音楽、そしてコトバ、届いていますか? … 小野里茉莉さん@吉祥寺6/26(舞台 セイレーンの痕) | まるゆいのおと日記(ですよ)

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本業は天気屋の私、まるゆいの'行動記録'的なもの。もっとも、多いのはライブレポ♪、次に旅のはなし(でありたい...)。
どうぞごゆるりとお楽しみください。
※コメントは承認制にしております。ご了承くださいませ。

“Season 14”の2022年の当おと日記。
その最初の頃は、とある歌い手さんの路上ライブの話題が相当な割合を占めておりました。そこに集いし人々と、歌い手さんといつとはなしに交じり合い、そして“箱”とも呼ばれるライブハウスへと通い始めることになりましたキラキラ

そのライブハウスという場所には、さらにいろんなひとたちがいます。聴衆側のみならず、歌い手さんのほうもメジャーシーンな方々から駆け出しっぽい方まで実にさまざま。その誰もが、何かしらのメッセージをもって聴衆の前で唄い演じカラオケ、当日記では、その時々の出来事とともに文章という形で刻んでおります鉛筆。そして、「書く」という形で残していくことで、想いや印象がよりあざやかに記憶の中にしまわれるのも、また実感することであります。

そして、最初の“とある歌い手さん”は、いまも当日記の要所要所に登場されます。ということは、筆者もずーっとそのひとが持つ何かに導かれて続けているのですね。。



そういった筆者の実体験を追いかけるようなこちらの舞台「セイレーンの痕」。5日間全9公演のうちの7公演目、4日目(6月26日)夜公演を観てまいりました。やはり“おと日記”の立場からは外せないテーマです。




ライブハウスも点在する吉祥寺で観るぶたい。演者さんは総勢25人とかなり大がかり。ここはもちろん劇場だけれど、ライブハウスに例えるならば、25組の演者さんによる対バンライブというべきか…
当日記で2回目以上のご登場となる方は、小野里茉莉さん、細田こはるさん、チカナガチサトさんのお三方。あとの22名の方が“お初”ということになります。

#それぞれの当日記での前回ご登場はこんな感じです。
(小野里茉莉さん:2021年9月26日@下北沢「目にすることなき風景」)
https://ameblo.jp/maruyui-otonikki/entry-12702453376.html

(細田こはるさん:2018年12月24日@新宿「あゆみ」)
https://ameblo.jp/maruyui-otonikki/entry-12429106973.html

(チカナガチサトさん:2021年8月28日@吉祥寺「うわさにきく風」)
https://ameblo.jp/maruyui-otonikki/entry-12696315221.html


場内は、開演前からすでに大舞台という感じ。少し高いところに円形の光で囲まれたステージが用意されています。その足下にも別にステージ。。そして、波の音のBGMが静かに流れています。かかる曲は若干違いますし、“ぶたい”であっても開演前のBGMが流れている公演はありますが、このテーマでは、やはりライブハウスをオマージュした感がある客待ちの時間です。


やがて開演。。

フライヤーには、「うだつのあがらない教師」「素行に問題のある生徒」…などと、あまりよくない印象の登場人物が並んでいます。が、ほどなくしてそれは「導かれるものを探している人々」であることが明らかになります。もうちょっとほぐして言えば“悩みや何らかの苦しみを心にしまいこんだひと”。実際、筆者の実体験も似たようなもの。自分の存在を確かめたいがためのよりどころとしてたどり着いたのが、うたキラキラ

そして、そんな場所に集まる人々、関わる人々のきっかけはさまざま。

古くからのファンは、すでに“いつとはなしに交じり合った”仲。そのふるまいもまた十人十色という感じ。小野里茉莉さん演じる「丸ノ内にか」さんは、実際のライブハウスシーンでは比較的珍しい、女性シンガーの女性ファンという立ち位置。そうであるからか、ポップな格好ではあるものの、わりと常識的なふるまいをしています。細田こはるさんが演じている「濱戸綾乃」さんも、やはり常識的な方。幾分年上のファンということでしょうか、一段と穏やかです(あ、舞台上では時折笑かしはあるのですよてへぺろ)。対して男性ファンの中に、ちょっとアグレッシブ度が高すぎ傾向な方がいらっしゃるのも、現実にしばしば見る光景。スタッフ同様の振る舞いというところに現れています。。


“ご新規さん”の入り方。。
筆者の場合は、その多くが「一度は対バンで観た」ひとを、次は“おめあて”として指名する感じ。
ここでは、結婚間近のカップルの男性の方がファンで、それを“浮気”と思い込んだ女性の方が、いつの間にかファンの仲間入りをしています。ここだけで一つの物語ができていますが、男性がファンになった動機が「自分への自信のなさ」というところに、筆者も“あるある”な感情を抱きます。結構2人の中ではわちゃわちゃとしているんですけれど(梅田優作さん演じる「下橋大樹」さんと、中村桃子さん演じる「二本裕子」さん)音符


