突然ですが
兵庫県・姫路から広島へ行くといえば、ふつうは新幹線に乗るか、
車なら山陽自動車道を走るか、ですが・
まぁ鉄ちゃんだと、18切符発売時なら在来線(山陽線)で、時間があるなら赤穂線&呉線で廻っていこうか、というのもありますが、僕はどうせ18切符を使うなら、もっと18切符らしい(?)ルートで行こうという事で、『山廻りルート』に挑戦してきました
『山廻り』とは?ですが、姫路から中国山地へ入って新見へとつづく姫新線と、新見から三次等を経由して広島駅へ至る芸備線を全線乗継ぎ、まさに中国山地を縫うようにして広島を目指すルートです。
僕は芸備線の新見~備後落合間は初乗車なので、その区間を特に詳しくレポートしようと思います。はたしてどんな形での走破となったのか?では出発です・^
当別荘では時々登場する姫路駅、駅ビル建替&高架化の大リニューアルを終えましたが、僕から言わせれば、姫路駅らしくないなぁ~という感じもしなくもないw、小ぎれいな駅になりました
駅前を貫く大手前通りの奥には、↑朝もやにかすむ姫路城がそびえています
播但/姫新線ホームへ行くには、改札を通ってから『もう一つの改札』、↑バリア改札を抜けていきます。
国鉄の時はこんなのなかったんですが、高架化完成の時に設置されました
同じく姫路駅から出ている播但線は東側、姫新線は西側にホームがつくられています。地上駅の頃は播但線が『東1~3番線』、姫新線が『西1番線』とホームに附番されてたのも昔話になりました
姫新線、播磨新宮行ディーゼルカーが停まっています。
↑同線自慢の、最高速度100km/hの新型DC、キハ127型です。
JR西のローカル線用にしては破格の豪華車です
2010年頃、姫新線の軌道高速化工事(※兵庫県内区間)完成とともに導入された同線専用車。↑ドア横には、同線の主要都市、たつの市のシンボル・赤とんぼが描かれています
先程「破格の豪華車」と書いた理由が↑
本線の新快速と同じ、転換クロスシートが並ぶゆったりとした車内
これ、単線非電化の普通列車用ですよ
窓の横を播但線の電車が通過
↑播但線は1998年に電化され、大阪環状線等で活躍していた103系のお古を改造した電車を使ってます。座席はロングシート。
一方で非電化のままの姫新線には、先程ご覧頂いた豪華新車のDC、いわば、電化/非電化路線の一般的な車両グレードに反する『逆転現象』が姫路口では起きているという面白い事になっています
そんな事を思ううち、姫新線DCは軽やかに走りだしました
↑ちょっと小さいですが、山陽姫路駅を出発した阪神電車が見えています
まず1駅目は、↑播磨高岡駅。
反対側の姫路方面ホームには高校生が沢山待っています
ここで、これから全線走破する姫新線(きしんせん)の概要について簡単に纏めます
兵庫県西部の主要都市・姫路から、中国山地を縦貫して岡山県の北部・新見へ至る約150kmの内陸路線です。全線非電化単線で、いわゆるローカル線の部類ですが、区間によってその性格や乗客数が大きく異なり、全線乗ると様々な表情を見せてくれる線です
大きく分けると・↓
姫路~佐用/上月駅間の『兵庫県区間』
佐用/上月~津山駅間の『岡山(美作)東部』
津山~新見の『美作中部』の3区間に分ける事ができます
上記の3区間、この後乗りながらご覧頂きます
姫路を出たら、西北へ進む格好になります。
次第に田園風景に
2駅目の余部(よべ)を過ぎると、↑車窓北側に車庫が見えてきます。姫路鉄道部に所属する姫新線の車両基地ですが、元々同線の車は姫路駅構内にあった姫路機関区が担当していました。
しかし近年姫路駅が高架化され、機関区が廃止されたため当地に車庫を新設。兵庫県区間を走るキハ127系はここの所属です
姫路を出て最初の主要駅、↑本龍野駅到着。
そして~
その2駅隣、播磨新宮駅も主要駅格です。
