51:苫米地英人:「夢」実現脳の作り方
最も理論的で
体系立った
夢実現の成功法則
- 努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方/苫米地英人
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最近、癖になり、ずぶずぶとはまっているのが苫米地英人氏の著書です。
苫米地英人氏は、現代の日本の中で、最も体系立った成功法則を提示している人です。
言っていることは、他のポジティブ思考の著者たちとほぼ同じです。
たとえば、「口ぐせ理論」の佐藤富雄氏、「コールドリーディング」など多くのベストセラーを出している石井浩之氏。
ベースとしている思想も、アメリカのNLP(神経言語プログラミング)を中心としたポジティブシンキングであることが共通しています。
ただ、他の著者の場合、具体例や経験的な部分記述で説明が終わる場面があるのに対し、苫米地氏の場合には理論的な根拠をロジカルに提示することを徹底しています。
■夢の実現をさまたげるもの
引き寄せの法則、ナポレオンヒルの成功哲学、マーフィーの思想などを中心に、思考は実現する、書いた夢は実現するなど多くの成功法則が語られてきましたし、同じ発想のもとで、今もなお新しい本が出版され続けています。しかし、それにもかかわらず、実際に夢を実現し、成功する人はほんの一握りです。
その理由は、脳の中にある変化を避けようとする傾向にあると苫米地氏は言います。
生体には、ホメオスタシス(恒常性維持機能)という働きがあり、これが情報空間に関しても同じようにはたらきます。
人それぞれに無意識のうちに設定した「そこにとどまりたい」というコンフォート・ゾーンがあり、そこから外れないように脳が制限を加えているのです。
ふだん30点から50点しか得点できない学生が、80点を取ると、このコンフォート・ゾーンを外れ、「これは自分ではない」と居心地が悪い気分になります。そして、以前よりも悪い点数をとったりするのです。
コンフォート・ゾーンをうまく設定して、その中で導いてゆかないと、どんなに夢を描いても成功には至りません。
ここで、もう一つ大事な概念が出てきます。
それはスコトーマ(盲点)です。スコトーマができる理由には二つあります。
一つは、知識がないため。もう一つは、コンフォートゾーンから外れるために、目の前にあっても脳がそれを重要と認識せず、目に入らないためです。
夢がわからない、ゴールが見えないという人の場合は、コンフォートゾーンの中にそれが入っていないのです。それらはコンフォートゾーンから外れる盲点の中に隠されているのです。
では、どうすればよいのでしょうか?
まず、期限を設けて、ゴールを設定します。
ここでゴールにおけるイメージをありありと描くというやり方を著者は否定します。
そうではなくて、ゴールから逆算すれば、今どうなっていなければならないかを強く意識すべきだと言います。
そうすると、無意識はコンフォートゾーンに一致させるべく、現在の自分にはたらきかけることになります。
■時間は未来から現在へと流れている
夢を実現しようとする時大事なのは過去には一切とらわれないことです。
「現在を決める原因は未来にある」、これが考え方の基本です。
「あなたが過去から未来に向かっているのではなく、未来の方があなたに向かってどんどんやってくる。やってきては過去へと消えてゆく。」(p42)
人間がおこなうべきことは未来へはたらきかけることです。
過去のできごとも、未来によってどんどん書き換えられます。過去というのは起こった出来事に対する現在の解釈にすぎないので、未来に新しい出来事が起きれば、過去はどんどん変わってゆくのです。
■ホメオスタシスを書き換えるしかない
しかし、ホメオスタシスの抵抗はきわめて強力で、何か新しい課題に挑戦しようとするたびに、臆病風に吹かれたり、面倒くさいという気持ちを抱くことになります。
これがホメオスタシスのフィードバック関係です。
過去成功経験を積み重ねてきた人は前向きのフィードバック関係を築くことができますが、成功体験のない多くの人はこのようなマイナス思考のフィードバック関係が生じ、結局ホメオスタシスが望むように、何も変わらないことになってしまうのです。
しかし、このような「自分」とは一体なんでしょうか。
それは、他者によって社会的関係の中で定義された「情報」の状態にすぎません。
そして、「情報」は書き換えればよいのです。
この情報の状態を、著者は内部表現と呼びます。
より正確に内部表現を定義するなら、「あなたの脳と心が認識している、その世界のことであり、そこには自分も含まれている」(p72)ということになります。
■内部表現の書き換え
内部表現の書き換えには、リラックスした状態が必要です。
物理的空間の臨場感を離れる必要があるからです。
思考が物理的空間から離れて、抽象的空間へと移行するためにはリラックスした状態になる必要があり、そのために行うのが逆腹式呼吸です。
逆腹式呼吸と言っても、吸い込むときは何も意識せず、吐き出すときに身体をゆるめるというだけです。
この中で、イメージすべきなのは、ゴールそのものではなく、ゴールへと向かう自分の姿を臨場感を持って描くことです。わかりやすく言えば、プロセスにリアリティを与えるということになります。
ゴールそのもののイメージは、社会通念によってつくられた「奴隷のゴール」である可能性もあります。
それによって縛られ、スコトーマを生じないためにも、最終ゴールのリアリティにはあまりこだわらない方がよいのです。
内部表現を書き換える時に同時に書き換える必要があるのは自己評価です。
自己評価には二つの要素があります。エフィカシーとセルフエスティーム。
たとえば「自分にはこれができる」というのがエフィカシーであり、「自分は金持ちである」というのがセルフエスティームです。
「常に高い自己評価をもち、それに強い臨場感を持つことができる人だけが、高いレベルでのゴールを達成することができます。」(p96)
以上が『「夢」実現脳の作り方』の前半(1~3章)のエッセンスとなる部分です。さらに4章 自分を変えるアファメーションのやり方 5 より抽象度の高いイメージ活用法 最終章 本当の夢とは何か と続きますが、興味のある方は本書をお読みください。
お勧め度:☆☆☆☆★ 90点
著者:苫米地英人 書名:努力はいらない!「夢」実現脳の作り方 出版社:マキノ出版 2008年
成功法則に関する本は、大同小異であり、ほとんどレトリックの差と言ってもよいでしょう。ただ、この著者の場合には概念化が明確であり、その関係性もはっきりと提示していますので、うまくゆかなかった場合の自己検証に役に立ちます。また、同じ著者の著書の中には、内容は似たり寄ったりでも説明が驚くほど簡略なものもあります。しかし、この本に関しては丁寧に言葉を尽くし、語っています。
ただ、ちょっと嫌味なのは、最終章で、ゴールに金や地位や仕事を目指してその方法を説いた後で、それらを抽象度の低い生き方と上から目線で語ってしまっていることです。この上から目線は、成功を目指す人<成功した人<成功を超越した人という風に二階上から見下ろされているようで、気分があまりよいものではありません。コースをマスターし、実績を上げた後なら素直に受け入れられるでしょうが、そこにたどり着く前に読まされる読者は情熱に水をさされたような気分になるのではないでしょうか。それ以外は、決定版と言ってもよいほど、よく書かれた成功法則だと思います。








