NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―  -23ページ目

猫時間 7 <見上げてごらん>

17:08


ここは人形町のとある路地。


のそのそと肉づきのよい猫がやってきて、どっしりと私の前に腰をおろしました。


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そして、ふと視線を上に上げるとそこには


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まだ青い夕空に、ぽっかりと十一夜の白い月が浮かんでいたのでした。

45.大場つぐみ&小畑健:バクマン。6

連載にコミック化


いいこと続きの真城がぶつかる


落とし穴とは?

バクマン。 6 (ジャンプコミックス)/大場 つぐみ
¥420
Amazon.co.jp

 なぜ、『バクマン。』を読み続けるのか?


 その理由は、同じコンビによる『デスノート』を読み続けるのとはまるで異なる理由である。


 漫画の世界、特に少年誌の世界は、もっとも流行りすたりの激しい世界である。


 一週間ごとに、人気投票の結果が掲載順に反映されてしまう恐るべき激戦区。


 その中に、純粋な少年の夢をそのまま追い続けるのが、主人公の真城最高(ましろもりたか)。


 決して、ライバルの新妻エイジのような天才肌ではない。


 恋も純愛路線をまっしぐら。


 この純粋さがなぜ必要かというと、それは漫画の世界に憧れを抱く読者の代表格だからだ。


 どんどんと業界の世界に慣れてしまい、すれてしまっては『バクマン。』はその輝きを失ってしまう。


 単なる業界の内幕物にしかならない。


 高校に通いながら、連載漫画を描き続けるというハードなタスクを課すことで、結局最高は身体をこわしてしまう。


 川口たろうのペンネームで一世を風靡した漫画家のおじも連載を打ち切られ、夭折した経緯を知る編集長は、非情とも温情ともとれるある決断を下す。


 それに抵抗する亜城木夢叶の二人、最高と秋人。「福田組」と呼ばれる若い漫画家たちのグループも、それに加勢し、編集長との対決の構図が出来上がる。間であわてふためく編集者たち。現実的には、ほとんどありそうもないエピソードである。


 あくまで『バクマン。』は、たとえ「少年ジャンプ」が舞台となっていようと、現実のパラレルワールドである。


 だから、この戦いの行方も初めから見えている。しかし、次なる危機が亜城木夢叶を襲う。


 連載を中断するということは、それだけ重い意味を持つのである・・・


 もう一度、最初の問いに戻る。


 なぜ、『バクマン。』を読み続けるのか?


 それは、儲かるわけでもないブログを書き続ける人間にとって、なぜブログを書き続けるのかという問いを常に見直す機会を与えてくれるからでもある。


 お勧め度:☆☆☆★ 70点


 原作:大場つぐみ 作画:小畑健 書名:バクマン。6 出版社:集英社 2009年1月刊


 大人の世界と若者の世界の対立の構図も一度使ってしまうと、読者は飽きてしまう。どこまでも一つの会社、一つの建物の中の話である。日本を変える、世界を変えるといった壮大なスケールで展開する『サラリーマン金太郎』の世界にはならない。したがって、盛り上げるためには、次の仕掛けが必要となってくる。次なる仕掛けは、女性のクリエイターを登場させ、恋愛感情と表裏一体となったライバル関係をからめることになる。狭い世界のリアルに、いかに読者を喜ばせるフィクションをからめてゆくか。『バクマン。』は、そういう意味で格好の実験作なのである。  

音楽の時間1 [フランスオペラへの誘い:ビゼー《真珠採り》]

新企画、「音楽の時間」のコーナーでは、主として、クラシックのコンサートの模様を紹介する予定です。


2月16日午後18:45より、港区赤坂の日本財団ビル1Fバウ・ルームにおいて、[フランスオペラへの誘い]と題するレクチャー・コンサートが開かれました。今回は、その第12回で、曲目はビゼーの《真珠採り》です。


レクチャーコンサートとは、いわば大学の講義のような作曲家や曲目の紹介の中で、プロの奏者や歌手がその曲を実際に歌ったり、演奏したりするものです。もちろん、音楽大学といえども、通常の講義でこんな贅沢な企画は不可能でしょう。

