飼育員にアピールするのが目的なのだろうと想像する。

 

 

最近、彼らブチハイエナたちに寄り添って行動を見つめて、わかったことがある。

【生きることはひまつぶし】だということ。

実際、かなりひまを持て余してしょうがないのだ、ということも。

ツキくんはおそらく、ひますぎるのを飼育員氏に何とかして欲しいのだろうと思っている。

 

人間は良くも悪くも、多忙に生きることが強いられる年代がある。

自分などは再び社畜として朝から晩まで拘束され、忙しいのがストレスだ。

ひまがうらやましい。

だが、その逆の生き方によってひますぎてストレスを受けている人を含む動物もいるのだ。

 

繊細で警戒の強いキラさんの遺伝子を多く受け継いでいるように思えるツキくん。

いい意味で脱力していて、後ろ向きというか内向的な性格には、ついつい共感してしまう。

大袈裟に言えば「手が掛かる問題児」だが、逆にそれが故にかわいい。

 

ツキくんは4頭の子供達の中では異質な存在だと思う。

目つきが「遠い目をしている」と紹介されている、確かにそんなふうに見える。

他の3頭が「垂れ目がちのつぶらな瞳」だとすると、ツキくんだけはそうではない。

独特なその眼差しは時々歌舞伎役者のそれにも見えたりするのは自分だけだろうか。

 

左:ツキ、右:セレン

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【セレン】2007年4月5日生(レイと双子)(17歳):日本平動物園

 

 

今では兄ツキくんと付かず離れずのいい関係にあるセレンくん。

大宮公園でキラホシが初めて出産した際の双子の一頭。

レイ・セレンは次第に序列が出来、レイがセレンよりも優位かつ強者だったそうだ。

 

レイ・セレン2頭がどうして大宮を出園したのかは知らない。

ブリーディングローンの一環だろうが、大宮の環境で4頭は無理なのはわかる。

うち一頭を日本平動物園に戻す経緯も、セレンくんが選ばれた経緯も知らない。

2009年3月16日に大宮から日本平へ移動した。

 

セレンくんは上述したツキくんとは真逆なところがある。

朝から元気に歩き回る。

隣のツキくんは朝は寝ていることが多いのに。

そして、午前中を中心によくコールする。

 

ここでいうコールとは「ゥーオッ」と低音から高音でグリッサンド風の大声を出す鳴き声を10回程度連続するもの。

このコールは園内に響き渡るため、客が驚いて近づいてくるため「客寄せパンダ」でもあるセレンくん。

 

 

目つきは「垂れ目のつぶらな瞳」。

双子で現在天王寺動物園で生活しているレイくんは目つきがセレンくん以上に印象的。

レイくんは「垂れ目王子」と言われることもある。

キラホシの子供だから垂れ目のかわいい感じは当然だと言える。

 

どちらかというとこれまであまり共感を寄せてこなかった個体。

日本平動物園では2頭同時展示している。

どちらも起きて活動している場合、ついついツキくんにばかり寄り添ってしまう。

 

だが、意外な側面も知り、最近共感を深めつつある。

寝ながらコールをするし、ご飯のうちの馬肉を何らかの理由により食べなかったり。

ご飯を食べるのが押し並べて早いハイエナの中では、圧倒的に遅い。

 

隣のツキくんとは「グウグウ」とよく会話をしている。

会話のきっかけはセレンくんが担っていることが多い。

 

 

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【レイ】2007年4月5日生(セレンと双子)(17歳):大阪市天王寺動物園

 

 

つくづく思う。

この頃(2007-09年)にブチハイエナに興味を持っていなかった自分は残念だった。

大宮にハイエナ親子が4頭居た時代があったというのに。

特に、最愛のレイくんが大宮にいたというのに。

 

とはいえ、自分はこの頃実家の大宮にはいなかった。

家に戻ってくるのはせいぜい年に数回の帰省の時でしかなかった。

 

レイくんはハイエナ界で最もフォトジェニックな個体だと思う。

だから、待ち受けのハイエナ写真によく使われるし、自分がそうして待受画面にレイくんを多用している。

とにかく究極の垂れ目、癒しの眼差しをしている。

 

