口には出さないけど皆が思ってる事。大谷翔平は凄い。だけど面白くない。
面白みに欠けるのは、彼が機械的だからだろう。突いて出てくる言葉も面白味がない。何処か血の通ってなさそうな会話をする。事実そうらしい。彼と食事をした者の証言によると、食事の最中もトレーニングの話ばかりしてくるのだと言う。しかも彼は酒を飲まない。何を飲んでいたのかと言うとノン・アルコールのビールだったそうだ。大谷の本音を言えば、ノン・アルコールすら飲みたくなかったのかもしれない。体の事を考え、出来ればお茶系統の方が良かった。どこぞのプロスポーツ選手は、飲み会の席でもプロテインを手放せず、プロテインと酒を混ぜて飲む筋金入りの馬鹿が居るそうだ。
おそらく大半の人が今年の大谷は駄目だろうと思っていた筈で、その理由と言うのは<水原事件>なんだけど、これだけの嫌な事に見舞われながらも、無表情、無感動で打ち続け、走り回り、その活躍ぶりを見せつけられたアメリカ人に付けられたあだ名がロボット。これを誉め言葉と取るか、中傷と取るか。大谷が取ったのは中傷だった。
水原事件を取り調べたのはロサンゼルス市警だった。略してロス市警。日本人にとってロス市警と言う言葉を初めて知ったのは殆どの人が映画であると思われる。それほどにロス市警を舞台にした映画作品が多い。だから馴染みがある。
だが残念な事に、このロス市警の歴史は汚職と隠蔽にまみれていた。凶悪な殺人事件、マフィア絡みの抗争、コールドケースになった猟奇事件も多数。ロス市警は事件の解決よりも、早く終わらせると言う意識の方が高い。そこには面倒臭さとイイ加減さがあり、最も手っ取り早い解決法が金だった。日本には「地獄の沙汰も金次第」と言う諺がある。不思議な事に、その諺は日本では通じず、アメリカでは通用した。それを地で行ってるのがロス市警であった。
水原事件には五者が絡んでいる。ドジャース、ロス市警、弁護士、大谷、水原。この五者の中で誰が一番厄介者だったのかと言うと、水原ではなく大谷だった。ドジャースはカリフォルニア州の所有物で、そのドジャースが大谷翔平と言う小さな日本の片田舎からやってきた怪物を10年1000億と言う大枚をはたいて買ったばかりの出来事であった。この騒動はカリフォルニア州と言う一つの州ぐるみによる壮大な事件に発展する事になった。
日本時間の早朝4時頃、NHKで、戦争でも起きたかの如く大袈裟な緊急速報が報道された。カリフォルニア州の大御所まで飛び出してきて「大谷は無実だ」と無表情かつ沈着冷静な真顔で訴えた。報道によると、水原事件は州の法に照らし合わせ、この会見を持って、この事件の終わりを宣言すると言う内容だった。
ハッキリ言って、この大袈裟な映画の様な展開は、水原事件が只事ではない事を余計に思わせてしまう結果になった。つまり大谷サイドは何かを隠している。しかもロス市警が絡んでいる。雇った弁護士の報酬は莫大な報酬を貰う予定で、その総額は大谷がエンゼルス時代に稼いだ金額のほぼ全てに相当する額なのだと言う。そんな額を何故払えるのか?答えはドジャース入団の1000億円だった。後払いは幾らでも出来ると言う算段だった。
私が思うに水原事件は、もっと単純で、その始まりは子供の火遊びだったのではないか?と考えてみる。つまり、水原に対する善意の想いで口座を自由に使わしていた。その権限を大谷が与えていた。当然、パスワードは教える。ロス市警の捜査によると、大谷からパソコンやスマホなどの機器類の提供を受けたそうだが、必ずしも機器類が必要か?と問われれば、そうは思わない。自分の口座を使わせる事くらい口約束で済むからだ。
この時点で銀行はどうなってるんだ?と疑問が浮かぶ。この点について信じ難い報道が展開された。水原が電話口で大谷の声を真似て銀行員が信じ込んだのだと言う。それって無理があるだろうと誰もが耳を疑ったが、その報道は何故か、まかり通った。皆が信用した。一部の人は疑った。その一部が事件の真相を追おうとすると圧力が掛けられた。これが大谷とマスコミとの戦争の始まりだった。
大谷とマスコミの関係は、水原事件を機に少しづつ溝が深まっていった。アメリカと喧嘩をしたくない大谷が選んだ喧嘩相手は日本だった。
水原事件は終わっていないと嗅ぎ回る一部のマスコミとフリージャーナリスト達。結婚した真美子の身辺をうろつくパパラッチ。12億円で買った新居を一度も住まないで売却する羽目に陥った上空からの撮影写真。その全てのイライラとムカつきは、日本のマスコミに向けられた。
プライベートのまとわりつきや誹謗中傷に関しては、ハッキリ言って日本よりアメリカの方が辛辣な筈にも関わらず、大谷の怒りの矛先は日本に向けられた。それは、ある意味賢い。大谷にとってアメリカ人とは、絶対に喧嘩してはならない相手だと言う認識がある。アウェイと言う状況は勿論だが、それ以上に防衛本能の方が大きい。アメリカでは何を書かれても言われても笑う。だが、同じ事を日本がすれば容赦はしない。事実、大谷は日本テレビとフジテレビに脅しをかけた。
「俺を馬鹿にするな。真美子に近づくな。水原事件の真相を追うな。取材拒否より、もっと怖い目に合わせるぞ」
大谷が以前とは違う<人変わり>を起こしているのは歴然とした事実だろう。顔つきも何処となく変わってきた。エンゼルス時代の様な澄んだ目が、今は人を疑う様な目付きをする様になった。その目付きは試合後の日本人記者に対する質疑応答に顕著に現れる。以前は記者の目を見て話していたが、今の大谷は、日本人記者の目を見ない様に喋っている事に気付いてる人が、どれ位いるだろうか?返答も何処となく刺々しくなり、太々しい笑みをする様になった。
「俺はお前ら日本のマスコミが憎い。お前らが俺を困らせてるんだ・・・」
水原事件は大谷翔平と言う子供の様な大人を強制的に変える切っ掛けになった。褒める事しかしてこなかった人達が自分を責めている。人はこうも変わる生き物なのか?と、生まれて初めて人を疑い、野球が詰まらないと感じた。
ドジャースに来なければ良かったと大谷は思っている。ロクな事が無い。自分を取り巻く称賛や畏敬、尊敬、それらがサーカスの見世物染みた模様を呈している。何か気持ち悪さを感じて仕方が無い。その気持ち悪さが何処から来ているのか?
