来年2020年の大河ドラマのキーパーソンが、明智光秀…なんだそうであります。
本能寺の変の首謀者とされるこのひとは、まぁ、やっぱりどう見ても“裏切り者”として扱われるのが常。もっとも、当日記筆者が昔々住んでいた近畿北部の某F市において”だけ”は、「善政を敷いた」としてヒーロー的な扱いがされているようです。実際、光秀をまつった神社が街の中心部にあったりします。
さて、ことし4回目の”おかねさん”こと、岡田茜さんの登場です。
前回、7月半ばの宿河原でこそ、“唄い手さん”としてのお姿でしたが、今回は再び女優さんとしてのお姿。ことしは4回中3回までもが舞台観覧ということで、訊いてみると、やっぱりことしは舞台が多めだそうであります。
そんなわけで、”明智光秀”と”岡田茜”を足し合わせた、「光秀を待ちながら」というお題がついた舞台に、8月最初の土曜日に、都内は王子まで出動してまいりました。最初に光秀に関する例外を挙げ、続いてことしの岡田茜さんの例外の話を書きましたが、足し合わせた結果は、”歴史ものの劇”の姿をした現代劇。
お題に即していえば、「光秀」とは、この歴史ものの劇の主役男優のこと。そして「待ちながら」とは、その男優が公演直前に忽然と姿を消してしまう…という設定。残されたほかの役のメンバーやら監督やらスタッフやらが右往左往する間に、”新任演出家”たる神城樹(かみしろいつき)が、最後の切り札として担ぎ出され、最後にはどうにかこうにかお話をまとめていく…というストーリー。歴史ものとしての話を進めつつ、演じられる光景は、とある劇の初日までの降ってわいたようなドタバタぶり…ということになります。
でもって、この舞台、主演がなんと”おかねさん”…じゃなかった、岡田茜さんそのひと。”演出家”神城樹を演じていきいます。この樹自体は「どんな手を使っても舞台は成功させる」と豪語する鬼の舞台演出家。しかし、これを演じるのが茜さんとなると、この”歴史ものの劇”をやっていく過程を、これでもかというくらいわざとハプニングを詰め込んで演じるような、楽屋裏話的コメディであったりします。
実際、この樹の設定には、「酒癖が悪い」とか「おかねさんと言われる」とか「パワハラ演出家」とかとか…、普段の?このひとっぽいところが多分に織り込まれています。あ、パワハラは違うか…、いや、やっぱり物販で迫ってくるところとか…
酒癖云々はともかく、パワハラという設定は、ラスト近くまで結構貫かれていまして、周りとぶつかること多数。ダメ出しはするは、最初から劇の筋も全部書き換えてしまうは、オーディションもやり直しさせるは…。脚本家も例外ではありません。
しかし、演劇をはじめとしたエンターテイメントに携わるひとに、はじめからそんなひとはほぼいないわけで…。所々に出てくる回想シーンでは、その所作の裏返しとしての「仲間に何かあったとき、自分ができる限りのことをして助ける」という樹の信念が込められています。初日をなんとか乗り切ったその先で、このひとの信念が周りに理解されて、エンディングはやわらかな雰囲気に包まれていました。もっとも、お酒が出てくるんですけどね。茜さんらしく(笑)。
今回は、これまでに当日記でも何度かあった茜さんご出演の舞台の中でも、主役としての登場。さしずめ”あかね劇団”のような雰囲気がありますが、実際、キャストや登場する役柄に、普段は唄い手さんであるこのひとならではの要素がいっぱい詰まっています。
キャストはこのような感じ。
あ、お酒が強い人ばっかりを集めたわけではない…とは思います(笑)。
開演前の前説の部分が撮影OKとなっていましたので、雰囲気もあわせてどうぞ…
(昼公演…Bキャスト)
(夜公演…Aキャスト)
まずは”日替わりゲスト”。茜さんに縁の深い唄い手さんが、代わる代わる登場してきます。もちろん、ストーリーの中にそういう場面が出てくるからなのですが^^。この稿は、3日土曜日のぶんですので、昼公演に前田有加里さん、夜公演には七海有希さんがそれぞれ登場しています。
ちなみに、ゲストさんは、同じ劇場で”翌週に自分のライブをする”という設定。日付を間違えて「こんにちわ~」と現れたが最後(笑)、いつの間にか劇の中の一員として出演するという…。これも茜さんお相手だと、ほかの現場でもありそうな光景だったり。
それぞれ2曲ほど唄っていかれますが、1曲目は楽屋の中、2曲目は実際の劇中歌としてのパフォーマンス(歌唱中に舞台上で別の方がダンスをしています)。と思っていると、去り際には「次は来週ライブがあるんで、来てね…」と思いっきり現実に戻っていたりします。
また、女優さんとして、佐伯佑佳さんのお名前が入っていたりします。ワンマンをはじめ、普段のブッキングライブに至るまで、お芝居の要素を取り入れたステージを展開される方ですが、さすがに女優・佐伯佑佳としてのお姿は、当日記では初めてであります。昼公演(Bキャスト)では中国からの留学生の制作さん、夜公演(Aキャスト)では、この劇の光秀のお相手を務めるアイドルさんの役。前者はコメディチックに、後者はこのひと本来のステージに近い感があります。アイドルさんのときは、思いっきり自分ファーストの役柄で、このひと自体もまわりとぶつかること多数…という設定ですが、(夜公演なので)七海有希さんが「きゅぽらんのうた」をうたっているときは、楽しそうに後ろで振りをしているんですな。意外なところにギャップ萌え要素があったりもします。
そして、もともと役者さんという皆様にも、いろんなことをさせてしまいます…。
台詞を覚えられなかった結果、歴史ものの劇であるにも関わらずインカムが登場し、しまいには足蹴にされる男優さん。
コミュ障という設定のはずの女性制作さんが、いざとなると全身黒タイツ+顔まで黒塗りにして舞台に放り出されたり。
少々キモイ雰囲気を持つ熱狂的なファンとか、関係者でもないのに勝手に楽屋に入り込んで仕切りたがるひとがいてみたり。
ほんとうに”あるある”な光景なのかどうかはともかく、どんな手を使ってでも^^というバリエーションが見事でありました。
そんなわけで、計算しつくされた”なんでもあり”な舞台だった…というのが、当日記での結論。
そして、茜さんとその周りの人々が醸し出す”ならでは感”が面白かったように思います。
ありがとうございましたぁ。