NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―  -42ページ目
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05.二ノ宮知子:のだめカンタービレ 22

フィナーレまで後1巻!のだめ堂々の世界デビュー


-いよいよ、みなさんともお別れが近づいてきましたね。じつはKISS連載中の「のだめカンタービレ」も後二日(10月10日)で終っちゃうんデスヨ。でも、のだめ世界デビューデス。

-まったくオレサマに黙って、勝手なことばかりしやがって。

-あれは、先輩がいけないんですよ。のだめのプロポーズ断るから。

-お前、あれ本気じゃなかったろ。オレは、思わずお前が「逃げた」と思ったから・・・

-まあ、まあ、いいじゃありませんか。でも、さすがミルヒー、世界の巨匠デス。それに先輩だって、感動して涙流したし・・・

-いうな。それは別の曲だろ。それにそれは23巻(まだ出ていない)!

-ゴメンナサイ。

-ゴメンナサイを言う相手が違うでしょ。まったく、このひょっとこ娘が。私に隠れて世界デビューなんて、ゆるせない。

-おー、のだめ。シュトレーゼマンと共演なんてすげえよな。さっそくだけど、サインくれ。裏軒の客寄せに使うから。

-でも、峰君、サイン一番乗りじゃないですよ。

-それも23巻!


そんなわけで、千秋とルイとのラヴェルのピアノコンチェルトにショックを受け、失踪したのだめはミルヒーことシュトレーゼマンとショパンのピアノコンチェルトで堂々のロンドンデビュー。その波紋はまたたく間に、世界中に広がります。しかし、すれ違いを続けるのだめと千秋の恋のゆくえは・・・?


二ノ宮知子のタッチも冴えわたる圧巻のショパンピアノ協奏曲の描写、「のだめカンタービレ」全作のクライマックス必読の22巻です。


のだめカンタービレ #22 (講談社コミックスキス)/二ノ宮 知子
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04.小川糸:食堂かたつむり

料理を通じて再生する母と娘の絆を描く名作



はじめて「食堂かたつむり」を手に取ったとき、きっと群ようこ「かもめ食堂」に似た作品ではないかとまず思った。


詩的で新鮮な言葉で語られる冒頭を見る限り、帰省版の「かもめ食堂」のようではないか。だが・・・


主人公、倫子はインド人の恋人が去った後、すべてを失い、郷里の大分へと帰る。


そこで待っていたのはどこかしら打ち解けることができなかった母と、豚のエルメスであった。


彼女は、実家のぞばに一日一組のみの、こだわり抜いた食材とレシピの食堂、食堂かたつむりをオープンする。


やがて、その料理はそれを食する人たちに、いくつもの奇跡を呼ぶ。


そんな中で、彼女は次第に今まで知らずにいた母の姿を知り始めるのであったが、やがて胸がはりさけるような運命が、二人と一匹の前に立ちはだかる・・・


ロハスで瀟洒なグルメの世界を読者に味あわせるかに見えて、実は母と娘の絆の話、いわばもうひとつの「東京タワー」-私とオカンと豚のエルメス-であった。


「食堂かたつむり」はこれまでに26万部を売り上げ、柴崎コウ主演の映画化も予定されている。


http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090531-OHT1T00229.htm


食堂かたつむり/小川 糸
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03.伊坂幸太郎:あるキング

エンターテイメントの王者、伊坂幸太郎が放つ異色の野球小説



先月あたりまで、伊坂幸太郎にはまっていました。


スリリングで先の読めない展開。時に色々な視点から物語は語られ、最後になってあっと驚くような辻褄合わせが待っている・・・バラバラに提示されたジグソーパズルが、最後のピースでぴたっとはまるような快感が伊坂幸太郎の作品にはあるわけです。


その伊坂幸太郎が手がけた野球小説が「あるキング」です。


しかし、「あるキング」はこれまでのどの野球物語とも、伊坂作品とも違っています。


それは、主人公である山田王求が誕生する時から登場する、シェイクスピアの「マクベス」を思わせる三人の黒い衣服を着た女たちの予言的な言葉であり、英雄にともなう悲劇的な未来が絶えず語られ、物語は暗い運命論の中におかれ続けるからです。


その予感は目次を見た時の強烈な印象と重なり、読者をダークでスリリングな世界へと置き続けるのです。目次にはこうあります。


〇 歳                       5

三  歳                      19 

十 歳                       38

十 二 歳                     56                    

十 三 歳                     77

十 四 歳                     93

十 五 歳                     108

十 七 歳                     124

十 八 歳                     141

二十一歳                    163

二十二歳                    186

二十三歳                    205

〇   歳                    220

                              」


どういうわけか十六歳が抜けています。十九歳と二十歳も・・・そして二十三歳で止まり、再び〇歳に・・・


一体、十六歳、十九歳と二十歳、そして二十三歳の時に何が起きるのでしょうか?