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解説をつとめるのは、中田昌樹さん。パリ・コンセール・パドゥルー管弦楽団の定期演奏会を日本人として初めて指揮された方です。指揮の傍ら、オペラのプロデューサーやキャスティングアドバイザーとしても活躍されています。


ビゼーの《真珠採り》の背景を、わかりやすく解説されました。


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ピアノの伴奏をつとめるのは、シャトレ劇場や、ラインオペラ劇場など海外でコレペティとして活躍されている江澤隆行さん。コレペティの仕事は、主としてオペラの練習ためのピアニストです。


江澤さんがスタインウェイのピアノの音を奏でるだけで、劇的なオペラの世界へと空間が早変わり。


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周囲を圧倒する声量で、伸びやかに二重唱を歌うテノールの村上公太さん(左)と、バリトンの桝貴志さん(右)。


村上さんは、東京音大卒。新国立劇場オペラ研修所第六期修了後、ジュゼッペ・ディ・ステファノ国際コンクールで「リゴレット」マントヴァ公爵役獲得など、国内外でテノールとして活躍され、高い評価を受けています。


桝さんは、大阪音大卒、新国立劇場オペラ研修所第五期修了後、ボローニャ国立音楽院に留学。小澤征爾指揮の「エウゲニーオネーギン」やサイトウ・キネン・フェスティバルでの「セビリアの理髪師」など多くのオペラに出演されています。


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そして、高らかで清澄な声で熱唱されるのはソプラノの鷲尾麻衣さん。


鷲尾さんは、東京芸大卒。新国立劇場オペラ研修所第七期修了後、文化庁の派遣芸術家在外研修員としてニューヨーク留学後、ニューヨーク・ハンター・カレッジでの「三人の女達の物語」や「安寿と厨子王」の公演に出演。ニューヨークタイムズの絶賛を浴び、2008年には待望のカーネギーホールデビューも果たしています。


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ビゼーの《真珠採り》より、五曲が歌われた後、会場にいらしたお客さんからの質問にも、一人ずつ答えられ、会場はなごやかな雰囲気に包まれました。


鷲尾麻衣さんのブログでも、今回のレクチャーコンサートが紹介されていますので、ご覧ください。


http://ameblo.jp/maiwashio/entry-10460873284.html


今回の撮影は、鷲尾麻衣さんを通じ、特に撮影と掲載の許可を得たものです。画像の転載を禁じます。

44.万城目学:プリンセス・トヨトミ

謎の団体、OJOとは何か?


目に見えない共同体

<大阪国>が起動する時、


大阪が全停止する!


壮大なスケールで


大阪人の心意気を描く

万城目学の快作

プリンセス・トヨトミ/万城目 学
¥1,650
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 京都、奈良と来れば、当然次に来るのは大阪です。


 舞台の中心となるのは、大阪の空堀界隈。大阪の中でも、最も古い家屋が密集して残っている下町風情あふれる地域です。


 そこに生活する中学生、真田大輔は、毎日榎大明神に願をかけていました。それは、女の子になること。


 ある日、思い立って、近所の橋場茶子とセーラー服を着て中学校へ行こうとするのですが、そのために生徒からも、教師からも強い抵抗にあい、蜂須賀組の息子、蜂須賀勝からは袋叩きの目にあいます。


 その復讐のため、男まさりの性格の茶子は、勝の顔に飛び蹴りをくらわせ、後に遺恨を残すことになります。


 他方、東京から大阪へと赴いた会計検査院の三人、切れ者の副長松平と、その部下である長身の美女、ゲンズブール旭、そしてさえない見かけの鳥居が訪れることになります。大阪府庁に続いて、会計検査の標的となったのは、OJOと名乗る謎の団体。古びたレンガ造りの建物を訪れるものの、そこはもぬけの殻だったのですが、やがて松平は、その背後に<大阪国>の存在があることに気づくようになります。


