【お断り】
現在連載しているブログ記事は、コロナ禍のときに業界関係者と一緒に作り上げたベトナム送出し機関の状況についての小冊子から取り上げたものです。かなり良い出来なのですが、あまりにも内情を赤裸々に書いてしまったものですから、業界関係者の立場から公開せずにしておりました。このままお蔵入りしてしまうのももったいないので、私の責任にてブログに公開することにしました。文面は私の方で多少直しながら、連載していきますので、よろしくお願い致します。
(4)「いい人材」を採用する為に ~人気職種と不人気職種~
実習生を希望するベトナム人の中で、人気職種・不人気職種というものが存在します。
人気職種:屋根がある仕事(総菜製造・.水産加工・プラスチック成形等の工場作業)
天候に影響をされない全天候型の仕事であり、安定した収入を得ることができる(という思い込みの)為です。また残業が多いと勝手に思っている節があります。
不人気職種:建設・農業・縫製・ご新規《介護》
建設・農業については人気職種の反対です。縫製については、給料不払い、残業代のピンハネ等の問題が多すぎることがベトナムでも知れ渡っており、不人気職種この上なく、全く恥ずかしい話であります。
2019 年 6 月 24 日放送の NHK ノーナレ「画面の向こうからー」
引用:https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108181SA000/?spg=P201700168700000
今に始まったことではありませんが、送り出し機関にとっての「縫製」とは忌避すべき対象です。それは実習生を目指すベトナム人にとっても同様である。
建設については、残業もなく、給料も安いです。一緒に働く日本人のレベルが低い場合が多く、ベトナム人が日本人をバカにするケースすらあります。又、現場への移動時間を給料計算にカウントしていないので、拘束時間の割には給料が少ないと思われています。更に、雨が降れば休みとなるので、天候が悪い状態が続くと、給料が下がることもありましたが、2020 年 1 月より、月給制となったことで、これが徹底され、ベトナムで認知されてくれば、復興の可能性は大いにあると思います。安価な労働力して実習生を採用するのではなく、真に日本人と同等以上の待遇を持って迎える実習実施者も確実に増えています。更に言えば、実際に現場で実習生と働く日本人が「実習生とはどんなか⁇」を知識と持てるようになるとより良い兆しになると思います。
建設は暴言・暴力等のトラブルが絶えません。
実習生に問題がある場合もありますが、日本人社員に問題がある場合も少なくありません。
農業は朝早く、閑散期、繁忙期の就業時間の差が激しい場合が多いです。
残業が多いと実習生は喜ぶが、36 協定違反が頻繁に起こる業界でもあります。
又、建設・農業共に、実習実施者の人柄で非常に大きく色が変わる為、送り出し機関・監理団体共に見極めが必要です。労基法っておいしいの?的な家族経営の個人農家さん・なんちゃって法人農家は正直怖いです。
ただ、非常に世話好き、家族ぐるみで面倒を見る実習実施者も少なくなく、そうしたところは、寂しがり屋・家族の温かさが好きなベトナム人とは非常に相性が良いです。
そういう意味では当たりハズレが非常に大きく、監理団体をどこまで信頼できるか、監理団体が実習実施者をどこまでグリップできているかに完全に依存する為、送り出し機関からすると取り扱いにくい・取り扱いたくない職種とされています。
そして、後発追加職種の《介護》。これはベトナムにおいて、介護そのものの認知度が高くない点、及び、入国時点での N4 相当という日本語要件がある点が不人気の最も主たる原因です。
ベトナムでも介護施設は増えているものの、高級老人ホームであり、まだまだ一般的ではありません。未だに家族で面倒を見るものという意識が強いです。
日本語要件については、介護以外の職種が早ければ 4 か月程度で出国できるのに対して、介護は
JLPT/NAT-TEST/J-TEST の 4 級相当に合格しなければならない為、0 から始めた場合、8 か月程度かかります。そこから申請になる為、出国する頃には 1 年前後かかってしまうことが一般的です。そして、苦労して入国した割に、そこまで給料が高いわけでもない為、余計に魅力が乏しいです。強いて挙げるなら、需要が高いこともあり、長期滞在の道が開けやすいことに加えて、人材募集が難しい為、送出し機関の出国費用が一般職種に比べて安価(適正)であることが多く、余計な出費も少なく済む場合が多いです。
(給与の設定について )
2021 年現在、ベトナムにおいて、面接を成立させる為には手取り(家賃・各種控除後。食費は別)
12 万円は最低ラインです。12 万円を切る場合、採用面接合格後、契約書署名にキャンセルされる可能性があります。または合格後、家族と話したり、日本にいる親戚・知人と話したり、果ては一緒に勉強している他社に合格している実習生と話したりすることで、自分の給料がいかに安いかを認識してしまい、「家族に反対されたから」などと適当な理由を付けて、キャンセルされます。(きちんとしている送出し機関なら、募集の段階で給料について監理団体及び受入れ会社と打合せを行っています。)
