NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―  -21ページ目

49.井上雄彦:バガボンド 32

「剣に生きると決めたらなら

 

 正しいかどうかはどうでもいい

 

 感じるべきは楽しいかどうかだ」 (伊藤一刀歳)


 「笑え


 もっと笑え」 (柳生石舟斎)

バガボンド(32) (モーニング KC)/井上 雄彦
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片足を引きずったまま、再び行脚を続ける武蔵の前に現れた伝説の剣豪、伊藤一刀歳
 
幼い日の武蔵(たけぞう)にとっては、一種の偶像的な存在であった。

そんな一刀斎に対して、「天下無双は陽炎」、「闘う理由がない」と、挑発を斥けようとした武蔵だったが、「石舟斎のようなことを言う」「失望したぞ」「0点だ」という言葉の前に、一瞬逆上し、刀をふるう武蔵。その結果は・・・


一刀斎が隠す右腕には、かつて佐々木小次郎との対決の中で、受けた傷が刻まれていた。


一刀斎のみが、武蔵と小次郎の技量が伯仲することを身体で知ったのだった。


それでも、武蔵に対して、小次郎の方が強いと言い放つ一刀斎。


そのころ、柳生石舟斎は、おつうたちが見守る中で息を引き取る。


武蔵に襲いかかる刺客は絶えないものの、彼はいつしか自分が「殺し合いの螺旋」より抜け出ていることを感じるのだった。


言葉もなければ、恨みや怒りの感情もない、ただ一瞬の太刀の中に生きる・・・


そんな彼の今の境地を分かち合える相手がいるとすれば、それは佐々木小次郎しかいなかった。


友に会いたい、武蔵の心に希望が宿る。


お勧め度:☆☆☆★ 70点


著者:井上雄彦 書名:バガボンド 32 出版社:講談社 2010年1月刊


いよいよ、最後の山場舟島(巌流島)の決闘に向けて動き出す武蔵。小次郎との関係も、ライバルというより、唯一心を分かち合える友としての輝きを帯びてきます。とは言え、いまだ足の傷癒えず、歩行もままならぬ武蔵。最後に、どのような展開が待っているのでしょうか。

「東京マラソン」クイズ 解答編

問題はこちら をご覧下さい。


<解答と解説>


Q1 ② 


東京マラソンは、石原東京都知事と会った小出義雄さんの一言から始まったとなっています。


Q2 ②

定員3万人に対して、9万5044人の申し込みがあったので、約三倍が正解です。


Q3 ② 


ファイブメジャーズのもう一つはボストンマラソンです。


Q4 ②


フルマラソンの制限時間は、世界の大勢に合わせて、7時間となっています。


Q5 ④


解答番号が③になっていましたが、サブスリーが正解です。同様に、4時間以内で完走することを「サブフォー」と言います。


Q6 ③


エレベーションはレース距離の千分の一以内、つまり42.195mになければいけないので、③の約40mが正解です。


Q7 ④


寿司やアンパンも検討されましたが、寿司は物理的に準備するのが不可能で、保健所の許可も難しいという理由、あんパンは某有名店のものが候補にあがりましたが、コスト面とスポンサーとの関係でボツになり、当地の名物ということで、数も揃い、コストもリーズナブルな水天宮近辺の人形焼きが出されることになりました。ちなみに、この人形焼きにはあんこが入っていませんが、これは外国人選手への配慮と、コスト面によるものです。


Q8 ②


7時間にわたるマラソンでトイレに行かないのは不可能なのでトイレは当然可ですが、食料調達のためにコンビニに立ち寄っても、コースを近道せず戻れば失格にはなりません


Q9 ②


男子の優勝タイムは2時間9分45秒ですが、車椅子の優勝タイムは1時間32分21秒でしたので、車椅子の方が速いが正解です。


Q10 レインボーブリッジ


石原都知事は、コースにレインボーブリッジをどうしても入れたいと言いましたが、風が強いこと、高低差が大きいため記録面で不利になるということで断念せざるを得ませんでした。

48:遠藤雅彦:東京マラソン

東京マラソン (ベースボール・マガジン社新書)/遠藤 雅彦
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2010年2月28日に行われた第4回目の東京マラソン
 
それまで、ほとんど関心がなかったのですが、ブログ上で何人もの有名人の参加や、完走のタイムを知るにつれ、自分でも参加したくなってきました。
 
何といっても、コースがおいしすぎます。
 
新宿都庁前からスタートして、市谷、飯田橋、皇居前をめぐり、有楽町から芝公園を経て、品川で折り返し、銀座から人形町、浅草橋を経て、浅草寺雷門前で折り返し、今度は銀座から築地、月島、豊洲を経て、東京ビッグサイトへゴールイン。
 
堂々と道の真ん中を走りながら、東京タワーや銀座、浅草といった観光スポットを巡るこれ以上ないと言っていい、豪華なマラソンコースです。
 
そんな東京マラソンの成立の経緯をつづったのが、東京都庁の大会の参事として、実行部隊の責任者の立場にあった遠藤雅彦さんの「東京マラソン」です。
 
今回は趣向を変えて、クイズ形式で、この本の内容を簡略に紹介することにします。
 
Q1.東京マラソンはある人物の「市民ランナーに銀座通りを走らせてほしい」という声からスタートしました。この有名な人物とは一体誰でしょう。
 
① 高橋尚子  ② 小出義雄  ③ 野口みずき  ④ 土佐礼子 
 
Q2.東京マラソン2007では、3万人の定員に対して応募した人の倍率は何倍だったでしょう。

① 約2倍 ② 約3倍  ③ 約4倍  ④ 約7倍


Q3.東京マラソンが目標としたファイブメジャーズと呼ばれる世界の5つのマラソン大会があります。ベルリンマラソン、シカゴマラソン、ロンドンマラソン、ニューヨークシティマラソン、そして後一つはどこのマラソンでしょう。


