87.アンディ・アンドルーズ:世界を変える力
アンディ・アンドルーズの『バタフライ・エフェクト 世界を変える力』は、100ページに満たない薄い本です。
本文は、62pで終わっています。それでも、格別な感慨のある本なので紹介します。
まず、カオス理論の問題提起として、一躍世界で有名になった「バタフライ効果」について、説明しています。
1九六三年、
マサチューセッツ工科大学の気象学者、エドワード・ローレンツは、
ニューヨーク科学アカデミーに対し
「バタフライ効果」という仮説を提唱しました。
その理論を簡単に説明すると、
蝶が羽を動かすと、空気中の微粒子を動かし、
それがほかの微粒子を動かし、さらに多くの微粒子を動かす。
そうしているうちに、やがて地球の反対側で竜巻を発生させる、というものです。
ローレンツがそう説明すると、
会場に詰めかけていた科学者たちはいっせいにあざけり、
彼はその場から追い出されました。
彼の提唱した考え方は、たわごとと解釈されたのです。
pp9-11
一時風変わりな仮説として、SFやコミックの世界で援用されたバタフライ効果ですが、やがて科学の世界でも、「初期値過敏性の法則」として、その正当性が認められるようになります。
バタフライ効果は、物体だけでなく、人間の行為にも適用されます。p13
そう、この『バタフライ・エフェクト 世界を変える力』は、一人の人間の行為の影響力と人と人の縁についての話です。
「世界を変えた男の子」の例として、まず取り上げるのがノーマン・ボーローグです。
アイオワ州の農場に生まれたノーマン・ボーローグは、父親の話から、世の中に十分な食べ物を食べられない人がいることを知ります。
そして、トウモロコシの品種改良に取り組み、それまで作物がとれなかった地域でも育つ品種の開発に成功、世界中に広がったこの品種のせいで、20億人の人を救ったとされ、彼はノーベル平和賞を受賞します。
しかし、ノーマン・ボーローグの力だけでは、それは可能でなかったかもしれないと、著者は言います。
ノーマン・ボーローグを研究所の所長として起用したのは、ヘンリーウォレスというアメリカの農務長官でした。
しかし、そのヘンリー・ウォレスが幼いころ、植物のことを教えたジョージ・ワシントン・カーバーという青年がいて、彼がいなければ、世界を救ったヘンリー・ウォレスはいなかったかもしれない…
さらに、そのジョージ・ワシントン・カーバーは、実は黒人奴隷の子として生まれました。彼を死の窮地から救い出したのは、彼を養子としたモーゼス・カーバーでした。
もしも、モーゼス・カーバーがいなかったら…
マックス・オフュルスの映画『輪舞』のように、人から人への縁のつながりが、人間界におけるバタフライ効果として描かれるのです。
- バタフライ・エフェクト 世界を変える力/ディスカヴァー・トゥエンティワン
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著者:アンディ・アンドリューズ 書名:バタフライイフェクト 世界を変える力 出版社:ディスカバー・tぅ縁ティワン 2011年刊
評価:☆☆☆ 60点
内容は感動的でメッセージも素晴らしいのですが、残念ながらあっという間に終わってしまいます。上に示した以上のストーリー展開はありません。そういう意味で、割高感が否めないのがこの本です。これを内容相応の評価にするためには、英文の原文を合わせて収録することが望ましかったと思います。このくらいの長さの平易な内容なら、高校生の英語力でも十分読みきれるはずです。それが英語の世界へ自分の足で踏み込むよいきっかけになりえただろうと思います。
86.斉藤一人:千年たってもいい話
- 斎藤一人 千年たってもいい話/マキノ出版
- ¥1,680
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まあ、大き目の活字の単行本で、1~2時間もあれば読めてしまうので、消費税込みで1680円は高いかなと思ったということもあります。
