ドイツの高速鉄道ICEのまとめです。

 

【追補履歴】

・2022年12月 22〜23年での冬ダイヤでの情報を追記

・2021.4.29 2021年4月を追加しました。

 

ICE(Inter City Express)は、高速列車のそのものを指す名称で、車両種別として、ICE1、ICE2・・といった具合に使用されています。そして、他の欧州各国同様、在来線と高速新線の相互乗り入れを行うことで、国内外広くICE運行網を広げています。

 
ドイツ国鉄が利用者への告知のために、ICEの速達版を特に「ICEスプリンター」と呼んでいるケースがあります。国鉄の公式ホームページでは大々的に名称をうたっているものの、「スプリンター」だけ検索でヒットさせるようなことができるわけではありません。また、European Rail Timetable上でもICEの種別は「ICE」一種類として掲載されています。

 

ICEの運転網については、ドイツ国鉄のホームページでPDFとして入手できます。

https://www.bahn.com/en/view/mdb/bahnintern/international/streckenkarten/mdb_301785_11080_ice_de_2020.pdf

 

余談ですが、ICEについては様々な運転経路が設定されており、日本の新幹線のイメージの他、夜行として走行するICE(もちろん座席車のみ)、中にはミュンヘン発、ミュンヘン行という山手線ばりの「環状運転」されているものもあります。これは俗に言う「バイエルン州循環」ともいう運行ルート。Twitterのつながりで存在を教えてもらいましたw

 

 

ということで、下記にドイツ高速鉄道の誕生のきっかけとなる試験車両の誕生から、現在までの年表を下記のようにまとめています。
 

1985年 ICE-V(準動力集中式)にて走行試験開始

 

 

1991年

5月 マンハイム〜シュトゥットガルト高速線 開業

6月 ハノーファー〜ヴュルツブルク高速線の全線開業、それをうけてICE(車両はICE1;両端動力車の準動力集中式)運転開始。ハンブルグ・アルトナ駅〜ミュンヘン中央駅間を開業済の2つの高速新線を経由)

 

 

1992年

9月 ICE スイス乗り入れ開始(バーゼル経由チューリヒまで。国際列車としてのICEのはじめ)

 

1996年 ICE-Sの誕生(ICE-Vに変わる試験車両、両端動力車と中間電動車がある準動力集中方式)

※基本編成は5両編成で、先頭動力車2両と中間電動車2両、中間付随車1両で構成される。

 

 

1997年 ICE2 運転開始(プッシュプル方式の動力集中式)

 

 

5月 ハンブルグ〜ベルリンで運転開始(高速化工事未完了)

 

1998年

5月 オーストリア乗り入れ開始(ハンブルグ〜ウィーン間)

6月 エシェデ鉄道事故 ※詳細はリンク先をご覧ください。ドイツ鉄道史のみならず、高速列車界にも衝撃を与えた事故でした。

9月 ハノーファー〜ベルリン高速線での営業運転開始

 

1999年

5月 ICE-T(車体傾斜装置がある動力分散方式) シュトゥットガルト〜チューリヒ間で運転開始

 

 

2000年

6月 ICE3(動力分散方式) 運転開始 

 

11月 オランダ乗り入れ開始(ケルン〜アムステルダム間)

 

2001年

4月 ICE-TD(ディーゼル列車)がニュルンベルク〜ドレスデン間他で運転開始

 

 

2002年

8月 ケルン〜ライン=マイン高速線開業

12月 ベルギー乗り入れ開始(フランクフルト〜ブリュッセル間)

 

2003年

12月 ケルン〜アーヘン高速線のケルン〜デューレン間部分開業

 

2004年

12月 ベルリン〜ハンブルク線の高速化工事完了

 

2006年

5月 ニュルンベルク〜インゴルシュタット〜ミュンヘン高速線開業

 

2007年

6月 パリ乗り入れ開始(LGV東線開業に伴う) ※ALLEOブランドでの運行開始

Logo Alleo

 

12月 ICE-TD(ディーゼル列車)渡り鳥ルート(ドイツ〜デンマーク)運転開始

 

 

2015年

12月 エアフルト〜ライプツィヒ/ハレ高速線営業開始

 

2017年

10月 ICE-TD(ディーゼル列車)運用終了

12月 ニュルンベルク〜エアフルト高速線(エアフルト〜エーベンスフェルト間)営業開始、ICE4(動力分散方式)運転開始(ハンブルグ〜ミュンヘン・シュトゥットガルト)

 

 

2020年

11月 マンハイム〜シュトゥットガルト間の高速新線の改良工事完了し運転再開(工期205日間) 

 

2021年

4月 高速新線改良工事がカッセル〜ゲッティンゲン間で開始。

※2021年4月時点では4月24日から7月16日までの予定

 

2022年

12月 

・シュトゥットガルト〜ウルム間の高速新線が部分開業(ヴェンドリンゲン - ウルム間の60km)

・ドルトムント〜ケルン〜ミュンヘンの3都市を結ぶ新型ICE 3neoが運行開始

 

今回は以上です。

 

 

参考資料

世界の高速列車(地球の歩き方) ダイヤモンド社

世界の高速列車Ⅱ(地球の歩き方)  ダイヤモンド社

新幹線と世界の高速鉄道2014 海外鉄道技術協力協会 ダイヤモンド社

European Rail Timetable October 2020、April 2021

 

参照ページ wikipedia Alleo、ICE_S、ICE_T、Intercity_Express、ICE、ICE_TD#cite_note-bahn-3

https://ja.wikipedia.org/wiki/エアフルト-ライプツィヒ/ハレ高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/エシェデ鉄道事故

https://ja.wikipedia.org/wiki/ケルン-アーヘン高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ケルン-ライン=マイン高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ニュルンベルク-インゴルシュタット-ミュンヘン高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ニュルンベルク-エアフルト高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハノーファー-ヴュルツブルク高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハノーファー-ベルリン高速線

https://ja.wikipedia.org/wiki/ベルリン-ハンブルク線

https://ja.wikipedia.org/wiki/マンハイム-シュトゥットガルト高速線

https://www.railwaygazette.com/traction-and-rolling-stock/ice4-enters-regular-service/45623.article

https://www.fernbahn.de/datenbank/suche/?zug_id=20200100985#form1

https://www.bahn.com/en/view/trains/long-distance/ice-ice-sprinter.shtml?dbkanal_007=L04_S02_D002_KIN0059_FOOTER-ZUGFLOTTE-ICE_LZ01

 

ブログ内写真 Frickrリンク

カバー画像 PortraitorによるPixabayからの画像