町の本屋さん -4ページ目

幸せのありか

朝、起きると私の気分は晴れていた。
悲しみは癒されたわけではないけど、やっと拓実とケリがついたことが私を前向きにした。
未練を持たないのはやっぱり女なんだと思う。
ただ、昨日のことがあるから会社で哲生に会うのが気まずかった。
結局気の利いた言い訳も思い付かず、極力昨日の話題には触れないようにしようと思った。
私は会社に行く足取りが重かった。
具合の悪いふりして休もうかとも思ったけど、真面目すぎる性格で仕事に穴をあけることができなかった。
今の私には男より仕事の方が大事だ。
いつだって仕事が私を救ってくれたんだから。

幸せのありか

メールは哲生だった。
何かあった?俺、何かしたかな?何か傷つけるようなことをしたなら謝るよ。今日は楽しかったよ。ありがとう。
私はまた哲生を悩ませてる。
こんな時、私がかける言葉は何?
考えるのが面倒くさい。せめて言い訳でも考えてみるけど何も思いつかない。
心が空っぽ。
でも哲生の優しい気持ちだけは伝わってくる。
哲生は優しくて、私はどんどんわがままになる。

幸せのありか

闇にぼんやり漂っているとまた携帯が鳴った。
今度はメールのようだ。
きっと哲生だ。
心配してるのかな。
そう思って何気なく携帯を開いてみた。
無事に家についた?
明日会社で。
短い文章だった。
「素っ気ない。」
と私はつぶやいた。
やっぱり黙って出て来たのがまずかったかな。
ちょっと後ろめたい気持ちもあった。
私は哲生までも失ってしまうかもしれない。
それもまた罰。
哲生に誠意を示さなかった。
哲生もまた私に振り回されている。
無責任なのは私なのかもしれない。
携帯電話を手にして哲生に何か返事を返そうとするが、言葉が出ない。
何を言っても言い訳臭くなって気の利いた返事ができない。
このまま返事をしないほうが無難かな。
そう思っていたらまたメールが入った。
急に携帯が鳴ったので、心臓がどぎまぎしていた。