で、近所のブックオフで850円で見つけました。財布の中に、2月いっぱい有効の200円分のクーポンがありました。これを使うと650円ですね。そのくらいなら、財布にもやさしいのでなんとなく買ってしまったわけです。
で、読んでみると、これは斉藤一人さんの本の中でも、おそらく一番面白い本ではないかと思いました。
2009年春の講演をまとめた本ですが、笑いのセンスが抜群です。
たとえば、なぜ有名人になりたくないか、顔を出したくないかについて、ある駐車場での出来事を例にあげて説明しています。
それでね。この前、仙台行ったらね。仙台の駐車場でね、駐車場広いから、足が疲れたからね、飛行機ブーンっての、やってたの。
で、その飛行機ブーンっていうのはね、今、やってみせてあげるね。あのね、こう手を広げてね(笑)。
で、飛行機ブーンってやってたの。飛行機ブーン、こうやってずーっとやってたらね、品のいい奥さんがこうやって見てるの。ずーっと見てるの。
俺も、「暇そうな人だな、この人」と思ってたらね、飛行機ブーン、終えて帰ってきたらね、その人が、私んとこ、来てね、
「斉藤先生ですね?」
っていうの。で、
「『斉藤一人研究会』の者です」
って(笑)。「そんな研究会、いつできたの?」みたいな話でさ(笑)
pp13-14
顔を出したくない理由のもう一つの例、爆笑ものです。
1回ね、地方でコンビニ、行ったの。でね、コンビニでこうやっていろんな物買おうと思って見てたらね、本が並んでるから、俺、本、好きだから、ずーっと見てたら、一番最後にエッチ本があったの。
で、これ見てて、「こういうところでこういうの売ったらね、青少年の教育によくないじゃないか」って。まあ、一冊、買ってみようと(笑)。
で、それ、一冊、買って、
「お勘定、お願いします」
っていったらね、そこの人がね、じーっと顔見てね、
「一人さんだ!」っていうの(笑)。
pp14-15
それだけならまだよかったのですが、この話にはさらに続きがあります。
それでね、
「ちょっと待ってください」
っていってね、電話したら家から家族が来て(笑)、親戚の人、も来て「一人さんファンだ」ってのがまた集まってきたから、お店いっぱいになっちゃったの。
その間にエッチ本はずっと前に出てるの。前に(笑い)。
p15
こんな調子で楽しくて、面白い話が続きます。その中で、普通の人が常識と考えていることがひっくり返され、目から鱗ということもしばしばです。いかにして人生を楽しく過ごすかについての楽しい話のオンパレードで、全体を通すあらすじのようなものはありません。だから、紹介しようとすると、一つ一つ引用するしかないので、このへんにしておきます。
長者番付で何度か一位になったこともあるお金儲けの達人の一人さんですが、一人さんはすごい超能力者でもあるようです。
お弟子さんたちの話の中で、そのエピソードが次々に紹介されています。
空の雲を消す話とか、「山一證券」が潰れると予言した話とか、病気を次々に治した話とか…
「大宇宙エネルギー療法」と称して、その力を広げたりもしていますが、一切お金をとってはいけないというのがポリシー。だから、霊感商法にあたらないので、まあよいのではないでしょうか。
こういう話はファンの人は信じるでしょうし、そうでない人はそんなことまさかと思うでしょう。
そういう話に、簡単にひっかかる人は、あぶないと一人さんも言っています(笑)。
でも、超能力者ですから、世の知識人があるともないとも言えない他のあやしい予言とかもあっさり切ってのけるところが痛快です。
21世紀のときかな、「ノストラダムスの大予言」ってのがあって、1999年に地球に隕石がぶつかってとかって、くだらねえことは信じるの(笑)。
でね、俺にね、うちのお弟子さんまで、えーっ、
「あれ、大丈夫ですか?」
って。
「なんにもねえよ」
って言ったの。ないもん。
今度ね、それがないっていってるのに、今度はね、今度、何年にアセンション(地球の次元上昇)とかっていうのが起きて、
「これはどうなのでしょう?」
って。
「なんにもねえっ」
って。
ないんだよ。本当に(笑)。
『斉藤一人大予言』って、「なんにもありません」って、、1ページで終わっちゃうんだから(拍手)。
p57-58