「俺を馬鹿にする奴等を黙らせてやる・・・」
大谷は数字に拘った。数字と言う絶対的な結果を見せつける事で人は黙る。大谷は、自分の価値がホームランだと言う事を知っている。ヒットや盗塁が先ではない。ホームランを打たなきゃ自分で居られなくなると言う強迫観念が、異常なまでの原動力となる。
40-40が済めば50-50だと騒ぎ立てる。これを達成すれば60-60になり、今度は70-70だと言い出す。そうこうしてる間に来年はピッチャーの仕事が課せられている。ピッチャーとして求められる数字は15勝から20勝。ホームラン数は50以上。走れるイメージも定着した今、盗塁数も50以上。
「俺は野球に殺される・・・」
10年後の1000億円は実の所、条件付きと言う事になっている。細かい提示までメディアに公開する義務は無いが、どうにも胡散臭さを感じる契約金ではある。
もしも明日の試合で再起不能の怪我をした場合、その契約はどうなるのか?野球が出来なくなった異国のメジャーリーガーに何処までの恩恵を施すのか?そもそも面倒を見る気があるのか?無いのか?
過去、メジャーリーグは汚い事は何度でもやってきた。薬物による筋肉増強、その体から繰り出された圧倒的な数のホームラン。それが嘘っぱちのインチキだとバレると、ホームランが出にくい<低反発ボール>と言う、いわゆる<飛ばないボール>にコッソリ代え、ホームランを沢山打たなくなるように細工をする。今度はそれがバレた。アメリカの野球ファンは怒った。だが、ファンが怒ったのはインチキ・ボールの事ではなく、ホームランが出ない事に対する純粋な怒りだった。私はこれを知った時、アメリカと日本の野球の質の違いを知った。その違いとは、日本が求める野球がアメリカには無く、アメリカが求める野球は日本には無いと言う事だった。
メジャーリーグに少なからず関係してるかなと思う事を書いておく。先日、フジテレビの報道番組「BSプライム」を観ていたら、ジョセフ・クラフトと言う論客が非常に気になる事を言っていた。
「今のアメリカには誇りが感じられない」
彼はそう言った。
ジョセフ・クラフトと言う人は最近出てきた新鋭の評論家なんだろうか。肩書は外交・安全保障アナリストと言う事らしい。何だかよく判らないが、話を聞いてると中々面白い。ズバズバと鋭い指摘と分析をする。アメリカ人が器用に日本語で話す。鋭い事を言う人は地上波のテレビで使い辛いのか、BSフジのプライムでしか今の所、観た事はなく、他局では見掛けない。
それで、この言葉を聞いた時、真っ先にメジャーリーグの大谷を思い浮かべた。メジャーリーグはアメリカ人が作ってきた文化と伝統である。その文化と伝統が今や日本人に蹂躙されている事実。しかも拍手喝采で迎え入れていると言う現実。私は思う。お前ら悔しくないのか?お前らアメリカ人が調子に乗ってる日本人をやっつけないで何をしてるんだと。何処の誰が大谷をやっつけるんだと。お前たちアメリカ人がメジャーリーグの主役なんだろうと。
ジョセフさんが言った「今のアメリカには誇りが感じられない」と言う言葉は、今やっているアメリカ大統領選の話ではあったが、メジャーリーグにも十分当て嵌まる言葉だと思う。世間はどう思うかと言えば、メジャーリーグと言う大要塞は、一人の日本人によって陥落したんだと取る。そんな事は無いと言う野球好きの人の気持ちは判るつもりだが、世間と言うモノは、そう受け取るのである。
私が懸念するのは、アメリカと言う国で外国人が天下を取る事の危うさと怖さである。大谷は来年ほぼ間違いなく、ベビーフェイスからヒールに転向せざるを得ないだろう。島国から来た田舎者に、大国の王の座に就かれる事の悔しさと忌々しさは計り知れないだろう。謙虚さの裏に野心を秘めたアジア人を、メジャーリーグは本当に歓迎しているのかどうか?
アメリカのスポーツ・ジャーナリストに、聞けるものなら是非聞いてみたい事がある。
「アメリカは大谷翔平と言う日本人を、今後どう扱うおつもりですか?」
私としては、50-50だとか、ホームランの数よりも、そっちの方に興味がある。



