『東京の創発的アーバニズム──横丁・雑居ビル・高架下建築・暗渠ストリート・低層密集地域』 | ねぇ、マロン!

ねぇ、マロン!

おーい、天国にいる愛犬マロン!聞いてよ。
今日、こんなことがあったよ。
今も、うつ病と闘っているから見守ってね。
私がどんな人生を送ったか、伊知郎、紀理子、優理子が、いつか見てくれる良いな。

曽田歩美様に頼んでマロンの絵を描いていただきました。

【執筆ノート】『東京の創発的アーバニズム──横丁・雑居ビル・高架下建築・暗渠ストリート・低層密集地域』

三田評論ONLINEより

 
  • ホルヘ・アルマザン(共著)

    慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授

東京が持つ最も優れた特性とは何だろうか? そして、そうした優れた特性を持つ都市を我々は設計できるのだろうか? 筆者はこの問いを解くために長年調査と研究を重ね、図版と写真を用いて、一般の読者が理解できるように本書を執筆した。

東京の素晴らしさは、インクルーシブで適応力に富む多様な都市空間にある。それは、大小さまざまな形で、市民の日常のごく小さな活動の集積によって形成され、その独特なパターンやエコシステムは、行政主導のマスタープランや企業の利潤優先の開発の限界を超えて、独自の発展を遂げてきた。この発展を「創発的アーバニズム」と名付けた。

本書では、東京の魅力を形成する最も特徴的な5つの「創発的」都市パターンとして、横丁、雑居ビル、高架下建築、暗渠ストリート、低層密集地域を考察した。これらのパターンは、市民によってボトムアップに構築され、親密さ、レジリエンス、ダイナミズムを備えた東京の核を形成している。

しかし今、東京は劇的な変化を遂げようとしている。都心部では大々的な再開発が行われ、伝統的な街並みが壊されて、低層住宅地域が一変しつつある。それらは基本的に、高級コンドミニアムやオフィスの超高層タワーが、低層部のショッピングモールのような商業施設の上に載るという建築タイプで構成される。これらの再開発によって、東京の多様な魅力の多くが失われてしまった。

本書では、東京の歴史と現在の強みの両方の観点から、東京の未来について大規模再開発とは別の方向性を提示することを目指している。本書で紹介するアプローチは、今もなお東京の大部分に残り、東京らしさを形成する基盤を築いた、戦後間もないころの東京の活力に倣い、それを活かそうとするものである。

東京の根底にある都市の創発的なデザインが、この複雑で一見無秩序な大都市で、活気に満ち、多様でインクルーシブ、かつ革新的な都市空間を生み出すことを成功させている。超高層ビルとショッピングモールが繰り返し建設される単調な再開発ラッシュのなかで、今こそ東京の創発的な都市づくりを推進するべきだろう。

『東京の創発的アーバニズム──横丁・雑居ビル・高架下建築・暗渠ストリート・低層密集地域』
ホルヘ・アルマザン(共著)
学芸出版社
224頁、2,640円〈税込〉

 

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。