2009年6月にセレンくんに数ヶ月遅れて大宮を出園した。

大宮公園小動物園→岡山池田動物園へ。

岡山には短期間しかいなかったはずだが、どれくらいいたのか知らない。

 

岡山池田:レイ ⇄   大阪天王寺:レン

レンくんは天王寺動物園でお馴染み「愛」さんの子供、彼との交換トレードが成立して大阪へ移動。

そして、今に至る。

 

レイくんにはこれまでに数える程度しか会えていない。

大阪は遠すぎる、そして、天王寺動物園の展示環境があまりにハイエナと距離がありすぎる。

だから、レイくんへの観察が圧倒的に足りない。

 

なぜ、距離もあるはずなのにあれほどまでに来客を、カメラを恐れているのか。

なぜ、人が覗き込む窓から「死角」を選んでレイくんは休憩しているのか。

 

間違いなく、来客である人間への恐怖が根底にあるのだろう。

毎度のことだが、見上げてオドオドしているレイくんの姿を見おろしていて、気の毒になる。

 

 

レイくんはキラホシの子供達4頭のうち、唯一子孫を残す可能性を持った環境にいる。

ハナさんという上海から来た女の子と今もペアリングの可能性を探っているはずだ、

だが、ペアリングがうまくいっている様子はない。

だが、可能性があるうちは信じたい。

 

 

そうはいっても、レイくんだってもう17歳。

正直言うなら、レイくんを大宮か関東近郊、足繁く通える場所へ返して欲しい。

ペアリングがダメなら大阪にいても彼は幸せになれると思えない。

 

キラホシファミリーで本当は一番近くにいてほしかったレイくん。

 

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【ブブゼラ】2010年4月8日生(14歳):宇都宮動物園

 

 

双子で生まれたが、一頭は生後間も無くキラさんによって何らかの理由により食殺された。

残った一頭がブブゼラくん。

「ブブちゃん」と呼んでいるし、呼ばれている。

性別判定では男とされるが、実は女の子かと疑っている。

 

ブブちゃんの飼育環境はかなり狭小だ。

同じくらい狭小な岡山池田(特にレンくんの展示場)と比肩するほど。

だが、池田動物園はそれを補うために夜の部屋への扉を常時開放してある。

一方、宇都宮は夜の部屋の扉は日中は閉じてある。

 

ブブちゃんはハイエナであることを忘れているかもしれない。

末っ子でダントツのかわいさ。

バウアーをしたり、ぬたついたり、圧倒的にかわいい。

仕草がもう、ハイエナのそれではない。

 

ブブちゃんが「コール」するのを聞いたことがない。

コールを頻発するのがセレンくん、ホシくんも多い。

たまにツキくん、キラさんも室内でたまに。

レイくんは滞在時間が少なすぎて不明。

 

宇都宮まで大宮からは片道100キロ。

比較的近いため隔月おきに通うようにしている。

 

キラホシファミリーの飼育環境については各園ともに決して良い環境だとは言えない。

だから、子孫を残して欲しいなどとはいうつもりもない。

 

最近はブチハイエナの人気は高まりつつあり、積極的な他園の存在もある。

だが、相変わらず人間という生き物が洗脳され、偏見にまみれた存在であることから、彼らは気の毒なほどに悪態を吐かれるが多い。

それを側で聞かされる心ある人間も辛い。

 

そうした、偏見まみれの人間の洗脳を断ち切ることができるのも彼らである。

特にブブちゃんのかわいさはその可能性を多分に秘めている。

 

実際にブブちゃんに会えば、ハイエナに対する悪いイメージは吹っ飛んでしまうだろう。

それはやはり、両親キラホシがかわいいが故だと思う。

 

キラホシのおかげで、嘘にまみれたろくでもない人間世界において、せめてもの生き甲斐を見出せている。

2004年5月20日。

 

日本のブチハイエナ飼育環境黄金期の始まり、と言える日。

 

