曜変天目 | マサミのブログ Road to 42.195km

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曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)という茶碗があること、ご存知ですか?私はやきものについて学ぼうと何冊かの本を読むうちに知りました。今回はこれをご紹介します。

 

思い切りざっくり言うと、中国の福建省で12~13世紀頃に焼かれ、日本には室町時代に入って来た茶碗のこと。内側に独特の模様があり、最上級品とされて来ました。いま完全な形で存在するものは世界で(つまり地球上に!)3個しかありません。その3個は日本にあり、すべて国宝に指定されています。所蔵しているのは次の3カ所。

大徳寺龍光院(京都府)

静嘉堂文庫美術館(東京都)

藤田美術館(大阪府)

このうち静嘉堂文庫美術館にあるものがいちばん美しいとされ、稲葉家が所有していたことから「稲葉天目」とも呼ばれています。

 

特長は茶碗の内側に広がる独特の模様。宇宙にちらばる星のようにも見え、また光の当たり具合で色彩が変化するため「茶碗の中に宇宙がある」などと言われます。この模様がどうやって出来たのか、完全には解明されていませんし、まだ完全に再現する方法も見つかっていないそうです。

 

これほど希少なものなのに、生産された中国では「破片」しか見つかっていません。なぜ日本にだけ、たった3個のみ存在するのか、謎の多い茶碗と言えます。

 

曜変天目は多くの人の心を惹きつけ、いろいろな研究書やガイドブックが出版されています。また、ミステリーの題材になったりもしています。

 

この曜変天目にまつわるエピソードを2つご紹介しましょう。

 

3つのうちで最も美しいとされる稲葉天目は、かつて徳川将軍家の持ち物だった。3代将軍の徳川家光が幼いころ疱瘡にかかり、乳母だった春日局(かすがのつぼね)は病気が治ることを祈って「家光様の病気が治るよう、自分はこれから一生、薬を飲みません」という「薬断ち」をしました。

そのおかげもあってか、家光は立派に育ち将軍の座につきました。その後のあるとき春日局は病に伏しました。家光は心配して、大切に保管されていた曜変天目に薬湯を入れて飲ませようとしましたが、春日局は感謝しつつも薬湯を飲むふりだけして襟元から着物の中に流し込んでしまいました。それ以降、曜変天目は家光から春日局に贈られたそうです。

 

2016年12月、テレビ東京の番組「開運!なんでも鑑定団」に一つの茶碗が持ち込まれました。徳島県のラーメン屋さんが「我が家に代々伝わるもの」として出品したのです。鑑定した中島誠之助さん(ヒゲ&着物の、あの人)が「これは本物の曜変天目に違いない」として、2,500万円と評価しました。しかし放送直後から騒ぎとなり、陶芸家や大学の教授、学芸員などから「TVを見るかぎりでは似ても似つかない」「本物にはとても見えない」「そもそも、もし本物だったら2,500万円は安すぎる。2億5千万円でもまだゼロが一つ足らない」など、異論が噴出しました。

ゴタゴタは続き、結局出品したラーメン屋さんは「この茶碗はもうどこにも出さないし誰にも見せない。取材もいっさいお断り」と宣言し、真贋問題は闇の中のようです。

 

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どうです?面白くありませんか?私はこういう小咄というかエピソード的なものが大好きなので、気になって仕方がありませんでした。その曜変天目を今回なぜ唐突に紹介したかというと、なんと!つい先日、私はこの曜変天目をこの目で見ることが出来たんです。それも、はじめから自分で見に行ったわけではなく、ほとんど偶然でした。

 

そのわけは次回の記事にしますね。どうぞお楽しみに。