この疑問を抱き始めた時に、あなたはもうすでに伊坂ワールドの魔術に引き込まれていることでしょう。


ぎりぎり許されるストーリーのアウトラインとして、帯についたものをそのまま引用しておきます。


弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。

“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられたひとりの少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。

期待以上に王求の才能が飛びぬけていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては王になるために。


通常、伊坂幸太郎の作品では、仙台はそのまま仙台と表記されますが、ここでは実在しない最下位の球団を登場させるために、仙醍となっています。そして、首位の球団も「東卿ジャイアンツ」となっています。現実をモデルとしながらも、ありえない存在や法則がはたらく、別世界の構築こそ、作者の意図するものでしょう。(文中敬称略)



あるキング/伊坂 幸太郎

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02.小説 こちら葛飾区、亀有公園前派出所

一冊で三度おいしい7人の推理作家による夢のコラボ!


NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―-亀有1


最近、亀有を歩くことが多いです。Arioというバカでかいショッピングセンターもでき、気のきいたたこ焼き屋さんもでき、BOOK OFFもできました。



NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―


その亀有のあちこちにあるのが両さん、こと両津勘吉像。駅の両側にも、Arioの中にもあります。



NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―


「小説 こちら葛飾区、亀有公園前派出所」は7人の推理作家による「こち亀」のオリジナル・エピソード集です。


第一の楽しみは、大沢在昌、石田衣良、京極夏彦、東野圭吾といったそうそうたるメンバーがそれぞれの小説世界の中で、両津勘吉像を描きだしています。その意気込みも半端ではなく、たとえば大沢在昌「幼な馴染み」では、あの新宿鮫、鮫島と歌手青木晶のカップルが浅草を訪れ、石田衣良「池袋⇔亀有エクスプレス」では、IWGPこと「池袋ウエストゲートパーク」の主人公、真島誠が両さんの依頼を受けるといった楽しい設定で始まります。


そのさわりだけ、ちょっとのぞいてみましょう。


「あんたは両津勘吉をしってるかい?

偉大なる人類の祖先のクロマニヨン人の骨格をした恐るべきスーパーコップだ。まあ、規格外なのは確かだが、警視庁にだって新宿鮫みたいないい男ばかりでなく、はずれくじもまわってくるからな。でかい組織には思わぬ名物もいるって話。」*


第二の楽しみは、そのすべての作品に、「こち亀」作者秋本治によるオリジナルな挿絵がついていることです。


「池袋⇔亀有エクスプレス」では、両津勘吉は西口公園で携帯電話をにらみ、東野圭吾「目指せ乱歩賞!」では両さんは、ワープロ相手に奮闘のシーンが描かれるなど、オリジナルな楽しみに満ちています。


第三の楽しみは、巻末におさめられた7人の作家のプロフィールで、デビュー作から最近作にいたるまで、微に入り、細に入り、丁寧そのものの解説があり、何とか「こち亀」ファンをミステリーに振り向かせようという熱意に満ちています。さすが、社団法人・日本推理作家協会の肝いり企画です。いや、実際のところ、この解説は各作家への入り口としては大変よくできています。


というわけで、「こち亀ファン」にも、各推理作家のファンにも目が離せないのが「小説 こちら葛飾区、亀有公園前派出所」(当然、出版社は集英社)なのです。


小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所/秋本 治

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*当ブログでは、日本国法に照らし、著作権法第32条(引用)、および著作権法48条(出所の明示)に基づいた引用を行っています。

01.加島祥造:求めない

心の静けさを取り戻すための座右の書



「求めない」加島祥造さんの詩句集です。2007年に出版されましたが、今も色あせることなく、読み継がれている名著です。


「求めない」という言葉で始まる150の句と13の短詩からなっています。


もちろん人は絶えず求ずにはいられない存在です。そのことを百も知った上で、著者は「求めない」と書き続けます。


なぜなら、ひとがふだん求めているものは、体ではなく、頭で求めているもの、文明によってつくりだされた偽りの欲求であることが多いから。


そのような偽りの欲求をしばらく、沈黙させる時、思いがけない静寂と平安の世界が自分の内側にあることにひとは気づくのです。


それこそが筆者が「命」と呼んでいるものでしょう。


心をしばしの間、メディアと人々によってつくりだされた欲望から引き離し、内なる声に耳を傾けるためにこの書物は存在します。


その後、再び「求める」世界に戻ったとしても、全く構わないのだと著者は言います。


なぜなら


「求める-

求めない-

この二色の糸を、

自分の

人生の模様におりこめれば、

ライフはいいバランスのものになる」


から。

『求めない』 加島祥造/加島 祥造

¥1,365
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