46:吉田篤弘:つむじ風食堂の夜 ver.1.1
- 懐かしい場所と時間に
出会うことができる
大人のためのメルヘン
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- つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)/吉田 篤弘
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とりあげたばかりのan・anの特集の中にも入っていた吉田篤弘の「つむじ風食堂の夜」。
タイトルや単行本のたたずまいが気になっていました。
思わず、宮澤賢治あたりの童話的なファンタジーの世界を想像してしまいました。
そして、その通りの雰囲気の作品でした。
とある町外れの小さな商店街にあるつむじ風食堂。
決してそういう看板が出ているわけではありません。
十字路に位置しつむじ風が渦巻くがゆえに、いつの間にか誰ともなくそう呼ばれるようになった食堂です。
コロッケをクロケットと呼ぶ、フランスビストロかぶれの風変わりな食堂を中心に、物書きである「私」とそれを取り巻くさまざまな人々の交流を描いた物語です。
物語と言っても、全体を支配する大きな物語はありません。
大してドラマチックな出来事が起こるわけでもありません。
時間も、最近の気ぜわしい小説とは対照的にゆるやかに流れてゆきます。
そのゆるやかさが、不思議にレトロな雰囲気をかもし出してゆくのです。
大きな物語が作品の全体を支配するのをやめるとき、一人ひとりの登場人物が語る小さな物語が、夜空の星のように輝きだします。
万歩計を<二重空間移動装置>と呼ぶ帽子屋の桜田さん。
わけのわからない出版社から出た本を冗談交じりの値段で売りつけようとする古本屋の主人、デ・ニーロの親方。
そして、何よりも「私」が語る奇術師であった父親と、その劇場のコーヒースタンドの主人、タブラさんが入れるエスプレーソの話。
どこにあっても不思議はない町なのに、まるで宮沢賢治と江戸川乱歩の世界をミックスしたような不思議なレトロ幻想空間へと読者を導く作者の才能は、言葉の魔術師というべきものです。
最後まで読むと、結局最初のところへと戻った気がするのですが、それはもちろん錯覚で、実は大きな変化が「私」には生じていることに気づきます。
歳月による変化を受け入れるということは、何かを失うことなしには決してありえないのですから。
☆☆☆☆ 80点
著者:吉田篤弘 書名:つむじ風食堂の夜 出版社:筑摩書房 2002年刊(文庫版2005年)
あわただしい時の流れの中で、置いてきた忘れものを見つけるような感覚がこの作品の持ち味です。
レトロと言っても、「三丁目の夕日」のような過ぎ去った時代の記号をキラ星のように散りばめているわけではありません。この作品のレトロはもっとさりげない感覚。たとえば、神田神保町あたりにある看板建築のいくつかの古本屋や喫茶店に足を踏み入れれば今でも感じることができるようなあの雰囲気です。
一度読み終わっても、その語り口や場所の細部にこめられた魔法を見極めたくて、もう一度最初から読んでみたくなるような作品。「いいひと」ばかりで織りなされた大人のためのメルヘンと言ってもよいでしょう。
この作品は映画化されていますが、イメージがオリジナルとは違った街に作り直され限定されるきらいがあるので(それが特に悪いとは言いませんが)、小説の方を先に読まれることをお勧めします。
映画:『つむじ風食堂』予告:http://www.tsumujikaze.jp/trailer/
an・an No.1698 [本とマンガ]
年に一度買うか買わないかという女性誌an・anですが、コンビニで表紙のタイトルを見ただけで、衝動買いをしてしまいました。
部屋の本が増えてくるにつれ、だんだん身動きが取れなくなってきます。
愛読する作者も固定化してしまい、前後左右のフットワークが悪くなってしまいます。
すぐ目の前にある本でも、手を伸ばさなくなる。そんな動脈硬化状態を解消するには、こういう雑誌の読書案内は結構お勧めです。
村上春樹もメインとなる作品は読んでも、軽いエッセイの類はスルーしているのですが、二ノ宮知子のリアル執筆生活(とは言っても写真はなく、書き下ろしコミック)は鮮度が高いので、つい読み入ってしまいました。
女優や女性作家のお勧め本のオンパレードがメインなのですが、感性の違いか、守備範囲にない作家、スルーしている作家の本がポンポンと視界に入ってきて、目がくらむような思いを覚えてしまいます。
どんな読書家であっても、ここにある276冊の本とマンガを全部カバーしている人はいないでしょう。
ですから、これをガイドブックにして、網羅的に読書の世界に入ろうという試みはやらない方がよいでしょう。
背表紙で名前を見るだけの女性作家も、顔写真(最近は本の後ろに掲載しないことが多い)ともどもコメントがあれば親しみもわきます。
ほんの一冊か二冊でいい、気になってはいるけれど、まだ一度も手を伸ばしたことのない作家や、作品へと踏み込むきっかけにするのがよいのではないでしょうか。
マガジンハウス 2010年2月24日発売 定価400円
Kiss 05号 [のだめカンタービレ アンコール オペラ編 AKT:4]
2月25日に講談社より発売されたKiss 05号。表紙は「のだめカンタービレ アンコール オペラ編」。今回で四回目のAKT:4です。
2回目と3回目は、実は立ち読みでスルーしました。内容的にも、なんだかごたごたして、救いがない感じがしたので・・・
しかし、Kiss 05号には、特別付録として、のだめクリアファイルがついていますから。これは買わなくてはね・・・と自己を正当化。
でも、大体自分で使わないで、人にあげてしまうのですが・・・
-「のだめカンタービレ アンコール オペラ編 AKT:4」では、相変わらずオペラの予算不足に苦しむ峰君が助けを求めたのが夜の女王こと、峰君の母。本邦初公開デス。のだめは会ってないんですが、先輩どうでしたか。
-峰が女装・・・ってネタバラシさせるな~。それにしても、何でお前、ここにいるんだ。
-のだめは裏軒の麻婆が恋しくて、恋しくて・・・
-そのために、わざわざ、横浜から出てくるか。
-でも、のだめちゃんとモーツァルトも弾きましたよ。
-うん、モーツァルトはいい。どこでやろうと、モーツァルトはモーツァルト。
-先輩、ナイスフォローでしたね。
-おい、何だ。オレのいないところで陰口かよ。
-(また、うるさいのが一人・・・)
-なあ、千秋、お前のあのフォローにオレは感動したよ。たしかに演技は細かいですけど、音楽の・・・
-このおしゃべりめ。そこは一番いいとこ。お前もパパゲーノみたいに、口を封じられてろ~。
-フム、フム、フム・・・
-さて、峰君の謎の台詞の意味、千秋先輩のナイスフォローが知りたい人は、書店またはコンビニでKiss05号をお求め下サイ。消費税込みで440円デス。
しかし、そんな楽興の時もつかのま、千秋を待ち受けていたのは、またしてもエリーゼの陰謀でした。
-ホ、ホ、ホ・・・




