1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、45回目は、スカンジナビア(スカンディナヴィアン)号を取り上げます。

EC Skandinavien

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

スカンジナビアは北ヨーロッパの一部分のこと。通常はスカンジナビア半島のノルウェーとスウェーデン、そしてデンマークを含む。

 

1986年6月1日から、急行列車D396/397の後継となる国際インターシティ IC32/33 スカンジナビア号が、初めてハンブルク・アルトナ駅とコペンハーゲンを、フェーマルン海峡と「渡り鳥コース」経由で結んだ。毎日ハンブルクを午前発でデンマークの首都と接続、その後午後の復路という運行で、車両はDB(=西ドイツ国鉄、のちのドイツ鉄道)が提供するハンブルク - コペンハーゲン間とハンブルク - プットガルデン間の編成、およびDSB(デンマーク国鉄)のロービュ〜コペンハーゲン間の編成で構成された。

 

1987年5月31日から、スカンジナビア号もEC32/33としてユーロシティのネットワークに加わった。北行EC33はハンブルク・アルトナ駅発8:18で、ハンブルク・ダムトール駅、ハンブルク中央駅、リューベック、プットガルデン(10:10着/10:30発)、ロービュ(11:25着/11:45発)、ニュークビン、ネストヴェズに途中停車し、終点コペンハーゲン着13:54。スカンジナビア号の復路は、EC32としてコペンハーゲン発16:40で、ハンブルク・アルトナ駅着22:26。つまり、EC32/33はそれぞれの表定速度は63km/hと66km/hに達する。特筆すべき点として、ユーロシティのスカンジナビア号ハンザ号は、全ルートをディーゼル機関車のみで牽引する唯一のユーロシティである。

 

翌年(=1988年夏?)、時刻表は若干変更された(EC33 ハンブルク・アルトナ駅発8:07→コペンハーゲン着13:50/EC32 コペンハーゲン発16:40→ハンブルク・アルトナ駅着22:25)。1991年6月1日まで時刻変更されず、1991年6月2日からは列車番号がEC190/191となり、ドイツのノーベル文学賞受賞者(1875~1955年)にちなんでトーマス・マン号と改称された。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1988〜89年冬ダイヤ 

1等・2等のコンパートメント車、2等オープン座席車、食堂車なし、プットガルデンで増解結。ドイツの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)