姫路からの列車は大半がこの播磨新宮までで、さらに西(佐用方面)はここで乗換です(※一部佐用/上月まで走る便あり)
本竜野・播磨新宮とも現在は”たつの市”に位置しますが、たつのについては次作で龍野の街ブラをupしますので、そちらで詳述します^
なお、新宮で列車を切ってあるのは、たつの市以東と以西では乗客数に差があるためで、新宮以東は概ね30分毎、以西は1時間おき程度の運転です
接続の佐用行に吸い込まれてゆく乗客
引続き西へすすみます
新宮~佐用の中間あたり、↑三日月駅
ここ、旧"佐用郡三日月町"だったんですが、町域が本当に三日月のような長細い形だったんです(※佐用郡は、郡内全町が平成大合併で佐用町になりました)
そして2回目の乗換駅・佐用駅に到着
ちなみに↑の『さよ』の読みですが、町名としては『さよう』なんです。地元での読みは昔から『さよ』で、昭和大合併の時「さよう」と読むようにしたそうですが、駅名は開業以来そのままです
佐用以西は、↑津山(岡山)所属のDCが担当します。快適なキハ127系とは残念ながらここでお別れで、ここからは全国のローカル線でよく採用されてるパターンのワンマン単車がお供です
ここからは最後端(※ワンマンなので乗務員のいない運転台)そばを陣取って撮影しますw
佐用を出るとすぐ~
佐用駅でクロスしている、↑智頭急行の高架が分かれてゆきます
大阪から鳥取への陰陽連絡高速化を目指して建設された智頭急行、山陽線の上郡駅から分岐していますが、ここ佐用でも接続します。同鉄道開通によって佐用は"特急停車駅"になりました(※スーパーはくと/いなば)
佐用の次が、姫新線での兵庫県最西端駅・↑上月駅です。
冒頭から『佐用/上月』と、両駅をセットで書いてるのにお気付きでしょうか、国鉄時代からなぜか、隣同志の佐用駅・上月駅ともに折返し列車があり、「なぜどちらかに統一しないんだろう?」という素朴な疑問を僕は持ってたんですが、JR転換後もこの謎は引き継がれておりw、佐用止・上月止両方の列車が今も設定されています
上月を出るとしばらくは佐用川の支流横を走りますが、やがて岡山との県境へさしかかります
次第に山が近くなってきます
県境の短いトンネルを越えると、岡山県に入ります
岡山県1駅目は、木造の国鉄駅舎が残る、美作土居駅です。
岡山県といえば、備前と備中が廃藩置県で一緒になった県ですが、もう1ヵ国、内陸部は『美作(みまさか)国』でした。同線には”美作”を冠する駅が数駅あります
兵庫県内区間は、冒頭乗ったキハ127系導入の際に高速化工事が行われ、併せて駅等も改良された所が多いんですが、岡山県に入るとほぼ国鉄時代のままの佇まいとなります^
なお、佐用以西は本数がさらに減り、約2時間空く時間帯も
当別荘の岡山作でいつも書くんですが、↑角ゴシック体と一緒のようでわずかに違う”岡山文字”も健在です^
津山の1駅手前・東津山駅で、鳥取からの因美線と合流します。
佐用から約1時間、同線としては最大の主要駅、津山駅到着
姫新線、因美線、そして岡山駅への津山線が接続する、陰陽連絡の要衝・というか、かつてはそうでした
国鉄時代には津山駅を経由して、大阪から姫新/因美線経由の急行「みささ」、岡山~鳥取間を津山/因美線経由で走り通す急行「砂丘」等、数々の急行列車が頻繁に発着する旅の中継地でした。
しかしJR発足後、高速バスや人口減少の影響、また智頭急行の開通等で次々廃止、現在同駅を発着する優等列車は現在皆無になってしまいました
又、津山駅は2016年の作『津山まなびの鉄道館』(16.9.18up vol.236)で訪れているので、今作で2回目の登場です^
その津山まなびの鉄道館が、↑DCの後ろ、ホーム西方にチラッと見えています。
(※旧津山機関車庫)
次は、新見行に乗り換えるんですが~
新見行ホームに出てみると、↑国鉄色のDCが!