斉藤一人さんの『千年たってもいい話』はCD三枚つきで、三枚のCDには第一部の一人さんの講演と、第二部のお弟子さんの話のすべてが収録されています。これで、1680円は安いですね(笑)。
85. 冲方丁:もらい泣き
誰もが、泣ける話というものを、一つ二つは持っているものだ。しかし多くの場合、本人たちがそう思っていないのである。
つまり彼らにとっては、ごくつまらないことであったり、あまり触れて欲しくないことであったり、ときには、人に話すべきではない恥ずかしいこととして胸のうちにしまい込んでしまって、なかなか思い出せなくなっていたりするのだ。
逆に、本人にとってとにかく泣ける話でも、聞く方はどう共感すべきか咄嗟にわからず、理解するため相手の幼少時代にまで話をさかのぼらせねばならないこともあった。
しかしどのような場合でも、注意深く時間をかけて聞きさえすれば、やがて、ふだんはその人の中に隠れている妙に柔らかな何かが、顔を出すことになる。
ひどく繊細でいながら、批評めいたことを一切退けてしまう力を持つ、その柔らかな生き物を、私は今のところ、「良心」と呼んでいる。
その相手の良心が唐突に顔を出すや、とたんに私の中の良心も表に出ようとする。そして、私や話し手の、日頃の意識とはかけ離れたところで、秘められたエピソードがはっきりとした言葉となって語られる。
(まえがき pp9-10)
ある物語がふだん眠っている私たちの「良心」、うぶで純真な心に触れる時、私たちは思わず涙を流してしまう。
その著者の狙いが、どれだけ果たせたか、さすがに十割バッターは無理でも3~4割は果たせたのではないかと私は思います。
短編ゆえに、読者の楽しみを奪わないために、長編紹介のようなストーリーのアウトラインを紹介することさえ難しいのですが、特によかった話をあげると次のようなものがあります。
ある女性が語る妖怪のような祖母、一族から恐れられたそのおばあさんが、金庫の中に残したものとは?(「金庫と花丸」)
雑誌カメラマンが撮った全然怖くない心霊写真とは?テーブルの上の六人の男性の手、でも手は13本…(「心霊写真」)
ほとんど視力を持たず生まれた子供が、仕事と家庭の心労で、精根尽き果てた父親に対して行った贈り物とは?(「ぬいぐるみ」)
そして、雑誌を連載中に起こった3月11日の東日本大震災…
そこから、物語は災害や事故の中の話が増えるようになります。失われた人々の残した思わぬ愛の証、人々の勇気やおもいやりの心…
一つ二つの美談は、クールに聞き流すことができても、これだけ数が集まってくると、やはり人間は素晴らしいのだと思わずにはいられなくなります。
奇蹟は、いつでも、至る所に存在するけれど、それは超自然的な何かではなく、人の心とともにあるものなのです。
著者名:冲方丁 書名:もらい泣き 出版社:集英社 2012年8月刊
評価:☆☆☆☆ 80点
84. 伊藤喜之:バカでも年収1000万円
この本のタイトルは、あまり品がありません。
よくあるビフォー&アフターのサクセスストーリーです。ビフォーを低くすればするほど、アフターへの変化は効果的に見えるという効果を狙ったものです。
しかし、今まで数百冊は自己啓発書を読んできましたが、この本の内容はピントが絞られていて、非常に効果があると思えます。
自己啓発書や成功本というのは、結局のところどれも似たり寄ったりのことを書いています。
それを次々に読んで人が成功しないのはなぜかというと、本質的な部分は、本人のコンフォートゾーンから外れるため、行動に移さず、コンフォートゾーンの中の副次的な部分のみ実行しているからだと思います。
言い換えるなら、大脳に情報を送り込むことでは、身体を動かすに至らない人が多いことに尽きます。
本がどんなに感動的でも、その快感を得ることで、空想次元で願望が満たされると、今度は別の本で同じ快感を得ようとするという閉じた回路にはまり込み(一種パブロフの犬状態)、その結果行動しないままに本だけが増えてゆくのです。
自己啓発書は、一種のファンタジーです。それから勇気と知恵をもらい行動できれば成功につながり、読むだけで終われば、エンターテイメントに終わります。
ネット上だけで行動するものなら、比較的ハードルは低いでしょう。
