NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―  -4ページ目

77.早川光・連打一人:私は利休 1

あるコミックがきっかけで、その扱う世界全体に興味を抱き、素人ながらやけに詳しくなることがあります。

『ヒカルの碁』の囲碁、『とめはねっ!』の書道、『三月のライオン』の将棋…

早川光原作、連打一人の漫画による『私は利休』もそんな作品の一つ。

作品のストーリーとともに、それまで無縁だと思われていた茶の世界が一気に身近になりました。


「もしいま輪廻転生が起こり

四百年前 安土桃山時代の茶人たちが

現世に甦ったとしたら

彼らは何を感じるのだろう」


そんな前置きとともに始まる『私は利休』は、現在と過去、安土桃山時代の出来事を相互参照的に進めながら、茶道の歴史的なパースペクティブの中でとらえることで、それまでにないドラマを作り出した秀作であると思います。

小さな出版社で編集の仕事をする青年田中芳郎と同僚の吹雪なつめは、ひょんなことから茶道界の期待の星である家元山上宗刻の茶会へと招待される。

その席で、いとも簡単に偽者の中からたった一つの本物の茶道具を見分けてしまった田中の鑑識眼、さらに掃除を命じられても掃いた露地の上に落ち葉を散らしたセンスに並外れたものを感じた宗刻。

その夜、宗刻は夢の中で同じように露地を掃き清めている中、利休が現れる。

ぬるい

と一喝する。

運命的な何かを感じた宗刻は、吹雪なつめともども田中芳郎を直弟子に迎え入れる。

初めての稽古の席で、宗刻より一週間後に手前を立てることを命じられた二人は骨董通りの茶道具屋に立ち寄ることになるが、なつめは由緒ある茶碗を壊してしまう。

時価にして何と300万円…

その壊れた茶碗を前に田中が口にした言葉とは…

原作:早川光・漫画:連打一人 作品名:私は利休 1 出版社:集英社 2012年4月刊

評価:☆☆☆☆ 80点
私は利休 1 (ヤングジャンプコミックス)/集英社
¥590
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茶道自体を内幕物として描いたとしても、一般の人にはそれほど面白い物語には見えそうにないのですが、登場人物たちが前世のビジョンをストーリーの要所要所で見ることで、過去の運命の糸に操られるように現在が展開してゆくという設定により、物語は奥の深いものになっています。話の冒頭では素人同然であった田中芳郎(利休の本名は田中与四郎)が徐々に目覚めて、茶の奥義をきわめてゆくというスリリングな展開は、やはり『ヒカルの碁』にヒントを得たもののように思われます。
私は利休 2 (ヤングジャンプコミックス)/集英社
¥590
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第2巻も出ているのですが、ジャンプ改の連載を読んでいるのでまだ買っていません。

76.水野敬也:夢をかなえるゾウ2

みなさん、ええか。よう聞いてや。

あの170万部を突破した水野敬也はんの大大ベストセラー『夢をかなえるゾウ』の続編が出たで。

その名も『夢をかなえるゾウ2』言うんや、結構斬新なタイトル思えへん?

『夢をかなえるゾウ』は、冴えない男の前に、ガネーシャいう神様が現れて、一つずつ丁寧に教えを授けながら、人生を導いてゆくという、ホンマためになる話やで。

何?ガネーシャなんて知らへん?

ひょっとして、自分モグリとちゃうん?

ガネーシャ言うのは象の姿した神様や。インドでも一番人気の神様で、日本でも歓喜天やら、聖天さんやらいろいろ名前変えて愛されてるんやで。

で、今回もガネーシャが若い男の子を助けるんやけど、今度の子はお笑い芸人や。

お笑い芸人言うても、上から下までいっぱいあるんやけど、今度の子、西野勤言うお笑い芸人は、全然売れんでもうやめようか、どないしょうか迷とる子やねん。

そこでこのワシ、ガネーシャがコンビ組んで一緒にお笑いの世界の頂点をきわめへんかいう話やねん。

ワシだけでなく、他にもいろいろユニークなキャラ出てくるけど、今回はヒロインが凄いやねん。

貧乏神の金無幸子ちゃんいう子が西野くんに一目ぼれして、実は8年前から棲みこんどったねん。髪型やら服装やら、一見エキセントリックに見える幸子ちゃんやけど、結構ええ子でよう見たら美人やねん。

西野くんともだんだんねんごろな仲になってくるんやけど、困ったことが一つあるねん。

ワシの力で西野くん、何とか成功させて金持ちにさせたろ思とるのに、幸子ちゃん、貧乏神やから西野くん金持ちになったら死んでしまうねん。

どないしたらええねん?

成功をとるか、恋をとるか、難しいところやけど、ホンマにどないしたらええねん?

