組み込み機器向けの新規格「I3C」を発表
MIPI(Mobile Industry Processor Interface)アライアンスは、モバイルアプリケーションプロセッサ向けに、I2Cの拡張版である「I3C」を発表した。スマートフォンなどにさまざまなセンサーが搭載されるようになり、I2CやSPIだけでは対応しきれなくなっているためだ。
2014年11月17日
モバイルアプリケーションプロセッサのインタフェースの標準規格を策定・推進する非営利団体である「MIPI(Mobile Industry Processor Interface)アライアンス」は、2014年11月5~7日に米国アリゾナ州スコッツデールで開催された「MEMS Executive Congress 2014」で、「Inter-Integrated Circuit(I2C or I2C)」インタフェースの拡張版である「I3C」を発表した。
MIPIアライアンスのセンサーワーキンググループでチェアマンを務めるKen Foust氏は、「I3Cは、2線式インタフェースであるI2Cに、携帯電話向けの高速データ通信技術である『HDR(High Data Rate)』を付加した上位セット機能である。HDRは、SPI(Serial Peripheral Interface)と同等の機能を有する。従来型のI2Cセンサーは、I3Cバスに接続可能である。ただし、I3Cの機能セットをフル活用するには、センサーとホストコントローラのハードウェアを両方とも変更する必要がある」と説明した。
I3Cは、モバイルアプリケーション向けとしてだけでなく、あらゆる組み込みシステム向けに設計された規格で、高速通信と電力の効率利用を実現する。なお、モバイルアプリケーションに利用する場合は、「SenseWire」という名称を使うという。同規格は、さまざまな種類のデバイスに搭載されている多彩なセンサーに適合する。搭載されているセンサーの種類は、現在発売されているスマートフォンだけでも十数種類に上り、I2CやSPI規格では対応できなくなってきている。Foust氏のセンサーワーキンググループは、業界内のインタフェースをさまざまな種類のセンサーに対応する1つの規格に統一することを目的に、I3Cを開発した。同ワーキンググループは、MIPIアライアンスのメンバー企業から情報の提供を受けてI3Cを開発している。MIPIアライアンスには、携帯電話機やタブレット端末、ノートPCメーカー、それらのOEM企業、半導体企業、アプリケーションプロセッサやソフトウェアの開発企業、IPツールプロバイダ、テストツール/テスト機器の開発企業などが加盟している。
MEMSセンサーなど向けの新しい規格「I3C」は、MIPIアライアンスによって策定されている、制御/データ向けの6つの規格の1つである 出典:MIPIアライアンス
I2CとSPIの“いいとこ取り”
Foust氏は、「I3Cは、シンプルな2線式インタフェースであるI2Cと電力効率と通信速度に優れたSPIの利点を生かし、それらを統合して、従来のI2Cセンサー向けのサポート機能を保持しながら、帯域内の割込みサポートやダイナミックアドレッシング、先進のパワーマネジメントといった機能を追加した。複数のセンサーを搭載したシステムは、I3Cを適用することで、I2CやSPIと比べてコストや消費電力を劇的に削減し、拡張性を向上することができる」と述べている。
こうした点から、Foust氏は「I3Cは“革命的”な技術ではなく、I2CとSPIといった従来技術の長所を“進化”させた技術である」と表現する。同氏は、「両技術の上位セットとして、同規格を広く普及させたいと考えている。I3Cは、搭載するセンサーの消費電力や部品数を抑え、バッテリー寿命を延長することができる。インタフェースの今後の改善にも容易に対応できるように設計されている」と述べている。
I3Cは、I2Cと同じくシンプルな2線式インタフェースであるため、I2Cとの下位互換が可能である。HDRオプションを付加した最低データ転送速度は10Mビット/秒である。さらに、ピンカウントとシグナルパスを削減したデバイスの帯域内の割込みをサポートする。
規格の策定完了は2015年を予定していて、それまでにMIPIアライアンスは、I3Cに関心を示す企業/団体からコメントや意見を募る。MIPIアライアンスのメンバー企業は275社で、15のワーキンググループが活動している。策定が完了した規格は45に上る。
I2C is a multi-controller, multi-target serial bus invented in the early 1980s. The bus was intended to be a simple two-wire interface consisting of serial clock (SCL) and serial data (SDA) lines. However, with the introduction of new peripheral devices, additional pins are very often needed for reset and interrupt target address, among others. To further simplify the bus back to a true two-wire interface, while maintaining these common features and increasing the bus speed, MIPI Alliance is leading the industry in the definition and standardization of a new standard called I3C. This class will discuss the new features and benefits of the I3C bus and present distinct contrasts between the I2C and I3C specifications.
I2C-busターゲットは12.5 MHzで動作するI3Cコントローラと共存できるため、既存のI2C-bus設計をI3C仕様に移行することができます。