改めて危機管理 | 中小企業診断士 山崎勝雄の部屋

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新潟県長岡市を中心に活動する中小企業診断士です。
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久しぶりに真面目な投稿
改めて危機管理で大切なこと

2020年4月。
新型コロナウイルス感染拡大を如何に抑えるかで世界中が困惑している。
東日本大震災から9年というタイミングと重なって新型コロナの対応で日本中右往左往している。。
改めて、危機管理とは何なのかを考えさせられる。
個別の支援のときには必ずお話していることだが改めて整理してみたい。
ただし、企業を中心とした話題としていることはご承知願いたい。

1.時間との戦い
1.1 相手は誰か?
 リスクという面で言うのなら、戦う相手はコロナウイルスや災害に見えるが企業が直接それらと戦うわけではない。
 正しく時間と戦うことを優先すべきである。

1.2 時間との戦いに勝つには
(1)意思決定の速度
政治にしても会社にしても民主的な運営が近年のトレンドである。
 この事は平時のマネジメントとしては有効だと私自身は理解している。
 しかしながら、危機の時 戦う相手は時間なのだから、まずは時間を基準にすべきである。
  慎重に吟味して正しい(らしい)処置をするのがいいのか慎重さに目をつぶってでも状況情報から判断することがいいのか は迷うことだろうが、過去の研究では、後者のほうが良かったという結論なるケースが多い。このことは理解していただきたい事項である。
  付け加えるならば、個別の課題を指示することではない。
  大きな方向性を、それも未来のある方向性を示すことである。
 
(2)実行と意思決定
 平時の事業活動でも、「実行」することが大事ではある。
 「下手な考え休み似たり」とお話することもあるくらいである。
 危機のときこそ スピード感を持って行動することは必須である。
  素早く実行するには、素早い意思決定は必須条件ではあるのだが
 もっと大事なことがある。
  トップレベルでの方向性を示すことがもちろん前提にはなるのだが
 「指示待ちで動く」のではなく「現状を把握しながら能動的に動く」
 ことが求められる。
  近年の企業活動では、平時でも必要な要素なのだが、緊急時は、想定外の事象が現場で起きている可能性が高いのでその「観察力、判断力、 応用力」から 尚更 重要になる。
  これは緊急時にだけそうしなさい というのは無理がある。
  普段からそういう組織の考え方にしておくことが必要であり、その準備をすることは緊急時にも平時にも成果に繋がるはずである。

 

2.資源(リソース)の偏り
2.1 起きること
 今回のコロナでも保健所や検査機関がネックになる。
 平時の資源負荷は緊急時にはかなり偏りが起きることを
 常識と理解すべき。

2.2 緊急時にすべきこと
 本来は、緊急時の負荷の偏りをどう解消するかを事前に
 準備すること。
 しかし準備不足なら、トリアージするしかない。
 トリアージは、緊急性の高いもの以外を排除すること。
 これは合理的ではあるが生命の生き死にに当てはめることはかなりきつい。

 

2.3 考えうる準備
(1)流動的な組織化
   普段と異なった負荷が発生したり、普段では考えもしない要求事項が増加する可能性があるのだから平時の体制では回るはずがない。 緊急時の体制については平時の体制とは違うものと意識すべし。
(2)マルチ人材
   組織体制がどのように変化しても対応できる人材がいなければ成果にはつながらない。
  そのためにも、緊急時には
    ・様々な事象を把握して総合的に判断できる人材
    ・「これしかできない」ではなく、「100%ではないけどなんとかする」人材が必須

(3)在庫と備蓄
   製造業が中心の話題になるが、在庫はある意味での時間稼ぎができる素材。
   平時なら減らすことが良いのだろうが減らしすぎれば危機対応時間が長くなる

(4)余力
  コスト削減は平時では考えるべきことではあるが、不要は減らすべきだが
  余力は減らすべきではない。明らかに変動要素に対応できなくなる。

 

3.事前準備がすべて
 BCPに関しては様々な情報や中小企業庁の資料などがあるが、大事なことは発生してから考えるんでは遅いということ。
 全ては準備。準備なしで危機に望んだ時点で反省すべき。
 厚労省は新型ウイルスに関しては明らかな準備不足。

 

4.危機の後どうすべきか
 企業にしてもまちづくりにしても、元に戻すと考えるべきではない。
 全く同じ状態に戻そうとする考えた時点で衰退する。
 危機の後は新しい目標に到達すると考えて、新しい到達点を目指す
 ことである。
 そのためには現在の延長線ではなく、変化を恐れないことである。