かつて、当日記での“年末の恒例行事”だったものの一つに、「チェリーシュガーフラペチーノ」と名付けられたイベントがありました。山本さくらさん(チェリー)、Sugar Blessingさん(シュガー)、そして今回ご登場のfuraniさん(フラペチーノ)のお三方が、ピアノで連弾しながら歌ってみたり、普段と違う楽器を持って(お三方とも基本スタイルはピアノ弾き語り)合奏してみたりと、クリスマスパーティーのような感覚で開かれておりました。
このイベント自体は、いまも年1回は続いているのですが、七夕の時期のイベントに衣替えしてからのここ2、3回ほどは、平日の開催になってしまい、さらには会場が小田急線沿いへとお引越しした結果、住処も職場も千葉市内の筆者には、“圏外”になってしまっていたのでした。
そんなわけで、こちらの2016年版の「チェリーシュガーフラペチーノ」以来、およそ2年半ぶりとなるfuraniさんのステージであります。
(2016年12月25日@高田馬場)
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厳密には、3週前の立石純子さんのワンマンライブでゲストとして登場されていますので、この日、7月28日の時点では、若干“お久しぶり感”は和らいではいます。とはいえ、当日記ではfuraniさんのワンマンに参戦するのはおそらく初めてですので、久しぶりに見る、このひとのキャラクター、ふらげ君の絵のタッチが、幾分凛々しく見えるようです。
そんなわけで、梅雨明け直前のもう夏本番の暑さだった杉並区まで出動。このような区民ホール、座席数はざっと500余。クラシックでも軽音でもなんでもござれといったホールの雰囲気が、この日の特別感を醸し出しているようでした。
お先に戦利品を出すと、こんな感じ…
地元のコーヒー専門店とのコラボというオリジナルコーヒーとCDのセット。どちらにもふらげ君ファミリーの姿が見えますね。ここを切り盛りするのは、先日とは逆に、その立石純子さんと、早春以降ご無沙汰してしまっている松岡里果さん。これも普段とは違ったお姿です。
場内に足を踏み入れると、まだ緞帳が下がっています。最近は、最初からステージが見えている公演のほうが多いだけに、ちょっと懐かしいものを感じたりします。客席500余といえば、田舎町では“大ホール”。たまーにくるオーケストラのコンサートなどが、まさにこのような雰囲気だった記憶があります。
やがて、緞帳が上がり、総勢18人編成のオーケストラがしずしずと入場してきたあとに、furaniさんご本人が、おそらくはこれまでで最もゴージャスな雰囲気であろうお姿で登場してきます。
これまでは、生で聴く際はもっぱら弾き語りのスタイルでしかなかったわけで、ここからもどことなく特別なものが感じられるわけです。
これまでにも聴いたことのある曲を含めて、普段はピアノの音色とソロでの唄声がほぼすべてを支配しているfuraniさんのオリジナル曲が、オーケストラという厚みを従えて演じられていきます。バンマス…いや、コンサートマスターには、このひとが絶対的な信頼を置くemyu:さん。時折、多少無茶振りが登場する所に、そんな信頼関係がみて取れます。
しばらくすると、ゲストが登場。
1人目は、坂本麗衣さん。こちらも偶然というべきか、前週のUtaco.さんとのツーマンでお見かけしたばかり。Utaco.さんもそうですが、このfuraniさんとも、唄いさんとしてのキャリアがもう15年~20年前後という、いわば盟友同士のコラボレーション。全般にクラシックの空気感である場内に、ピリッと刺激を与えるような出で立ちで、ギター弾き語りを加えていくことになります。カジュアルだった前週の雰囲気に比べると、こちらはやはりゴージャスな雰囲気でのステージだったりします。
続いて、2人目として、小川徹さんが登場してきます。こちらも、furaniさんとは長年の盟友。出で立ちは、麗衣さんとは対照的にカジュアル。で、傍に用意された電子ピアノのまえに陣取ると、即席で連弾がスタートします。
こういう時の男性陣は、やはり少々の洒落というか、コメディチックなところが必要なようでして。
かつてダイエットした時の心境を歌った?という、「No Carbo No Life」。読んで字のごとく、炭水化物を我慢するのは大変だということなのですが、これでもかというくらい誘惑の対象となるお料理が並び、その誘惑と闘う?様子がコミカルに歌われています。もっとも、成功したのはすごいこと。オジサンも見習わなくては(笑)。
再び基本の18人+ご本人の編成に戻ると、再び普段よりも格段に厚みを持った音で、このひとのうたの世界が広がっていきます。セットリストはこんな感じでございました。
このステージの約半年前に、乳がんを患ったことを公表されたfuraniさん。治療の甲斐あって回復傾向をたどり、この日のコンサートにこぎつけられたわけですが、なにせフリーの演者さんとしては大規模なステージ。準備の陰に闘病生活があったことを抜きにしても、”次回”までにはまた相当のパワーを必要とするはず。ようやく巡ってきた、このひとの大規模ワンマンを体感する機会を、思う存分味わったような気がします。オーケストラとの融合だけでなく、超絶なピアノ早弾きをはじめとする、このひとならではの特徴も見せながら…。
もっとも、ここまでのあゆみの結果は、アンコールに据えられえた「がんばらないうた」にまとめられた感がありました。過ぎたるは猶及ばざるが如し…などとことわざでは言われますが、最初から最後まで、要所要所でリラックス…というステージでもあったかと。
Vol.5が開催されるときには、また新たな世界が待ち受けていることでしょう。それまで、折に触れてお邪魔していきたいと思います。ありがとうございましたぁ。