そして、CDという名の音源は手売り(つまり、終演後などの物販)であることが多く、最近の趨勢として、配信も併用するという感じ。
そのCDCDをどこかで見つけてきたのは、女子高生グループ。基本的に9人の集まりですが、そのうちの永田紗茅さん演じる「加藤瑠衣美」さんが、迷える心境の中でもがく状況。。なかなか外からの助け舟が届いてくれません。女子高生組は少々当て書きっぽい感じもしたかなぁ…。昨年一度お見掛けしているチカナガチサトさん演じる「中柴呂美」さんの雰囲気が、前回「うわさにきく風」の女子中学生に通じるものだったようなウインク



迷える心境は、先生の方にも。生徒を大事にするあまり、家庭を犠牲にしてしまった先生は、やはり心ここにあらずなふるまいになっています。その変化は、繊細な生徒ほどよくわかるものであったりキラキラ

そして、人気歌手である「岸口萌香」さん(演じるのは北川理恵さん)マイク
心に響く声でファンを獲得してきた…というだけあって、悩みや苦しみを抱えた人々がライブハウスに集まり、ステージで展開されるオリジナル曲(実際に作詞作曲がなされ、「ポラリス」というタイトルで披露されています)に聴き入り、踊る…。アーティストさんとしても、こういう状況は飛躍の材料なはずです。



しかし、改めてフライヤーに戻ると「カルト的人気」とあります。
通常ならばファンが増えていくのは口コミであったり、地道なプロモーションの結果であったりしますが、そこに霊感を操る神がかり的な力が加わるとどうなるか。。。
25人の演者さんのうち、ただ一人和服を着用した「朱鷺羽院与説」さん(演じるのはフジタタイセイさん)が、その象徴として要所要所に登場します、理屈をこねまわして周囲が困惑するまでならまだしもですが、いつの間にか人気歌手「岸口萌香」さんにも影を落とすようになりますガーン。幽霊までも操る魔術師なのか、それとも単にうざいオジサンなのか。



壇上のステージは、もう一つの顔として「灯台」とその周囲というシチュエーションも担います。
「灯台」。その名の通り、海をゆく船を安全に陸地へ導くためのもの。転じて、導かれる人々が集う場所。
それは、時として歌い手さん自身も、そんな一人になりうるわけで。。


その象徴として、萌香さんは「他人のために役に立つことを最優先にする」灯台のような役目を、絶唱とともに一度降りてしまいます。“一度”と書いたのは、そのためのパワーを再びためることができた時のため。。
ただ、降りると同時に、これまでの唄では、集いし人々に声が届かない…


これは大変…と思っていると、そのパワーは集いし人々のほうにしっかりと痕を遺していたことが見えてきます。実際の環境では、活動休止や解散を選択された唄い手さんが筆者に遺した印象…という感じでしょうか。集いし人々の中で、互いに灯台になり合うような姿が、舞台上に現れたところでエンディング。。劇だしね…という部分はあるにしても、やがてそれぞれの日常にアーティストさんのパワーが沈殿していく…というのは、まさしくその通り、なのですキラキラ
いま、当日記で各稿を“歳時記”のように書き始めるのも、それがたまの非日常体験なのではなく、日常のものとして根を下ろしたからという感覚があるからで。このステージ、筆者には、考えて考えて「こうなんだろうな」というよりは、「うん、確かにそういう“痕”を遺していくよね」という共感のしかただったのでしたキラキラ


それは、あっという間の2時間。。。
この回は、「岸口萌香さんのファン周り」の役柄の方を中心に、アフタートークがおまけで執り行われましたが、演者さんどうしの仲の良さ(あえて“団結力”とは書きません)を垣間見る感じ。対バンライブでも演者さん同士は似たようなところがありますし、まさに「25組の演者さんによる対バンライブ」を観たような感覚でもありました。観客も“ご新規さん”として次から仲間に入れてほしいな~ニコニコ



最後に…

本稿をあげる前の日(7月8日)に、安倍元首相が演説のさなかに銃撃されて死去…という、“あってはならないこと”が起きてしまいました。
筆者は、どちらかというと昨今の政権党のやることには懐疑的ですが、だからと言って「意に沿わぬものはどんな手を使ってでも消してしまえ!」となるのは、どう考えても違う。。意見には意見で対峙するということを忘れてはいけないと思います。


まさかこういう締め方をするとは…と思いましたが、

私の声は届いていますか?