① ロサンジェルス  ② ボストン ③ サンフランシスコ  ③ ホノルル

 
Q4.東京マラソンはフルマラソンと10キロのコースがありますが、フルマラソンの制限時間は何時間でしょうか。

 

① 6時間  ② 7時間  ③ 8時間  ④ 9時間


Q5.市民マラソンでは、3時間以内で走ることを何と言うでしょうか。


① スリーアンダー ② アンダースリー ③ ワンダースリー ④ サブスリー


Q6 公認コースの条件の一つとしてエレベーション、つまりスタート地点とフィニッシュ地点の標高差の制限があります。この制限は何メートルでしょうか。


① 約20m  ② 約30m  ③ 約40m  ④ 約50m


Q7.東京マラソンで主催者側から出された食べ物は、次のどれでしょうか。


① 寿司  ② あんパン  ③ たい焼き  ④ 人形焼き


Q8.コース最中で、コンビニやトイレに立ち寄ったランナーはどうなるでしょうか。


① どちらも失格              ② どちらも可  

③ トイレは可だがコンビニは不可   ④ コンビニは可だがトイレは不可


Q9.東京マラソンには車椅子のレースもあります。車椅子のレースと、男子マラソンのレースではどちらが速いでしょうか。


① 男子マラソンの方が速い  ② 車椅子の方が速い  ③ ほぼ同タイム


Q10. 最後は記述問題です。石原都知事が一ヶ所だけどうしてもコースに入れたいと主張して実現しなかった場所はどこでしょうか。


お勧め度:☆☆☆★ 70点


著者:遠藤雅彦 書名:東京マラソン 出版社:ベースボールマガジン社新書 2008年刊 


今年で4回目を数える東京マラソン。応募者の数も大きく変わっていますが、その成立にいたるまでの陰の苦労や、なぜこの形になったかを知るには絶好の入門書と言えるでしょう。この本を読み終えた人の中には、身体が熱くなり、10人に二人か三人は自分も東京マラソンに参加してみたいと思うことでしょう。しかし、次の東京マラソン2011では、人気もさらに白熱して一層狭き門になっていることでしょう。比較的参加しやすかった第一回のレースをうらやましく思うかもしれません。


クイズの解答は、こちら をご覧下さい。

猫時間 10 <車輪の下>

14:13


NO BOOKS NO LIFE -読書の時間― 

 

猫にとって、自動車の下というのは、ことのほか快適な空間であるようです。


人間や大型犬などの外敵は、入ってくることはまずないし、落ち着き、安心できる空間であることが第一。


日陰と日向が混在するので、温度調節に適しているのが第二です。猫は、体温の維持を場所の移動によって、コントロールしているようで、暖かくなりすぎると日向にもぐり、寒さを感じると日向に出てきます。


問題は、のんびり系の猫がエンジンがかかっても、この快適な場所から離れないことで、そのため毎年多くの猫が、車輪の下敷きとなってこの世を去ります。


ガレージがなく、マイカー外置きのドライバーの方は、エンジンをかける前に、こまめに愛車の下を覗くことをお勧めします。

47:川上未映子:ヘヴン

透明無比な文体で


いじめられた少年と少女の
 

心の連帯の運命を描く

 
川上未映子渾身の力作


ヘヴン/川上 未映子
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 母親とは血のつながりのない複雑な家庭に育った、斜眼の中学生のは、日々学校で陰湿ないじめにあってた。


 そんな僕の机に入っていた手紙から、同じクラスの少女、コジマとの文通が始まる。


 コジマも同じようないじめを周囲から受けていた少女であった。


 やがて、学校の外で二人で出会うようになり、二人だけの心のつながりは深まってゆく。


 ある日、コジマに僕は連れられて、美術館へ行くが、そこに彼女の言う<ヘヴン>はあるのだという。


 <ヘヴン>は天国ではなく、ある恋人たちの絵に彼女が与えた名称であった。


 「その恋人たちにはね、とてもつらいことがあったのよ。とても悲しいことがあったの、ものすごく。でもね、それをちゃんと乗り越えることができたふたりなんだよね。」 (p58)


 「ふたりが乗り越えてたどりついた、なんでもないように見えるあの部屋が実はヘヴンなの」(p58)


 しかし、その日僕たちはその絵の前にたどり着くことはなかった。


 コジマは僕の目を素敵だと言った。そして、その目が好きだと言った。


 やがて、さらにエスカレートしたいじめが僕を襲う。体育館での恐ろしいゲームの中で、怪我を負った僕は、医者から僕の斜眼が、簡単な手術で悩むものだと教えられる。


 僕とコジマに、明るい未来はあるのだろうか?


 果たして二人は、絵の中の恋人たちのように、<ヘヴン>へとたどり着くことができるのだろうか。


 お勧め度:☆☆☆☆ 80点


 著者:川上未映子 書名:ヘヴン 出版社:講談社 2009年9月刊


 川上未映子さんは、先行する音楽活動や詩・舞台など、多彩な活動で注目を集めた芥川賞作家ですが、この作品を見れば、単なる話題性のみの人ではなく、その文学への関わりも真摯なものであるということがわかるでしょう。執拗なまでに重ねられるいじめの具体描写、それを脆弱な少年と少女の精神の目を通じて描きながら、善悪を越えた人の心の存在理由を明らかにしようとする大胆な試みは、途中の対話にはドストエフスキーやニーチェすら髣髴させる思想性を感じさせます。結末に関しては、ある程度予想できるものの、カタルシスを求める読者にこびることのない、アンチクライマックスと言えるでしょう。