 やがて、大阪国の総理大臣である男と、長い地下道の先にある建物で密会をすることになるのですが、その男とは、実は昼間はお好み焼き屋、「太閤」を営む大輔の父親、真田幸一だったのです。


 蜂須賀勝に再び、大輔が焼きを入れられたことで、怒りに燃えた茶子は、蜂須賀組への殴り込みを敢行し、それを止めようとした大輔、鳥居ともども警察に身柄を拘束されることにより、見えない「大阪国」が動き出します。

 赤く燃え上がったかのような大阪城、至るところに置かれたひょうたん、通天閣も赤くライトアップされ、交通はストップ・・・大阪中の男たちが大阪城に向け動き出すことになるのです。


 維新後のどさくさにまぎれ、日本国と不可侵の条約を結び、あまつさえ毎年5億の使途不明金が国から大阪国に流れ込んでいることを知った松平は、その正体を明るみにしようと、この大異変の中、果敢にも大阪国の首相である真田大輔との最後の対決へと向かうのでした。


お勧め度:☆☆☆☆ 80点 著者:万城目学 書名:プリンセス・トヨトミ 出版社:文藝春秋 2009年刊


 空堀界隈の描写など、思わずこの地をくまなく歩いてみたくなる魅力に満ちています。知られざる会計検査院の存在への着眼、キーワードの一つ、明治建築の巨人、辰野金吾の建築への造詣も深いものがありますが、彼がリアルなディテールを描くのは、その先にありえない出鱈目を描くための戦術です。

 

 万城目学が壮大な出鱈目を描きつつそれを読ませてしまうのは、その土地特有の目に見えない心のリアルに形を与えているためです。『プリンセス・トヨトミ』の中で、徳川家によって迫害された豊臣家の末裔への入れ込みを通じて描かれているのは、中央に負けじと脈々と受け継がれた大阪人の反骨精神そのものでしょう。

 

 さて、京都、奈良、大阪の次に来るのは、神戸の北野あたりの異人館なのでしょうか。


 それとも、戦前戦中に造られた地下の巨大なネットワークが実在する東京?


 次回作に思いをめぐらせるだけで楽しいのも万城目学の世界なのです。

東京食べ歩き [3.博多風龍:とんこつらーめん(秋葉原)]

秋葉原は最近B級グルメの激戦地に変わりつつある。


博多風龍の隣は、海鮮丼の店であり、そのさらに隣はスタミナ丼。いずれも500円がデフォルトだ。


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とんこつらーめん500円、替え玉2玉まで無料というコストパフォーマンスの高さにひかれて、入った博多風龍


出てきたらーめんは、クリーミー系の博多天神のスープをさらにあっさりした感じである。臭みもほとんど感じない。それでも苦手な人は感じるだろうが、わかっていて入る方が悪いのである。


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ネットで調べると、これでこってりとか、適当なことが書いてある。よそのラーメンと比べてはいけない。博多ラーメンでは一番薄い部類。長浜系のラーメンはこれの3倍くらいは濃いはず、ほとんどゲル状の固体である。


トッピングは海苔、チャーシュー、葱、きくらげ


チャーシューはほとんど印象に残らないし、量も多くはない。


スープはうまいが、麺が博多天神より多いので、替え玉目当てなら、一気に飲んではいけない。


麺は細麺で硬めで出てくる。このぱさついた感じは、個人的に嫌ではない。グランドデザインは博多天神で、麺だけはこそっと、一蘭のテイストを取り入れてある感じである。


何とかスープの大半を残しながら替え玉につなげる。通常、博多ラーメンは替え玉前提で麺は少な目の100g程度しかなかったりするが、ここは普通に一人前150g以上はある感じだ。


やはり(相対的に)スープの量が足りない、温度もぬるめ、冬には開けっ放しの戸が寒く感じる、が三つの問題点。


しかし、懐がさびしい時には、満腹感を覚えるのにベストの選択ではなかろうか。


☆☆☆★ 70点


博多風龍ホームページ:http://fu-ryu.net/index.php