しかし、リアルで人に会った時の行動を変えることは一番難しいことではないかと思います。
新たに起業するとかは、本を読んだだけでの行動は無理な人がほとんどでしょう。
けれど、すでに起こしている行動に変化を加えるだけなら、ずっとハードルは低くなります。
この本で書かれているのは、いくつか財布に痛いものはあっても、今の職業行動の中ででできることがほとんどです。
さて、この『バカでも年収1000万円』は、三つの部分に分かれていて、第一が「バカ6大奥義」、第二が「バカ15法則」、第三が「バカ16スキル」となっています。
こういう本は一冊の本にするためにある程度ページ数を上げる必要があるので、後半になるほど、どうでもよい内容、他の本でも普通に書いている内容が増えてきます。
この本の一番おいしい部分は、最初のバカ6大奥義に凝縮されています。
本を買わずに、以下のまとめだけを実行しても、効果は変わらないはずです。長い文章は読者になるほどと思わせ、自分でもやってみようかと行動させるための説得なのですから。
では、6大奥義とは何か?(一部言葉をわかりやすくくだいてあります)
1.成功の糸は毎週木曜日に降りてくる
これは、今までやったことのない選択肢を、木曜日に起きた出来事にフォーカスしながら、実行に移してみることで、チャンスをつかむというものです。
実は、木曜日に大きな秘密はありません。週の半ばで、月曜ほど緊張感がなく、金曜日ほど浮ついていないからと言った理由。しかし、毎日やると時間とお金がかかりすぎるのでやめた方がいいと著者は言います。
2.量で勝てないなら、人の5~10倍のスピードで勝負する
ここでのスピードとは作業速度ではありません。そんなことをすればすぐに息切れして長続きしなくなります。速くするのは、行動に移すタイミングです。
たとえば、「この人はすごい」とあなたの尊敬する人物から商品やサービスを(お店、本、セミナーなど)を勧められたら、躊躇せずに、即、その場で購入(注文)してください。p59
3.相手の弱点を調べ、ほしがっているものを提供する
このような例として、タワーレコードへの、インディーズレベルのCDを売り込んだことを著者はあげています。人であれ、企業であれ、相手にニーズがありながら、守備範囲でない商品やサービスを差し出せば、向こうはそれに飛びつき、オンリーワンの存在になる可能性が高いということです。
4.99%の人がやらない、人に貸しを貯金する
銀行にお金を預けるよりも、ずっと実りのある貯金が人に貸しをつくる貯金であると、著者は言います。
この発想は間違っていません。著者はプレゼントの例をあげています。誕生日を覚えていれば感動する人は多いでしょうが、かなりお金がかかるのであまりよい例とは言えません。むしろ、困った時の無形の親切や、サポートの方がずっと実りが多いはずです。言い換えるなら、人たらしの法則です。
そして、これはソーシャル・キャピタルにつながる考え方です。
5.夢や目標を捨てる
この夢や目標とはデフォルトとしての夢や目標です。あまり行動しないうちに、観念にとらわれることで、かえって自由を制限する結果につながりやすい、だから夢のない人は無理に持つ必要はないと著者は言います。夢は色々行動して後から見つかるのを待てばよい。
これは、著者の執筆時28歳という年齢の言わせるものなので、誰にでも受け入れられるものではないと思います。これまでの経験値の多い人は、はっきりとした目標なしには進めないでしょう。
6.逆さまの法則
給料や役職、福利厚生をもっとほしいと求める前に、成果をあげておくというものものです。
つまり、「いくらください」という前に、金額に見合うだけの行動を起こしておくことです。p116
続く、15法則の中のおいしい部分を抜き出すと、法則9の「見た目のハッタリ」はやがて本物の力に変わっていく(『これは人は見た目が9割』他いろいろな本に書かれている内容)。16スキルでは、スキル5の「ロングシュートのラッキーゴールは意外と多いなど。あるいは、スキル6の「本番は今日だけ」しかない。
このまとめの言葉はなかなかいいです。
