2019.11.28
一日一季語 鯛焼(たいやき、たひやき) 【冬―生活―三冬】
鯛焼の頭は君にわれは尾を 飯島晴子
一般的に、たい焼きは、尾の方には餡は詰まっていない。どこの町にもあるような、たい焼き。その小さな鯛焼を二人で分け合って食べる、恋の俳句に思えます。
揚句は、亡き夫を偲んで書かれた句なのだという。
詩人の清水哲男氏によれば、この句は日々の暮らしにゆとりのなかった若い頃の、夫婦の思い出を描いているのだという。
【傍題季語】
鯛焼屋
【季語の説明】
鯛の形をした鉄板に生地を流し込み、小倉餡を包んで焼いたお菓子。近年は一年中売っている。しかし、寒い中で食べる鯛焼は格別に美味しい。
【例句】
鯛焼のまづ尾の餡をたしかめし 能村登四郎
熱あつの鯛焼つかむ銭出して 平畑静塔
鯛焼を頬から食べてゐて女王 櫂未知子
人形町の鯛焼として尾を張れり 徳植よう子
鯛焼の鳴門ブランド大看板 粟倉昌子
【東京三大たい焼き】
浪花家総本店
「浪花家総本店(なにわやそうほんてん)」は、創業100年以上の老舗和菓子屋です。麻布十番駅のすぐ近くにお店を構えています。
浪花家総本店のたい焼きは、あの名曲『およげ!たいやきくん』のモデルになったといわれています。そんなたい焼きの人気の秘密は「薄めのパリッとした生地」と、「品のある味わいのあんこ」。熱々のできたてのたい焼きは、絶品です。
わかば
四ツ谷駅から歩いて5分くらいのところにある「わかば」。行列に並んで待ってでも食べたいといわれるほど人気の味です。
わかばのたい焼きは、あんこと皮もお店のオリジナルで、全て手作り。あんこは北海道産の小豆を使った粒あんを使用し、焼くときは皮の食感がパリっとなるように工夫しているそう。
柳屋
人形町にお店を構える「柳屋(やなぎや)」も、たい焼きの老舗店。こちらも、行列ができるほどの人気店として知られています。
手際の良い職人さんが作る柳屋のたい焼きの特徴は、外はパリっと中はもちっとした皮。一口食べれば、この皮の食感をすぐ実感できるのだとか。
【たい焼きの発祥】
『たべもの起源事典』によると、1909年(明治42)創業の浪花家総本店の初代神戸清次郎が創作したのがはじまりとしている。その経緯は、「今川焼きを始めたが一向に売れず,亀の形の亀焼きも失敗する.ところが,めでたいタイの姿にしたところ,(略)飛ぶように売れたという」と紹介している。
また、『東京たいやきめぐり』の「たいやき事はじめ」には、(関西から東京に出てきた)神戸清次郎が「焼き物の菓子をはじめる」とあり、その際に焼型として鯛を選んだとしている。なお、なぜ鯛型にしたかについては、「鯛は「めでたい」で縁起物につながる。そして、ほんものの鯛は庶民の口になかなか入らない高級品であった、それを模した」ことを理由としている。
なお、誕生の地について同書に「東京麹町で誕生した。」とあり、現在の麻布十番に店舗を構える「浪花家総本店」の始まりとしている。
その他、『たい焼の魚拓』や『あんこ読本』などの資料にも「浪花家総本店」の初代が考案したと記されていた。
【たい焼きのルーツ】
屋台で水溶き小麦粉を焼いて、鯛や亀などの様々な形に作り上げ、子どもたちに売る。
たい焼きの原型となる、この種の屋台商売が生まれたのは、今から200年前の江戸においてでした。
1827年の川柳に「杓子ほど 筆では書けぬ 文字焼屋」とあるのが、「文字焼」という言葉の初出です。
明治時代になるとボッタ焼、ボッタラ焼などとも呼ばれますが、一般的な呼び名は、文字焼となります。
1833年の川柳に「文字焼の 鯛も焼物 子の料理」とあるように、文字焼におけるモチーフとして鯛はポピュラーなものでした。また、亀も文字焼の人気のモチーフです。
ちなみに「文字焼」は東京下町の訛りで、「もんじやき」や「もんじゃき」と発音します。
文字焼は、人形焼やたい焼きの先祖であるだけではなく、もんじゃ焼きやお好み焼きの先祖でもあるのです。
ただし、明治時代までの文字焼(もんじやき)は、江戸時代と同じく、甘くて固いクッキー状の菓子でした。
文字焼(もんじやき)がソースやキャベツを使うようになったのは、お好み焼きの影響を受けた大正時代から。
現在のような大きいもんじゃ焼きが登場するのは昭和50年代です。
【今日は何の日】
親鸞忌,報恩講
浄土真宗の開祖・親鸞聖人の1262(弘長2)年の忌日。
宗派によっては新暦(グレゴリオ暦)に換算した1月16日や月遅れの12月28日に行われる。
いい地盤の日
フランスパンの日
エクステリアの日
洗車の日
主な出来事
984年
針博士・丹波康頼がまとめた『医心方』を円融天皇に献上。日本最古の医書
1185年
鎌倉幕府が、源義經追討を名目に諸国に守護・地頭を置くことを後白河法皇に勅許させる。
1520年
マゼランが南米最南端の海峡(マゼラン海峡)を通過。「太平洋」を命名
1811年
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』が初演
1883年
東京・麹町に日本初の洋式社交クラブ・鹿鳴館が開館
1959年
アメリカでテレビドラマ『ローハイド』が放送開始
1971年
上越新幹線・東北新幹線の起工式
1991年
日蓮正宗が創価学会を破門
誕生日
1878年
寺田寅彦(吉村冬彦) (物理学者,随筆家)
1897年
宇野千代 (小説家『生きて行く私』『色ざんげ』)
1929年
向田邦子 (小説家,放送作家『花の名前』『寺内貫太郎一家』)
1936年
里見浩太朗 (俳優)
1946年
ジョー・ダンテ (米:映画監督,俳優『トワイライトゾーン』)
1947年
渡辺篤史 (俳優)
1951年
あべ静江 (歌手,女優)
1953年
松平健 (俳優)
1967年
原田知世 (女優,歌手)
蓮舫 (タレント,参議院議員,特命担当相(行政刷新)[元])
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)