日本平動物園にいるブチハイエナ2頭(両親が同じである兄弟)のうちの兄ツキくんの誕生日。

ツキくんは日本で初めて、悲願の出産育児に成功し、無事生育した個体だ。

 

そんな「日本で最初に生まれたブチハイエナ」であるツキくんを産んだのがキラさん。

お父さんはホシくん。

キラホシ2頭は大宮公園でお馴染みだが、当初日本平動物園がアフリカから導入した個体。

 

2006年夏に日本平動物園から大宮公園小動物園にブリーディングローンのような?関係で両親キラホシが転居した。

子であるツキくんだけが日本平に残された。

この環境の変化は、特にツキくんどれほど影響を与えたか想像する。

ツキくんの「むずかしい」「こじれた」感のある性格は4兄弟の中で抜きん出ていると思う。

 

大宮公園に転居してからのキラホシは子供3頭を産み育てた。

 

・レイ:2007年4月5日生

・セレン:同上(レイ・セレンは双子の兄弟)

・ブブゼラ:2010年4月8日生

 

その後、子供達は他園へ旅立って行った。

 

レイ:大宮公園→岡山池田→大阪天王寺

セレン:大宮公園→日本平

ブブゼラ:大宮公園→宇都宮動物園

 

キラホシをきっかけにブチハイエナに魅了された。

日本全国のブチハイエナを可能な限り訪問しているが、自分が住む埼玉から遠くに居る個体とはなかなか会えない。

忙しくて時間が捻出できない昨今はなおのこと。

だから、せめてキラホシファミリーには積極的に会いにゆくことにしている。

 

ファミリーの近況。

 

【キラ】2003年6月〜日本平動物園(年齢不詳だが国内最高齢):大宮公園小動物園

 

 

子供たち4頭の母。

 

日本のブチハイエナ界では、レジェンドとなりつつある個体。

日本で最初に出産に成功した個体。

ブチハイエナは女の子にも偽ペニスがあり、そこを通って子供が生まれる。

そんな危険を伴う出産のため、母子ともに死産率が高い。

 

ブチハイエナ国内最高齢と言われているが、出自は不明。

年齢も誕生日もわからないが、なぜか推定年齢は知られている。

この時期、最高気温が20℃半ばくらいの頃は、ガラス前の定位置で寝ていることが多い。

木の幹や棒を枕として使って寝ることができる稀有な存在。

 

とにかく、とてもかわいい。

世の中にはいろんなハイエナがいるが、ダントツにかわいい。

 

キラさんはかなり個性的。

寝ながら足を上げることがある。

こんなことをする個体は他に知らない。

足上げの動機は不明、想像はしているが、その域を出ない。

 

 

健康状態は「良好」に見える。

これからも見守っている、長生きしてほしい。

 

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【ホシ】2000年?以降〜日本平動物園(年齢不詳):大宮公園小動物園

 

 

子供たち4頭の父、どの個体よりも小柄で華奢。

小柄で華奢なことは「甲高い声」として反映される。

「ゥーオッ」と10回くらい大声を発する行動が有名だが、あれは遠くにいる個体に独自の「声紋」で自身の存在を知らせている。

個体ごとに鳴き声が異なり、容易に判別できる。

 

ホシくんの許を去って数分して、この声が聞こえてくることがよくある。

「呼び戻したいのかな」「戻ってきてほしいのかな」と思う。

オランダ人ブチハイエナ研究者ハンス・クルークの古典的名著によればこの鳴き声の意味は「俺はここにいるぞ」。

 

だが、個体によっては全然違うタイミングで鳴くから一概に断言はできない。

鳴く前に、トリガー行為があったりもする。

 

とにかく健脚、ひたすら歩く。

歩くことは良いことだと思うが、歩き過ぎの感もある。

去春から夏まで激太りしたが、その後冬から春へかけて元通りのスリムな体型に戻った。

 

体調不良が頻発している。

深刻な体調不良が忘れた頃にやってくる。

今年の年始からひと月以上は死にかけていた。

覚悟をしたほど、ひどかった。

 