大事なのは、「今日一日を最大化すること」だけであり、目の前の仕事やチャンスを活かせない人に、「理想の未来」をつかむことなどできません。「今日を最大化できる人だけが、未来を最大化できる」のです。p210
- 【図解】バカでも年収1000万円/ダイヤモンド社
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評価:☆☆☆☆★ 90点
この本は、親鸞の悪人正機説のようなものです。本当は、バカでも、成功できるというのは正しくなくて、既成概念や成功の確率にとらわれないバカだから成功するといった方がいいでしょう。8割の確率で成功する手堅い道を行くエリートは、2割の可能性を捨てるのが普通。しかし、残り2割の確率も五回チャレンジすれば10割に近づく。そのどちらのやり方、あるいは生き方を取るかというところに行きつくはずです。
83.戸塚たくす・阿久井真:ゼクレアトル~神マンガ戦記~1
- ゼクレアトル~神マンガ戦記~ 1 (裏少年サンデーコミックス)/小学館
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ネット上で発表され、余りの面白さに最初から最新の回まで、一気に読みふけってしまったのが、原作戸塚たくす、作画阿久井真による『ゼクレアトル~神マンガ戦記~』です。
大げさな響きに、ゼクレアトルって何?と思わず首をかしげてしまいますが、the creator(創造者)を読みかえたもの。
ある日、平凡な中学二年生のカン太は、急に周囲から見られている視線を感じ始める。
その教室に現れた同級生の風岡咲妃(かざおかさき)。彼の変な様子をからかい、教室へ出る際、咲妃はバランスを崩し、カン太にパンチラを見せてしまう。
そういえば、最近おいしい出来事が多かったとカン太は振り返る。
万引き犯の逃走シーンを目撃したり、女の子にバスケ部に勧誘されたり、曲がり角で女の子とぶつかりそうになったり…
そんなカン太の前に現れたのが、週刊少年サンデーとそっくりな『仙人サンデー』という漫画雑誌。
そこで彼は、自分が漫画の主人公になり、数日前の出来事がそこにしっかりと記録されていることを知り、愕然とする。
続いてカン太の前に宙に浮かんで現れたのが、二頭身のマスコットキャラクターのような、ゼクレアトル。
どう見ても女の子にしか見えないゼクレアトルはカン太に、お前の使命は、この漫画を面白くすること、自分の使命は、漫画監督であると告げる。
それを仙人たちが別の世界で読んで楽しむのだと。
そして、あまりにセンスのないカン太のリアクションを咎め
お前はスラムダンクを一話目で終わらせた、読者投票の順位が悪いと漫画は打ち切りになり、その時お前は…
そう告知されるのだった。
かくして、別世界で発行される連載漫画の主人公として生きることになったカン太は、主人公補正によって、ありそうもないおいしすぎる出来事、ショッキングな出来事が次々に降りかかり、やがて漫画も学園ラブコメから、家庭ドラマ、そして魔法少女とヒーローの登場する王道のバトル漫画へと変わって行くのだった。
物語を盛り上げるため、ゼクレアトルの手にかかり、翻弄され続けるカン太の運命や、いかに?
原作:戸塚たくす 漫画:阿久井真 表題:ゼクレアトル~神マンガ戦記~1 出版社:小学館 2012年刊
評価:☆☆☆☆★ 90点
今は、まだ知名度が低いですが、二人の作者のセンスには非凡なものを感じます。この世の世界を漫画の中の出来事として描く一方で、別世界で漫画を描くキャラクターたちの間の相互のリアクションを小気味よく描くメタ漫画です。大場つぐみ・小畑健のよる『バクマン。』の主人公たちが描く漫画の登場人物は、独立した意志を持たなかったけれど、この作品のカン太は意志を持ち、描かれることへの誘惑と抵抗の間で、もがき苦しむのです。途中、色々な漫画のパロディが散りばめられ、読者を飽きさせることがなく、本当に楽しい漫画だと思います。
これまで発表された『ゼクレアトル』の全ての回は、裏サンデー、ゼクレアトルのページで読むことができます。
http://urasunday.com/thecreator/index.html