まずは、Tさんから逃げる為に必要な事を考えた。

出産した後、出生届を出すのには、住民票を移動させなくてはいけない。

だけれど、そうしたら、すぐに居場所がわかってしまうだろう。

住む場所は?

病院は?

考えなくてはいけない事が沢山あった。

お金の問題も・・・

今、この状態で、住む場所を探すなんて無理だ。

住む場所も決まらないのに、飛び出すのは無謀だと十分わかっている。

チャンスは一回しかない。

もし、失敗したら・・・

今度は、もうないだろう。

Tさんが、夜勤や、休日出勤の日、それがチャンスだ。

それまでは、従順になっていなければ・・・


Tさんの、お子様の話は、私が聞いてしまってよかったのだろうか。

Tさんと元奥様、そして、元奥様の長く付き合った男性で、今のご主人だけの秘密じゃないのだろうか。

驚く事に、お子様も事実を聞かされていた。

お子様は、本当の父親を「パパ」と呼ばされ、ずっと父親だと思っていたTさんを、「Tさん」と呼ばされていた。

この人達は、汚い大人だ。

子供を巻き込み、振り回している。

そして、私も同じく、汚い人間だ。

「元奥様を愛していたんでしょ?」

その答えは意外なものだった。

「付き合い始めて、すぐ妊娠させて、中絶させた。その次も。その次も。4人目はヤバいから結婚した。だけど流産した。次に産まれたのが、今居る子供。」

信じられなかった。

「多分、全部、俺の子供じゃない。」

結婚当初から、再婚したご主人と付き合っていた元奥様は、Tさんに疑われて堕ろさせられたのだろう。

私は、身の危険を感じた。

それからしばらくして、Tさんの機嫌の良さそうな時を見計らって、元奥様に逢いたいとお願いした。

「お見舞いに来てくれた御礼をしたいの。」

そう告げたら、すぐに連絡を取ってくれた。

2人でとお願いしたら、席を外してくれた。

私は、何からきりだそうかと考えていた。

そうしてたら、元奥様の方から話してきた。

「あの人を愛している?」

私は、首を横に振った。

元奥様は、そう、と言ったっきり、また沈黙になった。

「別れたいの?」

自分の気持ちが、わからない。

返事は出来なかった。

「殴られたりしていない?大丈夫?」

無言の私を見て、元奥様は、全て察した様だった。

私に、封筒を渡して来た。

中身は、お金だった。

「逃げるのに、必要でしょ?」

「ありがとうございます。必ず返します。」

涙が溢れてきそうで、そう返事するので一杯だった。

私は、この悪夢から覚めるために行動をする事にした。




Tさんと元奥様との間の子供は、Tさんの子供ではない。

そう、Tさんは言った。

元奥様は、Tさんと結婚してすぐ、仕事先で知り合った男性と恋に落ちた。

何度も逢瀬を重ね、やがて、Tさんに見つかり、別れさせられても、諦めきれず、隠れて逢瀬を重ねていた。

そして、妊娠した。

元奥様が、妊娠した時に、Tさんに心当たりは無く、真っ先に浮気を疑った。

証拠が無かった為、生まれた子供を自分の戸籍に入れた。

だけれど、元奥様が告げた子供の血液型は嘘だった。

本当の血液型は、Tさんと元奥様の間には、決して産まれない血液型だった。

産まれた子供に罪は無い、そう思い、そのまま育てた。

元奥様は、子供を連れて男性と逢い続けた。

そんな関係を6年続けて、正式に、Tさんと別れた。

「だから、自分の本当の子供が欲しかった。」

そう言った。

それを聞いた私は、ぞっとした。

私のお腹に居る子供だって、はっきりと、Tさんの子供だなんて断言できない。

やっぱり、逃げなければ・・・

Tさんは、何故、私にこんな話をしたのだろう。

聞かない方がよかった。

「本当に、心の底から、愛されたい。」

そう言ったTさんを見て、憎しみが消えていく。

憎んだままでいたい。

許したくない。

私は、Tさんを、愛し始めていた。

だけれど、認めたくない。

相反する気持ちで、私は揺れていた。



Tさんは、従順なままでいれば、とても優しかった。

仕事から帰って来ると、まずは、セックスをした。

拒めば、暴力を振るわれ、結局は無理やりに抱かれるだけ。

お腹の子供を守る為に、私はTさんが帰って来たら、自分からTさんを求めた。

苦痛だけのセックスだったけれど、必死に演技した。

