2020.9.23一日一季語 秋海棠(しゅうかいどう《しうかいだう》)  【秋―植物―初秋】

  

雨に濡れ秋海棠は艶めきぬ           塩千恵子

 

秋海棠は、江戸時代に渡来した帰化植物です。半日陰で湿った場所を好み、球根で越冬して増える球根植物。柔らかみのある姿、温かみのある花の色、そして葉も実も、趣深い植物です。

この句の雨に揺れた艶は、濃い緑の葉のように思えます。

 

【傍題季語】

断腸花(だんちょうか《だんちやうくわ》)

 

 

【季語の説明】

中国原産のシュウカイドウ科の多年草の花。湿地を好み庭園などに栽培されるが、野生化もしている。高さ四〇~六〇センチで、ややゆがんだ卵形の葉は緑色、茎から紅色の節と花柄が垂れその先に俯きがちに淡紅色の花を付ける。雌雄異花。

中国名が「秋海棠」で、その音読みで「しゅうかいどう」。

 いかにも”秋到来” という感じの名前を持つ花です。

 

【例句】

乳飲児の爪透きとほる秋海棠      深田雅敏

つくばいの裾ほんのりと秋海棠         西村咲子

秋海棠点前の娘の細い指                長瀬節子

庭中が秋海棠に揺れにけり              中緒和子

幼子の紅の鼻緒や秋海棠                中川悦子

 

 

【秋海棠について】

シュウカイドウは、日本の各地で半野生化していることから、日本原産と思われがちですが、江戸時代に中国から渡来した帰化植物です。バラ科の海棠(カイドウ)に似た花を秋に咲かせていることから、秋海棠(シュカイドウ)との名がつきました。林床などの湿り気のある半日陰でよく繁茂します。

地下に茎基部が肥大した球根をつくります。初秋に開花したあと、地上部が枯れ、地下に養分が送られて球根が肥大し、地中で冬を乗り越えます。耐寒性は強く、日本の戸外で楽々と冬越しできる数少ないベゴニアです。秋になると葉腋にムカゴができ、あたりに自然に落下して繁殖します。

葉裏が赤いタイプや白花を咲かせるタイプがあります。

 

【別名の由来等】

相思草や断腸花、瓔珞草、八月春などがある。

 

中国の「漳州府志」に描かれている「相思草」の由来。

秋海棠は歳毎に苗が生え、その茎は甚だ脆く、葉は背が紅乱紋を作している。これは相思血というもので、昔、ある人が深い恋に悩んで血を階下に噴いたのが、この物になって生えたのだと語り伝えてある。故に相思草とも名づける。この花は一朶が落ちると旁に二朶を生じ、2が4を生じ、4が8を生ずる。大極の象を具えたもので、特別に雅艶なものである。又、相思草(あいおもいぐさ)は煙草の別名でもある。

 

画像中国の「採蘭雑誌」に描かれている「断腸花」の由来。

昔、さるところに、美しい婦人がいた。この女性には誰にもまた何物にも換え難い思慕する男性があった。そして毎日の逢瀬を楽しみに待っていたのであったが、故あってその彼氏はどうしても訪れることができなくなった。それを知らずに、婦人は今日は見えるか、明日は姿が、と北面の墻に待ちあぐんでいた。そして日ごとにそそぐ断腸の涙がいつか凝って名も知らぬ草が生え、その草の花の紅色が、その緑の葉に映ってまことに美しく、やさしく、ちょうどこの美しい女性にも似ているので、誰いうとな「く断腸花」と呼ぶようになった。’

 

「瓔珞草」の由来は、仏像の装飾具で飾り玉の瓔珞に由来している。

 

 

今日は何の日

海王星の日

万年筆の日

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)