そんな話を送り出し機関がそのまま監理団体に言うことはまずありません。何故なら、「なんで面接前に確認しなかった⁇」と聞かれるのが関の山だからであります。「健康診断の結果、問題が見つかった」が常套手段です。(これも面接前に健康診断を行い、事前に問題ある子をはじいておくのが本来のやり方ですが)
更に、万が一成立したとしても、人材の質は保証できません。日本でも安い給料には、それなりの、その程度の人材しか集まらないのと全く同じことであります。
安定した手取り 12 万円(建設では手取り 15 万円)で面接を実施することが望ましいです。但し、2023年現在では建設手取りが18〜20万円まで上がってきています。
(ここで言う手取りとは、税金・社会保険料等に加え、家賃、電気ガス水道費、インターネット代等を給料総額から引いた上で、手元に残るお金)
どうしても時給・月給を上げられない場合、家賃等の控除を抑える、手当を付ける、米等の現物支給による補助を行うことで 12 万円に向かって帳尻を合わせると良いです。
(厳密に言えば、物品支給や負担軽減は所得とみられるので、要注意です。)
「安定した」は非常に重要です。もし、農業のように繁忙期と閑散期で差が大きい場合、「年間」で説明すると良いです。
いい人材を採用するには、まずもって、「給与」が最も大切であります。景色が綺麗、人が優しい、食べ物がおいしい、気候が温暖等は二の次、三の次であることを自覚することが必要です。
何故なら、実習生の希望は優先順位の違いはあれど、「お金を稼ぐこと」が目的であるからです。
手取り 10 万円の求人と、15 万円の求人であれば、集まる人数も質も誰がどう考えても後者が勝ります。給料が高ければ、いい人材が集まりやすいのは、万国共通です。実習生=安い労働力という認識はいい加減、改めることを強くオススメします。安ければ、その程度の人材しか面接には参加せず、合格後も日本語・意識など、全てにおいて期待すべきではありません。
人気職種の場合、給与設定を間違わなければ募集は全く難しくなく、面接も 3 倍の候補者の中から選抜することができます。但し2023年現在、募集が厳しくなり2倍前後の求人がやっとです。
では、不人気職種の場合、どうすればいいでしょうか?
不人気職種であっても、募集が不可能というわけではなく、良い人材を採用したければ、人気職種より給与を高めに設定する必要があるだけであります。給与を上げる、或いは、控除を減らすことが求められます。それができない場合、人材の質を諦めるか、そもそも実習生の採用自体を見送ることをオススメします。
人気・不人気を問わず、3 年間、面倒を最後まで見る覚悟がない限り、日本人以上にコストがかかる実習生はいい選択とは言えません。実習生がどうだと言うよりも、実習実施者の覚悟次第で、良くも悪くもどうにでもなってしまうのであります。
(5)北部と南部の人の違い
縦に長いベトナムの国土。またベトナム戦争といった内戦も経験しているだけに、北部と南部のベトナム人の違いは結構あります。なるべく実習生は北部と南部の人を混ぜて採用することはしない方が良いと思います。味付けや習慣、方言など違いがあるので、日本での長い共同生活で合わなくなるケースもあります。
もちろん個人差もあり、一概に言えませんが、東京と大阪ぐらいの性格の違いがあると思って、最初から分けて考えた方が良いと思います。ちなみに建設に限って言えば、北部の人の方が現場向きであります。根性がありますね。
(6)DOLAB って何?
ベトナムから実習生を受け入れるにあたり、必ず耳にするであろう組織が「DOLAB(ドラブ)」であります。
DOLAB(海外労働管理局:Cục quản lý lao động ngoài nước)とは MOLISA(労働・傷病兵・社会省:BỘ LAO ĐỘNG-THƯƠNG BINH VÀ XÃ HỘI)内の組織である。実習生だけではなく、海外への出稼ぎ労働者全般を管理する局です。
在留資格認定証明書申請時に必要な「推薦状」を発行する機関であります。送出し機関と監理団体の契約内容、変更等も全て報告します。送出し機関の書類担当だけが入れる DOLAB のサイトがあり、そこで監理団体との契約数・契約内容を管理しています。ここと上手に付き合っている送出し機関か否かでベトナムで起こりうる突発性の事態が大分起こりにくくなったり、被害を受けにくくなったりします。但し、送出し機関が言う「中央政府と良好な関係を築いています」は賄賂を払っているだけの薄っぺらい関係であることが多い為、話半分どころか話一割程度に聞いておくことを勧めします。
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