Tさんは、Tさんと一緒なら、外出も許してくれるようになった。

お腹は、どんどん大きくなってきた。

「もし、子供が、自分の子供じゃなかったらどうするの?」

そう聞いた私に、Tさんは恐ろしい過去を語り始めた。


気がつけば、逃げて、戻って、逃げて、戻っての繰り返しをしていた。

逃げて戻るたびに、Tさんの暴力は酷くなっていく。

このまま、Tさんの元で子供を産んでも、いつかは子供にも暴力を振るだろう。

もし、子供がK君の子供だったら・・・

間違いなく、私も子供も、殺されるだろう。

出産までには、絶対逃げなければいけない。

そう心に誓った。

その為にも、今は、Tさんに従順でいなければ・・・

Tさんに抱かれながら、逃げるチャンスを窺っていた。

そんな私を、Tさんも疑いの目を向けて、様子を窺っている事に気がつきもせずに・・・


仕事から帰って来たTさんは、いつも通り、私の身体を弄り始めた。

「やっ!!」

私は力一杯Tさんを突き飛ばして拒んだ。

Tさんの顔色が変わった。

その瞬間には、殴られていた。

「どうして、こんなに愛しているのに、お前はわからないんだ!!」

髪の毛を引っ張られ、床に突き飛ばされた。

「助けて!!助けてぇ!!」

大声で叫んだ。

慌てたTさんが、私の口を手で塞いだ。

私は、両手、両足を振り回し、抵抗した。

Tさんは、私を押さえつけながら、手錠をかけようとした。

インターホンが鳴った。

Tさんは出ない。

「誰かっ!!助けて!!誰かぁ!!」

何度もインターホンが鳴らされる。

Tさんは、私を何度も殴りつけた。

そして、ベットに手錠で繋いだ。

「騒いだら、逃げようとしたら、どうなるかわかってるな!!」

そう私を脅し、トランクスだけの姿でドアを開けた。

Tさんの怒鳴り声が聞こえ、ドアが乱暴に閉められた。

私の声を聞いた住民が、管理人さんに通報して、管理人さんが様子を見に来たらしかった。

ベットに戻ってきたTさんは、鼻血を出している私の顔を見て、謝って来た。

「こんな事するつもりじゃなかったんだ。ごめんな。」

そう言いながら、キスをしてきた。

手錠に繋がれ、抵抗出来ないままの私に愛撫を繰り返した。

胸を揉まれ、舐められ、あそこも舐められたけれど、私は反応しなかった。

感じない私に、しびれを切らしたTさんは、私のあそこに、ツバを塗りつけ貫いた。

乱暴に揺すられ、手錠をかけられた両手が痛かった。

鼻血が流れていく。

Tさんの動きと息が激しくなった。

「イクぞっ!!」

Tさんが、イッた後も、私の手錠は外される事はなかった。






「あっ、あっ・・・」

部屋の中に響き渡る喘ぎ声。

淫らな水音。

肉と肉とのぶつかり合う音。

そして、男の声。

自分の居る世界が、フィルター越しに見ている様に感じた。

持ちいいと気持ち悪いが混じった不思議な気持ち。

嫌悪感はもう感じられなくなっていた。

ただ、入れられて、揺さぶられるだけ。

もう、時間も日にちもわからなくなっていった。


Tさんが、豹変するのが怖くて、毎日顔色を窺いながら過ごした。

セックスする時も、機嫌を損ねて、アナルに入れられたら、と思うと必死で演技した。

妊娠中のセックスはリスクがある事はわかっていた。

だけれど、断ったら何をされるかわからない。

だから、結局は抱かれた。

だるい日が多く、セックスする気分にはなれなかった。

だけれど、Tさんに触れられると、身体は反応した。

そんな身体が嫌だった。

「たまには気分を変えよう。」

そう言ってラブホテルに連れて行かれた。

部屋に入って目に入ったものは驚く物だった。

壁には、両手、両足を拘束する道具。

ベットの周りにも、バイブや、目隠しや、手錠があった。

驚く私に、Tさんは言った。

「言う事を聞けば、乱暴はしない。」

そう言って出した物は、婚姻届だった。

「書けない。」

そう答えた私に、Tさんは手錠をかけた。

「どうなっても?」

私は、一生懸命自分の気持ちを伝えた。

絶対Tさんの子供だと確証がないのに、結婚は出来ない。

認知も同じ。

Tさんは、黙ったままだった。

そして、手錠を外した。

「愛されている証拠が欲しい。」

私は、自分で服を脱いだ。

Tさんに見せつけながら、下着を脱ぐ。

そして、言われるままに、ソファーに座り、両足を開いた。