ちゅうことで後は、『夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神』を読んでのお楽しみやな。
夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神/飛鳥新社
¥1,575
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著者名:水野敬也 書名:夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神 出版社:飛鳥新社 2012年12月刊

評価:☆☆☆☆ 80点

自己啓発書と小説を一体化して大ベストセラーとなった水野敬也の『夢をかなえるゾウ』の続編ですが、やはり同じ著者でも他の作品とは別格的な面白さがあります。今回も前回同様、いろいろな人生で役に立つ名言がガネーシャの大法螺とともに引用されていますが、前作で出尽くした感もあるので、その点では大きなインパクトはありません。しかし、物語で人情の機微を描く技術に関しては磨きがかかり、最後はほろりとするシーンも。笑って、泣けて、ためになる『夢をかなえるゾウ2』は、お正月にもぴったりの一冊と言えるでしょう。

夢をかなえるゾウ/飛鳥新社
¥1,680
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75.渡辺保裕&松浦儀実:神様がくれた背番号 1

えっ!40歳、大阪天王寺のホームレスが

阪神タイガースのユニホームを着てマウンドに立つ!?

少年との約束を守るために

繰り出す剛速球は160キロ!



ケンちゃん、こと飛田謙吉は、大阪天王寺の40歳のホームレス。

元はタクシー運転手であったが、彼は吃音で人と満足なコミュニケーションができない。

そんな彼の言葉を唯一理解できるのが、近所の野球好きの小学生、タケ坊

阪神タイガースの大ファンであるタケ坊は、心臓が弱く、友達と野球をすることもできない。

周囲からいじめにあっても、ケンちゃんは助けにゆくこともできない。

それがホームレスの世界の掟、立ち入ってはならないと周囲から諭される。

ある夜、ケンちゃんの枕元に神様が現れ、一度も嘘をついたことがないその正直さゆえに、一つ願いをかなえようと言う。

迷ったあげく彼が口にしたのは、

世界で一番野球のうまい40歳になって

阪神タイガースで活躍してみたい

というものだった。

果たして、ケンちゃんの夢はかなえられるだろうか。。。

神様がくれた背番号 1 (ニチブンコミックス)/日本文芸社
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作画:渡辺保裕 原作:松浦儀実 書名:神様がくれた背番号 1 日本文芸社 2012年12月刊


評価:☆☆☆☆ 80点

『神様がくれた背番号』
は松浦儀実の同名ベストセラー小説をコミック化した野球漫画。

阪神タイガースの全面的なバックアップを得て、夢のあふれる感動的な作品になっています。

やがてケンちゃんは与えられた才能を発揮、阪神タイガースに見出されるものの、もともと人とのコミュニケーションが苦手な彼のこと、その道は決して平坦なものではありません。

さらに彼の出自を暴こうとするメディアの魔の手が忍び寄り、彼の行く手に暗雲が垂れ込めるという展開。続巻が待ち遠しくてならない作品です。

一気に最後までストーリーを知りたいという人はこちらの原作を
神様がくれた背番号/楓出版
¥1,575
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74.辻村深月:ツナグ

生者と死者の間を取り持つ


使者(ツナグ)


生きているうちで一度だけ許され


死んでから一度だけ許される


一夜限りの奇蹟が可能だとしたら


あなたは誰に会いたいと思いますか



-将来に希望の持てないOLの平瀬愛美


突然死したタレントの水城サヲリ



-頑固な父親の畠田靖彦


癌の告知をすることなしに死に別れた母親畠田ツル



-女子高生の嵐美砂


劇の主役を巡り仲違いをしたまま


交通事故で失った親友の御園奈津



-サラリーマンの土谷功一


婚約直後に失踪し生死不明となった


若い恋人の日向キラリに,会おうとする



彼らは果たして


噂どおり望みの相手に会うことができるのか


そして生前伝えることができなかった言葉を


伝えることができるのだろうか?


ツナグ (新潮文庫)/新潮社
¥662
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著者:辻村深月 書名:ツナグ  新潮文庫 2012年9月刊

☆☆☆☆★ 90点


この小説は名作です。一種のファンタジーの形をとりながらも、誰もが生きているうちに何度か考えずにいられない、生者と死者の感情のすれ違いのドラマを鮮やかに描き出します。後半では、ツナグとなった青年の立場から四つのケースが再度語られ、知られざる背後の事情まで明らかになります。そして、彼自身がいかにしてツナグとなったのか、そしてこの役割を引き受けた者の過酷な宿命までも。


ツナグ/新潮社
¥1,575
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73.あだち充:MIX 1

あだち充です。


野球漫画です。


舞台はあの明青学園です。


はるか昔に甲子園出場の記憶が残されているものの、


今のところ上杉達也も浅倉南の姿も見えません。


兄弟二人が野球をやってます。


一人はサード、もう一人はキャッチャーです。


どうして一人はピッチャーでなくて、サードなのという疑問がわいてきますが、

それにはこみいった学校の事情がありそうです。


かわいい妹も同じ学園にいます。ブラスバンドでフルートを吹いています。


兄弟は同じ日の生まれですが、双子ではありません。


例によって、家庭の事情がこみいっています。


名作『タッチ』の余韻を響かせながら、こみいった学園の野球部に属した、こみいった家庭の3人兄妹の青春物語が『MIX』です。


両者をつなぐ絆は、兄妹の家庭に残されたエース番号のユニフォームのみ。


兄弟は、まだ中等部の二年です。これから甲子園にたどりつくまで先が長そうですね。


MIX 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)/小学館
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著者名:あだち充 書名:MIX 1 出版社:小学館 2012年


評価:☆☆☆☆ 80点