ホシくんとはお互い理解できずとも「挨拶」が成立している。

会えばいつも「グウグウ」と饒舌。

これは会話の時の声、日本平の2兄弟が近寄ってはこの声色で会話している。

人によく話しかける例はホシくん以外で知らない。

 

ホシくんは体調に不安がある。

今は回復したと思っているが、なんとなく体調不良が見え隠れしている。

「ガリガリタイム」という牛の肋骨のご飯を音を立てて食べるシーンを来客に見せるイベント。

このイベントを長年担当しているがやり過ぎの感がある。

 

年齢、固いものの食べ過ぎなど原因はあるだろうが、ホシくんの口の中を見ると摩耗して歯がもう無い。

それでも、仕事だから「ガリガリタイム」をやらざるを得ない。

生かしてもらうために無い歯で頑張って食べる仕事をしている。

歯がまだ残っている奥歯中心に横から咥えて噛むことが多くなった。

 

数年前まではあっという間に食べ尽くしていた同じ形状の牛の肋骨を、今では時間をかけて食べている。

 

 

去年の夏は干からびるかと思った、飼育員によって水を与えてもらえなかったホシくん。

場内の池はキラさんのものだから決して手をつけないホシくん。

そのようなことをわかってもらうように数年前飼育員氏たちに意見したけれど、なぜか去夏は最悪だった。

 

ただでさえ、水分を摂取しない傾向のブチハイエナちゃんたち。

彼らに積極的に水を飲ませるよう水に味をつけたり工夫をしている日本平動物園の取り組みを見習ってほしいものだ。

先日GWの初夏の折、静岡遠征でツキセレン2頭が水を「がぶ飲み」しているのを見て驚いたものだ。

腎臓を病まないよう、長生きできるよう、配慮している他園の飼育ぶりを。

 

大宮公園のハイエナ舎展示場には未だに水飲み環境を作ってもらえなかった。

以前お願いしたことがあったが、その頃の飼育員さんたちは「トロぶね」で対応してくれたが、結局2頭が受け入れてくれなかった。

トロぶねを挽き回すキラさん、怖がって近づかないホシくん。

それ以降はお願いもしていない。

 

最悪、キラさんは場内の金魚が泳ぐプールの水を飲めるし、そこで行水することで涼を得られる。

それが、ホシくんには出来ない。

なぜ出来ないのか?

それはキラさんがハイエナ社会で圧倒的上位にいて、ホシくんは手を出せないのだと思う。

 

残念ながら、ホシくんのように常に脱水気味で、骨ばかり食べていると間違いなく腎臓を病む。

そんなホシくんは自分で穴を掘って自分専用の天然の水たまりを作る。

雨が降ることで水を得て、その水を維持するために、自分でおしっこもして水を貯めている。

暑い日はそこで腹ばいに寝そべって涼を得ている。

 

定置の水場が特にホシくんのためには必要なのだ。

だからこそ、ホシくんが作ったこの天然の水たまりは欠かせないもの。

飼育員の手によって、せめて夏場だけでいいから枯らさないように注水して維持してほしい。

間違っても以前のように、ボウフラが湧くからと言って埋め立ててはいけない。

 

 

このようなことがわかったのは、何年も通い詰めて、観察してのことだ。

彼らの行動から「そうであるとしか考えられない」という結果に至るのだ。

自分は飼育員以外ではキラホシのことを最も理解している自負がある。

 

そんなホシくんだが、自分としては一番仲が良いブチハイエナ個体だ。

ホシくんのファン、虜になった人間は自分以外にも数多くいると思う。

ホシくんのおかげでブチハイエナに目覚める人がどれほどいただろうか。

そこが、ホシくんのすごいところだ。

 

本当に唯一無二の人好きする個体。

時々、仕草が人間に見えることがある。

 

最近特に、健康面で不安定が目立つようになった。

そう長くないと心配になることが多くなった。

とはいえ、長く生きていてほしい。

 

 

ホシくんも本当にかわいい。

 

後編はキラホシの子供達について。

かわいいキラホシから生まれた子供達がかわいいのはいうまでもない。