私のあそこを舐めているTさんの髪の毛を撫でながら、喘ぎ声を上げた。

「すごくいい。気持ちいい。」

Tさんの舌の動きが早くなった。

演技のはずだった喘ぎ声が、本物になった。

私がイッた後、Tさんは、入れてこなかった。

シャワーを一緒に浴びて、ベットで眠った。

Tさんは、そんな私をずっと見ていた。

Tさんは、私を疑っているのかもしれない。

そう思った。


Tさんは、機嫌のいい時は、優しかった。

機嫌の悪い時には、私を、無理やり激しく弄りながら、抱いた。

検診の為、病院へ連れて行かれた。

その時の担当の医師が、男の医師だった。

家に戻って来てすぐに、Tさんが豹変した。

私をベットに突き飛ばし、覆い被さってきた。

服は、破かれ、ブラをずらし、乳首を噛んだ。

パンティーをむしりとられ、Tさんのものが入ってきた。

「いたっ・・・や、ぁっ・・・」

逃げようと腰を浮かせても、Tさんが、激しくついてくる。

「あの男に触られて感じたんだろ!!」

Tさんのものが、いったん抜かれ、バックから入ってきた。

私の髪の毛を掴み、腰を打ちつけながら、肩や、脇腹を噛まれた。

「また、お仕置きされたいのか!!」

恐怖で身体が強張った。

Tさんの指がアナルに入ってきた。

「やめて!!やめて!!いやぁっ!!やだぁ!!」

泣き出した私を見て、少し冷静になったのか、アナルから指が抜かれた。

そして、後ろから抱きしめてきた。

噛んだ後を優しく舐めて、キスした。

私は、演技で喘ぎ声を出した。

Tさんの首に両手を回し、両足を腰に巻きつけた。

自分から腰を動かし、舌を絡めてキスをした。

「気持ちいいのか?ぐちょぐちょにしてやるよ。」

Tさんの言葉に頷き、両手でTさんの頭を抱き、胸に押し付けた。

Tさんは、私の動きに満足したように、優しい動きになった。

胸を揉み、舐め、乳首を甘噛みした。

「優しく抱いて・・・」

そう言うのが精一杯だった。

演技しながら、これが夢だったらいいのに、そう思った。

悪夢は、まだ、始まったばかりだった。


Tさんは、朝、仕事に行き、お昼休みに一旦、帰って来て、夕方帰って来る。

私が居るので残業は断っていた。

Tさんは、朝、必ず私を抱いてから仕事に行った。

お昼休みに戻って来て抱かれ、仕事が終わってきてからは夜中まで抱かれた。

朝、私を抱こうとしていたTさんは、私の顔色の悪さに気がついて、すぐに行為をやめて寝かせた。

お昼休みに戻って来ても、ただ手を握ってくるだけ。

夜はずっとそばに居た。

ふとした優しさに心が揺らいだ。

次の日、心配したTさんに病院へ連れて行かれた。

異常は無かったけれど、疲労が原因だった。

それから、Tさんは、私を無理やり抱く事は無く、抱きしめて眠るだけの生活になった。

逃げる事を心配したTさんは、相変わらず、私に手錠をしたけれど、ひたすら眠る私に安心したのか、手錠は外されるようになった。

私は、食欲は無くなり、眠ってばかりだった。

Tさんは、妊娠中のつわりは少しあったけれど、比較的元気に過ごした元奥様と違う、私の様子に心配になり、元奥様に連絡していた。

元奥様は、心配してお見舞いに来てくれた。

Tさんは、その時も、私に服を着ることを許さなかった。

元奥様は、驚いた様子だったけれど、妊娠中は冷えたりしたら身体に良くないから服は着せてあげてね、そう、Tさんに言った。

元奥様を送って来て、戻ってきたTさんは、バスローブだけなら、と着る事を許してくれた。

夜になって、寝ていた私の横に来た。

「我慢出来ない。優しくするから。」

そう言いながら、バスローブを脱がせた。

消えかけていたキスマークの上に、またキスマークをつけた。

胸を揉まれた時に、今まで無かった痛みに声をあげたら、優しく舐め出した。

舐められても、快感は無く、痛みしかなかった。

「ミルクが出てきたよ。甘いよ。」

そう言いながら、執拗に舐めた。

逆らったら、お仕置きを受けるだけだろう。

ひたすら我慢していたら、Tさんが、ふと顔をあげた。

「今日は、もういいよ。」

そしてバスローブを私に着せて、抱きしめた。

「お前と赤ん坊が一番大事だから。」

そう言って、頭を撫でてきた。

痛みから解放された私は、ほっとした瞬間眠気が襲ってきて、そのまま眠った。