今度はあれに乗れるのか?
残念ながら回送でした
代わって入ってきたのは、やっぱり定番のキハ120w
津山~新見間は約1時間半程かかるんですが、途中で最も主要駅なのが、↑中国勝山駅。国鉄末期までは大阪から、この駅を終着とする急行『みまさか』が走っていました。
昭和期は蒜山高原への玄関として賑わったのも昔話となり、現在は人影まばらな寂しい駅です
なお、美作地域でなぜか同駅だけが、"美作"ではなく"中国"を冠しています。これはなぜかというと、開業時に当時の地元議会が『中国地方を代表する駅にしていこう!』という意気込みのもと、この駅名にしたんだそうです^
窓の外には穏やかな山並みがつづきますが、実はこの便、津山で因美線や津山線からの乗換客がドバっと乗ってきて、1両しかない車内は大混雑、この区間はちゃんと撮影できてません(詫)
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DCは高梁川を渡り、新見の街へ入ってゆきます
姫新線終点の新見駅、しかし今回の旅では"中間点"です
新見駅到着、中間地点です
姫新線と芸備線の区界駅でもあり、、伯備線(※岡山~米子)が接続する、津山とともに陰陽連絡の要衝です
この駅、2018年の作『サンライズ瀬戸・出雲に乗る』で登場しています(18.4.26up vol.282)
そのサンライズ出雲の作に出てきた伯備線は、陰陽連絡線の中で唯一電化されています。
↑停車している電車は、元瀬戸大橋線の快速で活躍していた213系、現在は伯備線等で活躍しています
そしてまたもや、突如新見駅にも↑国鉄色DCが登場
今度は団体専用列車でした。↑で姫新線へ入っていくようだったけど、うらやましい団体さんです^
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そしてここから、後半・芸備線に入っていくんですが、芸備線もローカル線にしては長大で(約160km)、姫新線同様、区間によってその様相が異なります。
大きく分ければ、東側から・
『新見~備後落合間』
『備後落合~三次間』
『三次~広島間』
この3つになり、運転系統も基本この3区間に分けて運行されています。僕がこれから乗り継ぐのも、上記3区間の境界駅です。
簡単にいえば、広島に近づくほど本数は増えていくんですが、これから乗る新見~備後落合間が最も”秘境区間”で、1日わずか6本、しかもそのうち3本は途中止なので、さらに広島方面へ接続する備後落合駅まで行く便はわずか日3本しかありません(※2021現在)
そしていよいよ、秘境区間へ入る日3本だけのDCが入ってきましたが、ここでもキハ120の単車
鉄ちゃんで満員になりました(汗)
新見駅を発車しました。これから後半戦です
前述の通り、僕この区間(※新見~備後落合間)に乗るのは今回初めてです。なので特に力を入れて撮っていきたいと思います
秘境区間へ向かってまず登場するのは、↑複線電化の線路。
というのも、芸備線は新見~備中神代駅まで伯備線と重複区間となっていて、同じ線路を走るためです
新見駅から1km位で単線となり、↑高梁川を右へ左へ渡っての渓谷風景となってきます
そして、芸備線1駅目は~
↑布原駅です(※伯備線重複区間)
国鉄時代は”布原信号所”として臨時駅扱いだったんですが、JR転換後正式な駅へ昇格。しかしホームは信号所時代と同じくたった1両分しかなく、伯備線列車は普通も通過、芸備線のみ停車します
その次が↑備中神代駅。
ここで伯備線と分岐します
そして芸備線に入ると、再び架線は消え、木の枕木にペンペン草が生える、ローカル線ムードになります
トコトコと走るDCに身を委ね、何もない中山間の風景を眺める、ただそれだけの芸備線。でも、これが至福のひと時です^
ワンマン駅には大抵、↑運転士さんのホーム確認用ミラーがあり、これを使って自分の姿を入れるとセルフ記念撮影も出来ますw
さすが秘境区間、↑それほど山深くもないのに、家が一軒も見えない所も
乗客ゼロの無人駅にも、キッチリ停まります。
この区間で主要駅格なのが、↑東城駅
