2020.1.27

一日一季語  竈猫(かまどねこ)  【冬―動物―三冬】

 

 

きつちりと脚ををさめてかまど猫     櫂未知子

 

*2020.1.17 新宿 大宗寺にて

 

猫好きで知られている作者の猫の句には、観察眼、愛情が注がれているように思います。

猫の姿をきっちりと描写しているように思えます。

 

 

【傍題季語】

炬燵猫(こたつねこ) かじけ猫(かじけねこ)

*2019.10   回向院にて

 

 

【季語の説明】

猫は寒がりで、冬は暖かい場所を探してうずくまる。火を落としたあとの生暖かい竈の中へ入って、ぬくぬくと灰にまみれて寝ている光景が見られたりした。現在では竈が少なくなったのであまり見られないが、ユーモラスな語感があることから季語として愛されている。

 

何もかも知つてをるなり竈猫      富安風生

 

富安風生の造語である。「句集『十三夜』所収、昭和九年作。

「田舎家の竃に蹲る猫、竃の灰のぬくもりにすくんでいて驚いてとび出す猫、少年の日の記憶に鮮やかだ。黙って興味をもって人の話をきいており、家庭の内緒ごとなど皆目にとめて知っていながら、知らん顔をしている猫というこの人の悪い、しかし何という可愛いヤツではあることか。」

 

 かじけ猫 (冬の季語:動物) 寒さでかじかんでしまい、日向など暖かい場所にじっとしている猫のこと。 温もりの残る竈(かまど)の灰に埋もれてじっとしていれば竈猫。

 

 

 

【例句】

十二支に入りそこねし竈猫        宇都宮敦子

ぬくぬくと肥えたる寺の竈猫        安原葉

片方の髭焦げてゐる竈猫          三井所美智子

置物の猫を炬燵に入れてやる     ことり

本当はかまって欲しい炬燵猫       中川句寿夫

 

 

【竈猫】

竈のことを、へっついとも言うので、『へっつい猫』とも、あるいは、灰猫、炬燵猫、『かじけ猫』とも言います。かじける(悴ける)は、寒さで凍えて、手足が自由に動かなくなる意で、冬になって動きがにぶくなり、うずくまっていたりする猫の姿を表しているように思えます。。

 

1960年(昭和35年)代は、田舎の台所にはまだ竈(かまど)のあった時代でした。薪(まき)がトロトロと燃える竈の前は、当然猫お気に入りの場所で、目をつむって、じっとうずくまっています。

 

そして、火が落ちると竈はさらに格好の場所になります。寒がりの猫は、なんと火を落としたあとの生暖かさの残る竈の中へ入って、ぬくぬくと灰にまみれて寝入るのです。ときには残り火で毛に焼け焦げを作ったりの失態をしでかします。そんな愛嬌やおかしみのある猫の姿から、竈猫という冬の季語が生まれました。

 

 

【猫の事務所】宮沢賢治

主人公はかま猫なのですが、窯猫というのは生まれつきではなく夏に生まれたので毛が薄く寒がりなのでいつもかまどの中で眠るために薄汚れてしまって嫌われる、という運命にあります。

 

猫の事務所は皆の憧れの事務所で空きができると猫は皆こぞって入りたいというほどの人気職場です。本来ならかま猫など入れないのですが、その時の所長が黒猫だったためになんとか入れたのです。

でも同僚である白猫・虎猫・三毛猫は皆かま猫を軽蔑しているのです。

 

 

 

 

今日は何の日

實朝忌

鎌倉幕府3代将軍で歌人の源實朝の1219(承久元)年の忌日。

前年に右大臣に就任し、鶴岡八幡宮でその拝賀の礼を行った帰途、甥の公暁により暗殺された。

 

雨情忌

詩人・野口雨情の1945年の忌日。

 

国旗制定記念日

1870(明治3)年のこの日、太政官布告第57号の「商船規則」で、国旗のデザインや規格が定められた。

それまでは、船によってまちまちのデザインの旗を使っていた。

 

ハワイ移民出発の日

1885年のこの日、移民条約によるハワイへの移民第一号の船が横浜港を出航した。

 

 

主な出来事

1219

鎌倉・鶴岡八幡宮で源實朝が甥の公暁により暗殺される。源氏の正統が断絶。(新暦213)

1336

新田義貞が京都を奪回。足利尊氏は丹波に退く。(新暦310)

1888

アメリカ・ワシントンD.C.にナショナルジオグラフィック協会を創設。

1926

スコットランドの発明家のジョン・ベアードが初めてテレビジョンによる視覚電信を実演。

1945

B29爆撃機70機が白昼の東京銀座を集中爆撃。死者540人。

1951

初めてアメリカ合衆国のネバダ核実験場で核実験を実施

1993

曙が外国人力士で初めて横綱に昇進。貴花田が最年少大関に昇進し貴ノ花を襲名

 

 

誕生日

1756

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (:作曲家)

1885

前田青邨 (日本画家)

1895

ジョゼフ・ローゼンストック (ポーランド・米:指揮者)

1935

小山明子 (女優,大島渚の妻)

1960

清水ミチコ (タレント)

1966

三田寛子 (タレント,中村橋之助の妻)

1978

雛形あきこ (タレント,女優)

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)