04.小川糸:食堂かたつむり
料理を通じて再生する母と娘の絆を描く名作
はじめて「食堂かたつむり」を手に取ったとき、きっと群ようこ「かもめ食堂」に似た作品ではないかとまず思った。
詩的で新鮮な言葉で語られる冒頭を見る限り、帰省版の「かもめ食堂」のようではないか。だが・・・
主人公、倫子はインド人の恋人が去った後、すべてを失い、郷里の大分へと帰る。
そこで待っていたのはどこかしら打ち解けることができなかった母と、豚のエルメスであった。
彼女は、実家のぞばに一日一組のみの、こだわり抜いた食材とレシピの食堂、食堂かたつむりをオープンする。
やがて、その料理はそれを食する人たちに、いくつもの奇跡を呼ぶ。
そんな中で、彼女は次第に今まで知らずにいた母の姿を知り始めるのであったが、やがて胸がはりさけるような運命が、二人と一匹の前に立ちはだかる・・・
ロハスで瀟洒なグルメの世界を読者に味あわせるかに見えて、実は母と娘の絆の話、いわばもうひとつの「東京タワー」-私とオカンと豚のエルメス-であった。
「食堂かたつむり」はこれまでに26万部を売り上げ、柴崎コウ主演の映画化も予定されている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090531-OHT1T00229.htm
- 食堂かたつむり/小川 糸
- ¥1,365
- Amazon.co.jp