前述の"新見からの途中止め"列車は同駅までです。
東城を出ると、風景はさらに絶景に^
山あり、谷あり、平野ありの芸備線
しかし同線に限らず、JR西が中国山地に多数持っているローカル線は似たりよったりの状況です。秘境であればある程、運営の苦しさが拝察されます
そして久々に、やや大きめな駅に進入
主要駅・備後落合駅です
新見からの列車はここで終点です。同駅で木次線に接続します。
同駅の外観は、先程紹介したvol.282(※サンライズ出雲の作)に出てくるので参照して下さい^
三次行に乗継ぎます。
又↑キハ120w
新見駅から約3時間、さいごの乗換駅・三次駅に到着
姫路駅を出発して、既に半日経っていますw
↑ホームは過去作で2回登場した、2018年に廃止された三江線が発着していました。現在は芸備線しかない三次駅ですが、同線では最も主要駅格です
(※14.11.7up vol.180参照)
そして今作のラストランナー・広島行へ乗換えました。
やっとラストで国鉄型DCが登場w
皮肉にも、最も乗客数が多い区間で国鉄型に乗れるという結果になりました
乗客数は広島へ近づくにつれ増え、途中の志和口駅や上深川駅等からは広島への区間運転列車も多数あり、広島口へは20分毎程度にまで本数が増えます
陽も傾いてきた安芸路を、ゆっくり広島へ近づいてゆきます
志和口駅で離合時間があったので、国鉄型撮影タイムです
中国山地を縦断してきた一日、終りに近づいています。
そして~
夕刻のラッシュの始まった広島駅へ、ついに到着!
新幹線なら1時間ちょっとで着く姫路~広島を、途中6回乗り継ぎ、丸一日かけて着きました
広島駅が登場する作でいつも書くんですが、今時ディーゼルカーが県庁所在地駅で発着しているのは珍しい光景です。
いわば『鉄道版・中国自動車道』ともいえるルートで走る、姫新線/芸備線の全線走破、ゴールです。区間ごとに様々な顔を見せてくれる面白い旅でもありました
とはいえ、前述の通りJR西が中国山地に多く保有するローカル線は、ほとんど全線で赤字で、ただでさえ人口減少がすすんでいる事に加え、コロナ禍による乗客減少で深刻な状況になっており、現に三江線や可部線の非電化区間等、長大な路線がバサッと廃止されています。
先般の報道でJR西は、これらローカル線のさらなる廃止もありうると示唆しています。山間部の過疎線をどう守っていくか、沿線自治体や国もを巻き込んだ積極的な議論が求められます。
今作ここまで、次作は冒頭予告の通り、姫新線沿線の街、兵庫県たつの市の街ブラをおおくりする予定です。お楽しみに^
☆関係過去作リンク↓
◎vol.236 津山まなびの鉄道館(16.9.18up)
vol.236 美作の小京都・津山にある鉄道遺産・・津山まなびの鉄道館(津山街ブラ付き^) | 旅ブログ Wo’s別荘 (ameblo.jp)
◎vol.282-1 サンライズ出雲、木次線(18.4.26up)
vol.282-1 ついに乗った!日本唯一の定期夜行列車「サンライズ」&木次線&三江線(1) | 旅ブログ Wo’s別荘 (ameblo.jp)
◎vol.282-2 三江線との別れ(18.4.26up)
vol.282-2 日本唯一の定期夜行「サンライズ」&木次線&三江線(2・三江線とのわかれ) | 旅ブログ Wo’s別荘 (ameblo.jp)
◎vol.180 乗客が日本一少ない鉄道!三江線(14.11.7up)
vol.180 乗客数が日本一少ない鉄道!知られざる「陰陽連絡線」JR三江線に乗る | 旅ブログ Wo’s別荘 (ameblo.jp)
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広島到着後、まだ陽があったので、↓だけ寄っておきます。
平和公園・原爆ドームです。
広島へ来たら毎回寄るんですが、ここに来るといつも、いろんな意味で心の中に新たな風が入ってくるように感じます。折しもこの日は原爆記念日の数日前でした。ローカル線の有難さ、平和の有難さを再認識しつつ、広島での一夜を過ごしました
(※2023.9 文一部修正)